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勝ち組に学ぶシステム導入事例
勝ち組に学ぶシステム導入事例

第6回:SOAによる勤怠管理システムの構築(前編)
著者:オープンストリーム  村田 哲也、新山 英児   2006/11/29
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BPELを用いたサービス連携

   BPELは、複数のサービスを連携させて、複雑なビジネスフローを定義することができます。人による応答を受け付け、次の処理に移るようなビジネスフローも実現可能です。BPELを実行する環境がBPELエンジンであり、登録したBPELプロセスをWebサービスとして公開することができます。

   このシステムでは、業務フローとして、「申請業務」を選択し、「休暇申請」「月報申請」「休日出勤申請」を実現しています。実は、これらの業務フローを完全には定義できていません。

   「月報申請」を例にすると、「申請」「承認」「給与計算」「原価計算」という業務フローになります。しかし、現状では「給与計算」や「原価計算」といった機能をサービス化していないため、BPELで実現することはできません。「申請」「承認」という部分的なフローを実現しているという状況です。

   確かに全ビジネスフローをBPELで定義し、必要とする機能をすべてサービス化し、理想的なシステムを実現できたらいいのですが、それには多くの費用と期間が必要になります。

   そこで、まずは可能なものからBPELで実現し、段階的に拡張する方法を取りました。今後、「給与計算」「原価計算」のサービスが準備できたら、BPELを変更し、サービスと連携させることで、ビジネスフローを拡張することができます。また、このビジネスフローに変更が発生したとしても、柔軟に対応できる可能性を高めることができます。


サービスのメッセージ・スタイル

   このシステムでは、サービスへ送信されるメッセージはSOAPメッセージであり、メッセージ・スタイルはDocument/Literalに統一しています。これは、異種プラットフォーム間の相互運用性を向上するための選択です。メッセージスタイルだけ注意すれば、相互運用が実現できるわけでもありません。相互運用性を向上するためには、WS-I(注2)のプロファイルに準拠したWebサービスを構築する必要があります。

※注2: WS-I
http://www.ws-i.org/

   現状、このシステムでは異種プラットフォーム連携をするようなことはありません。しかし、今後、発展する社内システムのプラットフォームを制限せずに、多くの選択肢を残すことができると考えています。

   今回は、勤怠管理システムの特徴とメリットを簡単に紹介しました。後編では、SOAによる構築で見えてきた問題と、弊社システムの将来像と今後の展開を紹介します。

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株式会社オープンストリーム 村田 哲也
著者プロフィール
株式会社オープンストリーム  村田 哲也
テクニカルコンピテンシーユニット 兼 品質管理担当 ディレクタ
法政大学経営学部経営学科卒。日本DEC(現日本ヒューレットパッカード)にSEとして入社以後、データベースミドルウエア、インターネット画像配信技術、データセンターなど3社を経て現職。


株式会社オープンストリーム 新山 英児
株式会社オープンストリーム  新山 英児
テクニカルコンピテンシーユニット ソフトウェアエンジニアリンググループ システムズアーキテクト
日本大学大学院工学研究科情報工学専攻博士前期課程修了。某メーカー系開発会社のJavaアーキテクトとして、システム開発の技術支援に従事。現在、株式会社オープンストリームにてSOAによるシステム構築をメインに活動中。


INDEX
第6回:SOAによる勤怠管理システムの構築(前編)
  はじめに
  システム概要
BPELを用いたサービス連携