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オープンソースをこう使った! 〜 運用管理ツールHinemosの秘密
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第2回:OpenLDAPによるリポジトリ機能について

著者:NTTデータ  宮本 洋輔   2006/8/176
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リポジトリ機能について

   前回、「Hinemosの最大の特長は、各監視対象のコンピュータ(以後ノードと呼ぶ)をグルーピングすることができ、そのグループ単位にて各機能の操作をすることができるところです」と説明しました。

   この最大の特長であるグループとノードの管理を担うのがリポジトリ機能です。リポジトリ機能には以下の役割があります。
  • 管理対象のノードの情報を保持・管理する
  • ノードをまとめたスコープ(グループ)の情報を保持・管理する
  • 監視管理・性能管理・ジョブ管理・一括制御の各機能に対して必要な情報を提供する

表1:リポジトリ機能の役割

   以降より、表1の役割について説明します。


ノード情報の保持・管理

   Hinemosは運用管理ツールとして、各機能が監視・操作を行うために必要な管理対象の情報を保持しています。また、システムの運用中にはハードウェア障害に見舞われることがあるかもしれませんので、障害時に迅速に対応できるように管理者や連絡先といった情報もあわせて管理しています。表2に管理している主な情報を示します。

識別情報 ファシリティID
ファシリティ名
ネットワーク DHCPクライアント
IPアドレス種別
IPアドレスのバージョン
IPv4のアドレス
ホスト名
ノード名
OS OS名
OSリリース
保守 管理者
連絡先
etc

表2:管理している主な情報


スコープ情報の保持・管理

   第1回でも説明しましたが、Hinemosではノードをグループ化することが可能で、個々のグループをスコープと呼びます。スコープを利用することで、複数のノードをあたかも1つのノードのように操作することが可能になります。

   スコープには、「システムとしての視点」「インストールしているOSやソフトウェアの視点」「物理的な設置場所の視点」など管理上グループ化したいものを階層化して、いくつでも設定することができます。また、ノードは複数のスコープに割り当てることが可能で、複数のスコープに割り当てられたノードはそれぞれのスコープからログ監視やパッチ適用といった操作が行われます。

   また現行系ノードが故障などで待機系ノードと置き換わるような場合には、スコープへ割り当てるノードを変えることで、各機能はノードが置き換わったことを意識せずに運用管理を継続することができます。

グループ階層を表示するビュー
図3:グループ階層を表示するビュー
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


各機能に対する情報の提供

   リポジトリ機能は、各機能に対して動作に必要な情報を提供します。例えば、複数のWebサーバのスコープを対象に、一括制御機能にてソフトウェアをアップデートする場合を説明します。一括制御機能は、指定されたスコープ内の情報をリポジトリ機能に問い合わせます。リポジトリ機能は、問い合わせに従いにスコープに含まれる各ノード(この場合Webサーバ)情報を一括制御機能に渡します。一括制御機能は、受け取った情報に基づき各Webサーバへの処理を実行します。

   このようにリポジトリ機能は、各機能がスコープに属するノードの監視・操作を行う際に必要とするリスト/IPアドレス/ホスト名といった情報を提供しており、まさにリポジトリといえます。

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NTTデータ  宮本 洋輔
著者プロフィール
株式会社NTTデータ   宮本 洋輔
基盤システム事業本部 オープンソース開発センタ
2003年、株式会社NTTデータに入社。入社以来セキュリティや運用管理などのシステム管理OSSに関する研究開発に従事。現在はHinemosの開発とコミュニティ作りに活動している。

INDEX
第2回:OpenLDAPによるリポジトリ機能について
  はじめに
リポジトリ機能について
  リポジトリ機能とOpenLDAP