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| TCO削減ではなかった最初の用途 | ||||||||||
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そんな中、シトリックス社は一箇所に集中したサーバ上でWindowsを稼動させ、そのサーバにクライアントPCからアクセスさせれば、管理を集中的に行えるため、管理負担が減りシステムを維持管理するコスト、いわゆるTCOを削減できると考えたわけです。そうなるとクライアントPC側には必要最低限なソフトウェアさえあればよくなり、その結果、ICAクライアントを開発しました。 当時、シトリックス社の製品は多くの企業に採用されました。しかしその理由は、TCOの削減というよりも古い端末の寿命延長という意味でした。 1990年から2000年までの10年間は、ハードウェアの進化と低価格化が進むとともに、マイクロソフト社のOSも数年ごとに大幅バージョンアップされ、端末側に多くのリソース(メモリ、ハードディスク)を求めました。 ハードディスクもメモリもCPUもマイクロソフト社の想定通り進化していったので、最新PCで最新OSを稼動させるには申し分なかったのです。しかし、わずか数年でハードウェアとソフトウェアが古くなり、古い機種で最新OSを稼動させるにはリソースが不足していきました。 しかし、シトリックス社のICAクラアイントをインストールすれば、たとえWindows 3.1しか動作しないような端末であっても、サーバ側のWindows 2000を利用することができたのです。ネットワークの力を利用して古い機種の上で最新OSを使っているように「見えた」のです。 圧縮率が高く画面転送技術が優れたICAプロトコルで、企業内ネットワークを前提としたため、「古いPCの再生ソリューション」としてシトリックス社のソリューションはシェアを拡大しました。 また1995年、サン・マイクロシステムズ社はJavaを発表・提供しました。「Write Once, Run Anywhere」というコンセプトは多くの人達に夢と希望を与えました。「アプリケーションをJavaで書きさえすれば、これまでのようにOSやハードウェアを意識しなくても済むようになる」と考えたのです。 そして、今後はJavaで書かれたアプリケーションが多くなると考えました。Javaで書かれていればアプリケーションはネットワーク上のどこにあってもよく、端末側もJavaを稼動できる環境さえあれば、ハードディスクを搭載しなくともネットワーク上のアプリケーションを使える。そんな発想で開発されたのが、Oracle社のNCやサン・マイクロシステムズ社のJavaStationでした。 しかし当初は「Javaアプリケーションが多くなかったこと」「JVMの性能もあまりよくなかったこと」「インターネット接続のための帯域幅が広くなかったこと」という三拍子が揃い、NCもJavaStationも普及するには至りませんでした。 |
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| シンクライアントの現在 | ||||||||||
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現在、セキュリティの観点からシンクライアントが注目されていますが、シンクライアントという言葉が出た当時は、安価ではないPCと、PCを利用するためのソフトウェア費用、運用保守費用、ハードウェアやソフトウェアの故障やトラブルにかける人件費を含めた、いわゆるTCO(Total Cost of Ownership)を削減できるという発想が起点でした。 端末ごとに情報があり、情報が分散されていることの煩雑性や端末紛失による情報漏洩といった現在の課題はあまり注目されていませんでした。 また当時と現在では、ソフトウェア構成という意味では実はあまり変化ありません。変化があったのは、企業内ネットワークであれ、インターネットであれ、ネットワークの性能が良くなり、安価になったことです。 シンクライアントは前述したようにネットワークを前提としていますので、このネットワークの性能が安く速くなったという技術革新が、10年前にはあまり普及しなかったシンクライアントに再び光が当たっているともいえます。 次回は、それぞれのシンクライアントシステムの構造やメリットについて解説していきましょう。 |
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