バーチャルLAN
「送信ポートを選択する」つまり、パケットの宛先アドレスをチェックするという基本的な機能から応用して、スイッチには「バーチャルLAN(以下VLAN)」という機能が搭載されています。VLANとは、スイッチ内で論理的にLANを分割する機能をいいます。
通常、1つのスイッチにつながっている機器(端末)は、同じLANに属している事になり、必要があればいつでも(ルーターを経由せずに)通信を行う事ができます。これは、ブロードキャストパケットが届く範囲(ブロードキャストドメイン)に、相手端末がいるため、相手端末を認識し通信を行う事ができるからです。
ここでコリジョンドメインとブロードキャストドメインについて簡単に説明しましょう。イーサネットによるネットワーク設計を行う際には、コリジョンドメインとブロードキャストドメインについて認識しながらすすめることが重要です。
コリジョンドメインとブロードキャストドメイン
ある単位のネットワークにおいて、複数の端末が同時に送信を行うとパケット同士がぶつかります。ですから端末同士お互いに送信中か否かを意識しながらパケット送信しています。この送信中か否か意識しなければならない単位のネットワークをコリジョンドメインと言います。スイッチでは、1つ1つのポートがコリジョンドメインとなります。
ブロードキャストドメインとは、ブロードキャストパケットが届く範囲のネットワークを言います。基本的にはスイッチやブリッジで接続されている範囲はすべてブロードキャストドメインという事です。
イーサネットでは、ブロードキャストが届く範囲で相手端末を認識しあう事ができる仕様となっているため、「ブロードキャストドメイン=通信範囲」と言えるでしょう。ブロードキャストドメインを越える範囲では、ルーターなどの機器によってパケットを中継する必要があります。
このブロードキャストドメインを論理的に分割し、通信の効率化やメンテナンスの簡略化を図ろうというのがVLANの狙いです。通常同じスイッチに接続されている端末間は、なにも意識する事なくブロードキャストを届ける事ができるのですが、ブロードキャストパケットの届く範囲を自主的に制限し、通信可能なグループを論理的に分割する事により、グループごとに別々のスイッチに接続されているようにネットワークを構成する事ができます。
論理的に(スイッチへの設定1つで)グループ分けを行う事が可能なので、グループ構成の変更が、配線の引き直しをする事なく設定変更だけで可能になるという利点があります。
さて、異なるVLAN間での通信は、OSI第2層(データリンクレイヤー)で動作するスイッチだけでは通信ができません。OSI第3層(ネットワークレイヤー)でのルーティング処理が必要になります。
次に、ルーティングについて説明しましょう。 次のページ