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企業システムにCurlを適用させるメリット
企業システムにCurlを適用させるメリット

第2回:従来のWebアプリケーションとリッチクライアントにおける開発方法の違い
著者:カール  杉本 健   2006/10/23
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リッチクライアントの開発手法

   ここからはリッチクライアントの開発手法を解説します。開発の流れは図6の通りです。今回対象とする開発手法はリッチ指数100%のアプリケーションを構築する方法です。
リッチクライアントの開発概念図
図6:リッチクライアントの開発概念図
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   以降では、リッチクライアントを開発する上でポイントなる「外部インターフェースの設計」「フレームワークの活用」「部品の作成と登録」の3つについて解説します。ビジネスロジック、結合テストについては従来のWebアプリケーションの開発との違いはなく、ここでは割愛します。


外部インターフェースの設計

   Curlの開発はクライアントとサーバを並行して別々に構築することができます。クライアント側はCurlで開発し、サーバ側はプログラムを選びません。クライアントからのリクエストを解釈し、データベースなどのデータ資源から取得したデータを返すことができれば、プログラムに加えて、コマンドスクリプトでも開発することができます。

   ただし、クライアントとサーバ間のプロトコルやデータフォーマットなどは個別開発の前に確定しなければなりません。

データ疎結合の部分
図7:データ疎結合の部分

   ここでの注意点はデータ量です。リクエストするデータの範囲が広いと一度に大量のデータを取り込むことになり、通信時間も大きくなります。一度に送信する最大データ量をクライアント側で決めるのか、サーバ側で決めるのか、あらかじめ考慮する必要があります。

   外部インターフェースが終わったら次はアプリケーションのベースとなる部分を開発します。


フレームワークの活用

   フレームワークを用いてアプリケーションのベース部分を作成します。フレームワークを使用するか、しないか、また、どのフレームワークを使用するかは、これまでの開発経験から決定しますが、拡張性/運用性を考慮すると、できるだけフレームワークを活用することをお勧めします。

   例えば、リッチクライアントフレームワーク「CX4」はクライアント型MVCモデルを容易に実現するためのコンポーネント群で、コンポーネントを利用することによりアプリケーションの開発範囲をビジネスロジック部分に集約させることができます。


部品の作成と登録

   次に行うのは共通部品の設計と、開発者間で共有利用するための部品登録です。ほとんどの部品はCurlの開発統合環境(Curl/Pro IDE)に標準で登録してあります。

   また、リッチクライアントフレームワーク「CX4」にも外部データとの接続を容易とするコンポーネントがあらかじめ用意されています。作成した部品はCurlのエディタ(Curl/Pro IDE)に登録ができ、プロジェクトグループの開発者間で共有することができます。部品登録の詳細はCurlのエディタに付属するHELPで確認することができます。

エディタへの登録
図8:エディタへの登録
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


フレームワーク活用の重要性

   リッチクライアントの開発において図6の1〜3はアプリケーションの基本部分であり、その際の設計が最後まで影響しますので、非常に重要な部分となります。また、フレームワークを使用すると新たに開発する部品の数も減り、結果的に基本部分の設計と開発の効率化がはかれることになります。

   次回はアプリケーション開発に欠かせないフレームワークを取り上げ、サンプルアプリケーションを使いながらリッチクライアントフレームワーク「CX4」の概要と機能について解説します。

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株式会社カール 杉本 健
著者プロフィール
株式会社カール   杉本 健
SIベンダーに入社して以来、Fortran、Pascal、C、VB、Java、Perlなど2桁を越える言語を業務で利用。最近の開発はデジカメ感覚ですぐに結果が分り、銀塩フィルムの現像待ちのようなワクワク感がなくつまらないと嘆く。米国にて大手メーカの基幹システムの構築やプランニングに携わり、帰国後カールに参画。現在は、カールのマーケ/プロモに従事する。


INDEX
第2回:従来のWebアプリケーションとリッチクライアントにおける開発方法の違い
  導入部
  どこまでをリッチ化するのか
リッチクライアントの開発手法