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【ネットワーク教習所】ニューラルネットワークの可能性

【ネットワーク教習所】
ニューラルネットワークの可能性

第1回:ニューラルネットワークとは?

著者:シンクイット編集部

公開日:2008/03/05(水)

ニューラルネットワークとは何か?

2008年3月の特集「ネットワーク教習所」の水曜日では、「ニューラルネットワーク」を取り上げる。読者の皆さんも1度はニューラルネットワークという言葉を耳にしたことがあるのではないだろうか。

ニューラルネットワークを端的に説明するならば、人間の脳をソフトウェアで再現することと表現できる。人間の大脳は、140億個のニューロン(細胞)から構成されている。それらのニューロンは相互に結合し、巨大なネットワークを築いている。このネットワークを再現するのがニューラルネットワークというアプローチなのである。

ではなぜニューラルネットワークが注目されているのであろうか。

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コンピュータの限界

近年、コンピュータの飛躍的な性能向上により、膨大な計算量を必要とする処理が可能となってきた。高性能なスーパーコンピュータを用いた分野では、大いに成果をあげている。例としては、気象情報や原子/分子のふるまいのシミュレーションなどがあげられる。さらに、インターネットにつながっている複数台のPCを利用した分散コンピューティングの分野では、さらに膨大な計算が必要な処理が行われている。例えば、地球外知的生命体を探査するSETI(http://www.seti.org/)や、メルセンヌ素数を発見するGIMPS(http://www.mersenne.org/)などのプロジェクトが有名だ。

これらの処理はその膨大な計算量から、人間が実際に行うことが難しいものである。つまり、計算処理という分野では、明らかにコンピュータは人間を超えている。

その一方でコンピュータがまだまだ及ばない分野というものがある。例えば、音声や画像から意味のある情報を選別するパターン認識や、統計などの大量のデータから知識を取り出すデータマイニングなどがある。このような分野では、判断基準が変化し、定式化が難しい。つまり、プログラムによる処理が困難なのである。しかし、人間の脳は判断基準が変化しても、処理を行うことができる。そのため、人間の脳をモデルとしたニューラルネットワークの適用が考えられているのである。

また、現在普及しているコンピュータは、ほとんどがノイマン型コンピュータである。ノイマン型コンピュータとは、記憶装置に格納したデータを順番に読み込んで処理するコンピュータのことだ。このノイマン型コンピュータは物理的な限界、例えばメモリの読み込み速度などがあり、処理に限界があるといわれている。そこで非ノイマン型の1つであるニューラルネットワークが注目されているのである。 次のページ



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第1回:ニューラルネットワークとは?
ニューラルネットワークとは何か?
  人工知能とニューラルネットワーク
  階層型ネットワークと相互結合型ネットワーク