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【伝わる!モデリング】はじめようUML!

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第1回:アクティビティ図を学ぼう!

著者:株式会社テクノロジックアート 長瀬 嘉秀

公開日:2008/04/01(火)

開発プロセス(開発手順)

UMLはあくまでも設計の表記方法です。表記だけでは、設計はできません。

設計をするためには設計方法が必要となります。この設計手順、つまり開発手順のことを開発プロセスと呼びます。ここでは、UMLを用いた開発プロセスの標準的な方法を紹介していきます。

古い開発プロセスとして、RUP(Rational Unified Process:ラショナル統一プロセス)と呼ばれるユースケース駆動の方法論があります。この方法は当時の単体アプリケーションを開発するために作られた方法論であるため、現在のようなエンタープライズアプリケーション環境には向いていません。

エンタープライズや組み込みアプリケーションといった用途においては、これから説明するコンポーネントベースの方法論がもっとも向いているでしょう。

図2:開発プロセス
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

コンポーネントベースの方法論

開発プロセスは大まかに、業務分析、要求分析、システム分析、システム設計、実装、テストの6つの工程に分けることができます。この開発プロセスの中でUMLを用いるのは、はじめの4つの工程である業務分析、要求分析、システム分析、システム設計となります。

それぞれの工程で用いるUMLは異なります。業務分析で用いるのは、業務フローとしてビジネスプロセスを表現するアクティビティ図となります。要求分析では、必要な機能をユースケース図を用いて表現します。システム分析では静的な分析としてオブジェクト図とクラス図を、動的な分析としてシーケンス図、ステートマシン図を使います(図2)。

図2において、CIM (Computation Independent Model)とは、コンピューターの内部処理に依存しないモデルのことです。

PIM (Platform Independent Model)とは、実装言語などのプラットフォームに依存しないモデルのことです。

PSM(Platform Specific Model)とはプラットフォームに依存するモデルとなります。開発ツールによっては、PSMからソースコードを自動生成するものもあります。

一般的にはアクティビティ図の業務プロセスから、組み込みアプリケーションではシステムの動作の分析から行います。

それでは次に、例を見ながら実際の業務の流れを整理していきましょう。 次のページ




株式会社テクノロジックアート  長瀬 嘉秀
著者プロフィール
株式会社テクノロジックアート 長瀬 嘉秀
代表取締役
東京理科大学理学部応用数学科卒業。OSF(Open Software Foundation)のテクニカルコンサルタントとしてDCE関連のオープンシステムの推進を行い、OSF日本ベンダ協議会DCE技術検討委員会の主査をつとめる。現在、株式会社テクノロジックアート代表取締役。UMLによるオブジェクト指向セミナーの講師、UML関連のコンサルティングを行っている。UML Profile for EDOCの共同提案者、ISO/IECJTC1 SC32/WG2委員、電子商取引推進協議会(ECOM)XML/EDI標準化調査委員。明星大学情報学部講師。
http://www.tech-arts.co.jp/


INDEX
第1回:アクティビティ図を学ぼう!
  UMLとは
開発プロセス(開発手順)
  業務分析