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AquaLogicによるESB環境の構築

第3回:サンプルの動作確認で内部処理をみてみよう
著者:サンモアテック  高木 基成   2006/11/7
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動作確認

   それでは、構築したサンプルの動作確認を行います。まず、「SampleFile」に指定しているファイルの出力先ディレクトリが存在していること、ファイルが保存されていないこと確認します。次に、WebLogic Server Consoleにログインして、「SampleJMS」に指定しているJMSサーバのキューにメッセージが入っていないことを確認します。

   「プロジェクトエクスプローラ」を選択して、「SampleProject/Input」を開き、「SampleWS」の「テストコンソールの起動」アイコン(虫のアイコン) をクリックします。すると、テストコンソールのサブウィンドウが起動します。「SOAP本体」の水色の入力エリアには、「SampleWS」を呼び出すためのXMLが記載されています。デフォルトで「<sam:number>3</sam:number>」と記述されている部分がありますが、この要素「sam:number」の値が、ルーティングテーブルの条件式で比較される値になります。図9のように「<sam:number>0</sam:number>」と書き換えて、「実行」をクリックしてください。

テストデータの送信
図9:テストデータの送信
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   実行をクリックすると、サブウィンドウの表示内容が切り替わり、要求/応答ドキュメントやトレースの内容が表示されます。また、AquaLogic Service Busのプロセスの標準出力には、以下のようなログが出力されるので、「SampleWS」を呼び出したメッセージは、「SampleFile」の経路にルーティングされたことがわかります。

標準出力のログ
<2006/10/27 21時30分59秒 JST> <Warning> <ALSB Logging> <000000> < [SampleRoute,
null, null, REQUEST] 要求アクションです。: >
<2006/10/27 21時30分59秒 JST> <Warning> <ALSB Logging> <000000> < [SampleRoute,
null, null, RESPONSE] 応答アクションです。: >

   「SampleFile」に指定している出力先ディレクトリを確認すると、「5918216976663910833--5746ff28.10e899697f1.-7fca」といったファイルが作成されています。このファイル名は、重複しないように設定されているので、繰り返し実行しても、一度作成されたファイルが上書きされることはありません。このファイルの中を確認すると、テストコンソールから入力したXMLがそのまま保存されていることがわかります。

   再度テストコンソールを開いて、要素「sam:number」に「1」以上の値を設定します。そうして「実行」をクリックすると、ファイル出力のときの同じような結果になります。WebLogic Server ConsoleからJMSサーバのキューをモニタリングしてください。テストコンソールから実行した回数だけ、キューにメッセージが蓄積されています。

   最後に、要素「sam:number」に「-1」以下の値を設定して、「実行」をクリックしてください。すると、テストコンソールには図10のような結果が表示されます。

エラー時のレスポンス
図10:エラー時のレスポンス
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   このようにAquaLogic Service Busでは、Webブラウザを利用した開発やデバッグができるようになっています。以上でサンプルの動作確認は終了です。


アラート概要

   今回のサンプル構築では設定していませんが、アラートと呼ばれているAquaLogic Service Busの監視機能について概説します。

   アラートは、定義された条件に違反があった場合や、定義された条件のサービスレベルアグリーメント(SLA)に違反した場合に生成されます。AquaLogic Service Busは、パイプラインとSLAの2つのタイプのアラートを発生させることができます。

   AquaLogic Service Bus Consoleを使えば、重大度順やサービス順でアラートを表示するなど、蓄積されたアラート情報をグラフィカルに分析することができます。またアラートを適切に設定しておけば、AquaLogic Service Busの状態を効率よく監視できるようになるでしょう。


まとめ

   このようにAquaLogic Service Busでは、Webブラウザを用いて簡単にメッセージのルーティング処理を実装することができます。標準的なプロトコルの連携機能だけであれば、すでに存在しているオープンソースソフトウェアで代用できるかもしれません。しかし、エンタープライズ用途では、単純な連携機能だけでは十分ではなく、開発生産性にはじまり、セキュリティやエラー処理など、様々な部分に信頼できる機能が求められます。業務システム同士を繋ぐ基盤となるESBを構築するためには、AquaLogic Service Busのようにフルスタックの構成が求められているのではないでしょうか。

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サンモアテック 高木 基成
著者プロフィール
株式会社サンモアテック   技術開発事業部   高木 基成
2002年入社。システム間連携を実現する各種ミドルウェアの調査・導入に従事。現在は、開発生産性や品質などを向上させるための技術開発に従事している。


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