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Trend Micro Special Interview
第1回:新しい複合的な脅威への対策の強化から管理者負荷の軽減へ 話者:トレンドマイクロ  村上 憲子氏   2007/3/16

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— 実際に中小企業では、どれくらい管理機能の負荷軽減が求めらており、それに対する回答が今回の製品につながったのですか
村上氏 村上氏:導入時に管理者が1台1台インストールや設定を行なわなくてはいけないことや、ポリシー設定を一元的に管理できないため、勝手に設定を変えられないような制限をかけることができないなど、管理の強化を図るためには難しい点があります。こうした課題は分かっているものの、個人向け製品からエンタープライズ製品に切り替えるとなると、製品コストや相応のスキルを持った専任の管理者が必要になることから、全体としてのコスト負担が大きくなるため、企業向け製品の導入を躊躇しているという姿が見えてきました。

   一方では、大手企業では「内部統制」「コンプライアンス」を背景に、情報管理が厳格に求められるようになってきたことで、取引先の中小企業に対してもセキュリティ対策の強化が要求されるようになっています。こうした状況において、セキュリティ対策は強化しなくてはならないが、リソースも費用も限られている中で、どのようにすればいいのかと頭を抱える中小企業の状況が浮かび上がってきました。

   「ウイルスバスターbiz」は、まさにそうした中小企業の管理者の方にお使いいただきたい製品で、セキュリティ管理・運用の一元化を実現し、管理の自動化機能を組み、管理を強化しながらも現場の管理者の手間をできるだけ削減し、さらにセキュリティ対策を拡張して頂ける製品となっています(図3)。

ウイルスバスター ビジネスセキュリティ3.5の管理イメージ
図2:ウイルスバスター ビジネスセキュリティ3.5の管理イメージ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   また今回のバージョンでは、新たな複合的な脅威への対策を強化を行い、また価格を中小企業にも受け入れていただきやすい価格に改定いたしました。トレンドマイクロとしては、これにより中小企業におけるセキュリティ管理の強化の支援ができればと考えております。


— 今回のバージョンアップのポイントは、どういった点にありますか。
村上氏 村上氏:今回のバージョンでは、特に新しい複合的な脅威への対策の強化に力を入れています。まず、以前のバージョンでは、スパイウェア対策製品をバンドルパッケージにして提供していましたが、今回のバージョンアップで正式に「ウイルスバスターbiz」に機能統合しました。また、今後大きな脅威となるであろうルートキット対策、ボットウイルス対策を実現しています。

   ボットウイルスは、圧縮タイプを変更することで急速に亜種を増やし、パターンスキャンを逃れる特徴を持っているため、従来のスキャニング技術だけでは十分に対応できませんでした。今回のバージョンでは、これまで企業向けのゲートウェイ対策用アプライアンス製品(トレンドマイクロ InterScan Gateway Secuiry Appliance)で提供していた「IntelliTrap」機能を搭載することで、危険な圧縮タイプを判別し、ボットウイルスの検出・駆除を強化しています。

ボット検出数の推移
図3:ボット検出数の推移

   また今回搭載している最新のエンジンではヒューリスティック検索機能を搭載することで、さらに未知のウイルスへの対策機能の強化を図っております。


— ウイルスへの対策機能ですが、実際に感染してしまった場合、元に状態に回復させるには手間がかかると思うのですが、こういった部分も効率化することはできないのでしょうか。
村上氏:これまでにもレジストリなどのシステムファイルが改変された場合に、改変されたものを自動修復する「ダメージクリーンナップ」という機能を以前から提供していますが、「ウイルスバスターbiz」ではこの機能の拡張も行っています。従来のダメージクリーンナップ機能では、そのウイルスに対応したダメージクリーンナップテンプレートに基づいて修復を行っていたため、事前にそのテンプレートが配布されていることが条件となっていました。そのため、ウイルス感染を検知しても、駆除・復旧までをきちんと行うためには、このテンプレートが配布されるのを待たなくではいけません。

   今回のバージョンアップでは「Generic Clean」機能を搭載することで、このタイムラグをできるだけ短くし、脅威にさらされている状況をできるだけ早く排除することを可能にしました。Generic Clean機能とは、従来テンプレートが配布されない場合に修復ができなかったものを、テンプレートが配布される前でもウイルスの起動を止め、セキュアな状態にすることができる仕組みです。

   なんらかのウイルスが発見されてから亜種が登場するまでの時間が非常に短くなっており、これに迅速に対抗するためには、検知率を上げるだけでなく、復旧側についても同様のアプローチが必要だと、私どもでは考えています(図4)。

Genric clean
図4:Genric clean
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

トレンドマイクロ株式会社 村上 憲子

トレンドマイクロ株式会社
エンタープライズマーケティンググループ
プロダクトマーケティング課
プロダクトマーケティングマネージャー
村上 憲子

ノーテルネットワークス株式会社にてアクセス製品・技術分野の新規ビジネス開拓、シスコシステムズ株式会社にてマーケティングプログラム開発、プロダクトマーケティングを経て2006年にトレンドマイクロ株式会社入社。「ウイルスバスター ビジネスセキュリティ」を中心とする中小企業向けセキュリティ製品のプロダクトマーケティングを担当。

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INDEX
第1回:新しい複合的な脅威への対策の強化から管理者負荷の軽減へ
  ウイルスやスパイウェアなどネットワークに潜む様々な脅威についての最新動向をお聞かせください
実際に中小企業では、どれくらい管理機能の負荷軽減が求めらており、それに対する回答が今回の製品につながったのですか