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— SteelEye社のCTOとして、どのような仕事をしているのですか
Bottomley氏:
まず、CTOの役割についてお話ししましょう。アメリカでは多くの企業において、CTOがCEOとともに経営を支えています。特にテクニカルな分野では、小規模な会社でも必ずCTOが存在します。大企業ではCTOが複数いることも珍しくなく、CTOのチームもあります。テクノロジーを扱う会社でCTOがいない会社は存在しないといっても過言ではありません。
日本ではまだ一般的な役職ではないようですので表現が難しいのですが、技術開発や技術に対する投資などのビジョンを示し、戦略立案や意思決定を行うのがCTOの仕事です。社内のエンジニアに対しては技術の方向性などを指し示し、エンジニア以外に対してはその技術が果たす役割や重要性を専門家でなくてもわかるように説明します。
SteelEye社のように小規模な企業では、技術に関連するあらゆるミッションを担うことになります。それは製品に関することだけでなく、例えばWebサイトの技術的な問題なども含まれます。
— SteelEye社の技術戦略について教えてください
Bottomley氏:
SteelEyeではOSに依存しない製品を扱っています。Linuxだけ、Windowsだけという形ではなく、その両方に対して我々はテクノロジーを提供しています。この基本姿勢については今後も変わらず踏襲していきます。
またビジネスにおいては、インフラに関わる部分の技術をさらに拡大していきたいと思っています。現在も高可用性やデータレプリケーションの技術が我々の強みとなっていますが、これからもこのCDP(Continuous Data Protection:継続的データ保護)の分野に注力していきます。また、仮想化の技術もいっそう強化していきます。
— フラッグシップ製品であるLifeKeeperの今後の展開をお聞かせください
Bottomley氏:
HA(ハイアベイラビリティ)クラスタシステムのLifeKeeperは、1992年にAT&Tベル研究所で誕生しました。その後、NCRを経て1999年にSteelEyeでLinuxプラットフォームへのポーティングを行い、現在はLinux版とWindows版を提供するに至っています。私自身は1995年からその開発に関わっており、これから先も製品の理念自体は変わることはありません。引き続き「高可用性」にフォーカスを当て続けていきます。
その上で、高可用性を必要としている新たな市場に対して、その市場を拡大するための機能拡張などを行っていきます。例えば、成長が期待される市場の1つである仮想化があげられます。仮想化の分野でも当然、高可用性が求められるようになりますので、仮想化技術への対応強化はLifeKeeperの重要なテーマとなっています。
SteelEyeにとって高可用性に注力し続けていくことは非常に重要で、何か別の分野に技術領域を拡大することによって高可用性の技術が希薄化されるようなことは絶対に避けなくてはいけません。高可用性の維持は、多くの企業にとって大変重要であるとともに、難しい課題でもあります。そこにソリューションを提供し続けることが、我々の使命と考えています。LifeKeeperは、まさにそれを具現化している製品といえるでしょう。
— 今年5月にSteelEyeはサイオステクノロジーグループとなりましたが、そのシナジー効果についてどう考えていますか
Bottomley氏:
現時点では2社それぞれの得意領域でビジネスを展開しています。今後はお互いの持っているスキルを有効活用しあうことによって、技術/ビジネスの両面でより大きな効果が生まれるでしょう。例えば、サイオステクノロジーはJavaやWebアプリケーションの分野で高い技術力があり、それらのスキルはSteelEyeにとっても非常に有用なものとなります。
将来的には、サイオステクノロジーグループ全体で垂直市場をカバーしていくのが望ましい姿だと思います。インフラである高可用性製品、ミドルウェア、アプリケーション、そして一番上のサービスに至るまで、バーティカルにグループ内ですべてを一貫して提供できるようにしていきたいと思っています。
— エンジニアとSteelEyeのCTOの立場から、「座右の銘」を教えてください
Bottomley氏:
まずエンジニアとしては「考える価値のないほど悪いコードというものはない」です。そしてCTOとしては「これ以上改善される余地のないほど良いコードというものもない」です。
— 最後に、日本のLinuxエンジニアに向けてメッセージを
Bottomley氏:
Don't give up, we want your code!(諦めないでください。私たちも皆さんのコードが欲しいのです!)。
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SteelEye Technology, Inc. Vice President & CTO James Bottomley
1995年よりAT&Tベル研究所でクラスタソフトウェアの開発に携わる。Lucent Technology、NCRを経て、1999年にはSteelEyeのプロダクトアーキテクトとしてLifeKeeperのLinuxへのポーティングおよび製品化を担当。2004年、SteelEye CTO(最高技術責任者)に就任。2006年、同社Vice Presidentに就任。同年6月に、サイオステクノロジー(旧社名テンアートニ)のSteelEye買収に伴い、サイオスグループの一員となる。Linuxカーネルのコミュニティでも精力的に活動し、SCSIサブシステムのメンテナを務める。2006年には、OSDL(Open Source Development Labs)のTAB(Technical Advisory Board)委員長に選出された。
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