それではその具体例を見ていきましょう。
Cc:を入れたいケースはわかりやすいでしょう。上司にCc:を入れることで、自分の上司にもオーソライズされているぞ、というプレッシャーを相手に与えることができます。
Cc:を明示することで、相手にプレッシャーをかける例
From: shinzou.abe@japan.example.co.jp
To: bush@usa.example.com
Cc: koizumi.junichiro@japan.example.co.jp
Subject: お見積もりの件
usa株式会社 bush様
お世話になっております。
japan株式会社 安倍です。
お見積もりの件、本日が期限となっておりますが状況はいかがでしょうか。
もし本日お見積もりをいただくのに障害となるものがあるようでしたら、
弊社からもご支援させていただくことができます。
場合によっては、上司の小泉がお伺いしてご説明差し上げることも可能です。
何卒宜しくお願いいたします。
逆に、営業戦略上Cc:に入れないようにしたいケースもあります。
上司にCc:に入れないことでリスクヘッジをする例
From: shinzou.abe@japan.example.co.jp
To: bush@usa.example.com
(実はBcc: koizumi.junichiro@japan.example.co.jp)
Subject: お見積もりの件
usa株式会社 bush様
お世話になっております。
japan株式会社 安倍です。
本日はプレゼンテーションのお時間をいただきありがとうございました。
価格面の調整についてですが、20%程度の値引きであれば上席の者と調整がつくかもしれません。私の方でも上席の者と調整をしてみますので、20%程度であれば御社側の価格イメージに合うかどうかお教え願えませんでしょうか。
営業上の価格交渉では一般的に、「先に価格をいったほうが負け」的な要素があります。お互い腹を探り合って、妥協点を見つけるのです。上のメールではその後「上席の者と調整を試みたのですがやはり厳しくて」という返しをする可能性を残しています。
しかし、すでに上司にCc:されていることが明白だと、この時点で上司に話が通っているように見えかねず、ひっくり返しにくくなります。こういった場合に、Bcc:が必要となります。
このようにメール上でCc:とBcc:を使い分けるケースは多々あります。つまりメールのフィルタリングを行う際に、一概に「上司にCc:をつけないとメールがでて行きません」というやり方は営業上の選択肢を狭めることになるのです。
また、強制的かつ盲目的にシステム上Bcc:をつけるというやり方もありますが、そうするとCc:とBcc:で同じメールが2通来ることになります。さらに、流量が多いので同報が必要ないものを定義しようとしても、そういった判断ができなくなります。
今や上司はCc:やBcc:で来る部下のメールに悲鳴を上げていることも事実です。内部統制という観点から、監査法人から「同報されているメールをすべて読んでいるかエビデンスを取れ」といわれている企業も実際あります。この状況下で、盲目的にメールの流量を増やすやり方は運用にのりづらいのが実情ではないでしょうか。
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