開発プロセス(開発手順)
UMLはあくまでも設計の表記方法です。表記だけでは、設計はできません。
設計をするためには設計方法が必要となります。この設計手順、つまり開発手順のことを開発プロセスと呼びます。ここでは、UMLを用いた開発プロセスの標準的な方法を紹介していきます。
古い開発プロセスとして、RUP(Rational Unified Process:ラショナル統一プロセス)と呼ばれるユースケース駆動の方法論があります。この方法は当時の単体アプリケーションを開発するために作られた方法論であるため、現在のようなエンタープライズアプリケーション環境には向いていません。
エンタープライズや組み込みアプリケーションといった用途においては、これから説明するコンポーネントベースの方法論がもっとも向いているでしょう。
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
コンポーネントベースの方法論
開発プロセスは大まかに、業務分析、要求分析、システム分析、システム設計、実装、テストの6つの工程に分けることができます。この開発プロセスの中でUMLを用いるのは、はじめの4つの工程である業務分析、要求分析、システム分析、システム設計となります。
それぞれの工程で用いるUMLは異なります。業務分析で用いるのは、業務フローとしてビジネスプロセスを表現するアクティビティ図となります。要求分析では、必要な機能をユースケース図を用いて表現します。システム分析では静的な分析としてオブジェクト図とクラス図を、動的な分析としてシーケンス図、ステートマシン図を使います(図2)。
図2において、CIM (Computation Independent Model)とは、コンピューターの内部処理に依存しないモデルのことです。
PIM (Platform Independent Model)とは、実装言語などのプラットフォームに依存しないモデルのことです。
PSM(Platform Specific Model)とはプラットフォームに依存するモデルとなります。開発ツールによっては、PSMからソースコードを自動生成するものもあります。
一般的にはアクティビティ図の業務プロセスから、組み込みアプリケーションではシステムの動作の分析から行います。
それでは次に、例を見ながら実際の業務の流れを整理していきましょう。 次のページ