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調査レポート
> 中立的な監査・評価制度を積極的に利用する
ここが変だよ!日本のIT
第5回:情報の非対称性を踏まえてIT調達プロセスを見直せ
著者:
アプリソ・ジャパン ジェームス・モック
2006/12/13
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中立的な監査・評価制度を積極的に利用する
こうした情報の補完を目的に、米国では各分野のITベンダーを定期的に格付けし、マーケットを調査したり、各分野の未来像を描くアナリストサービス会社が揃っている。一方、これらの会社の多くが日本に支社を持っているが、外国のベンダーの情報を日本の顧客に伝えることが中心だ。日本のベンダー評価やマーケット調査などはあまり行っていない。
米国ではユーザ企業がベンダー選定プロセスの中で、中立的なアナリスト会社のコンサルサービスを利用することは多い。だが、日本ではこれもあまり流行っていないようだ。
以上のように、日本のIT調達プロセスでは、効率的な市場メカニズムが十分には働いていないといえる。
では、どうすればよいのか。それを乗り越えるためには、以下のようなポイントが必要になる。
IT投資とプロジェクトの成否における責任分担の明確化する。詳細は第4回の記事を参考にしてほしい
ITプロジェクトの目的とその満足度を測る指標を設定する。最近、経済産業省が発表した「Performance Reference Model」なども参考になるだろう
システム構築以外に、アナリストや中立的なコンサルタントなどのサービスを活用する。第3回で紹介した誘導型サービスなどもこれに含まれる
表1:非対称性を解消するためのポイント
情報の非対称性を完全に解消することは不可能だが、以上のような努力によって減少させることは十分可能だ。
IT調達の市場メカニズムはまだ十分には成熟していない。ユーザ企業がIT投資を効率化するためには、さらに公平で効率的な市場メカニズムに発展することが不可欠だろう。
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著者プロフィール
アプリソ・ジャパン株式会社 ジェームス・モック
香港生まれ、英国ブリストル大学機械工学卒、米国スタンフォード大学工学修士、テンプル大学MBA修了。1991年に来日。東京大学生産技術研究所でシュミレーション研究と日本企業で鉄鋼成形機械のCAD・CAM設計・開発に携わる。2001年に米アプリソの日本支社を立上げ、テクニカルディレクターとしてMES・POP・WMSなどのソリューションをスペインや中国、韓国、日本で導入するプロジェクトを取りまとめる。現場ユーザや企業の情報システム部門、導入コンサルタント、ソフトベンダの立場から純日本企業と外資系企業の日本国内外ITプロジェクトを幅広く経験している。
INDEX
第5回:情報の非対称性を踏まえてIT調達プロセスを見直せ
はじめに
プロジェクトの予算超過を内製化で取り繕う
中立的な監査・評価制度を積極的に利用する