TOP業務システム> ESBの機能1(コネクティビティの提供)




SOA/ESB
SOA/ESBの真の姿とは

第2回:ESBからSOAを理解する

著者:Fiorano Software  青島 茂   2007/5/15
前のページ  1  2  3
ESBの機能1(コネクティビティの提供)

   ESBでは、旧EAI製品が個々のアダプタとして提供していたプロトコル変換の機能をESB内部に包含するようにしました。この様子を図6に図式します。
ESBにおけるコネクティビティ
図6:ESBにおけるコネクティビティ

   図を見てすぐに気づくことは「プロトコル変換」という言葉が使われていない点です。旧EAIのアダプタもしくは図5に示されているプロトコル変換機能に該当するのが「コネクティビティ」と記されている部分です。

   これはESBにおいてはおおもとのサーバのプロトコルへ変換するという意味が薄れるためです。別の言い方をすれば、ESBではデータ転送のエンジンであるサーバがアプリケーションから隠蔽されているのです。

   アプリケーション側から見ると、ESBには様々なプロトコルによってアプリケーションを接続する口(あるいはポート)が用意されており、この口に接続さえすれば、サーバのプロトコルも相手アプリケーションのプロトコルも透過なものとなります。つまり、ESBにおいては、サーバもしくは相手側アプリケーションのプロトコルを強く意識した「プロトコル変換」ではなく、自らのアプリケーションの「接続性」だけを意識すればよいのです。

   ESBにおいてもっとも基本的な機能が、この「コネクティビティの提供」です。これによって、異なるプロトコルを持つアプリケーションとの間でデータの送受信が可能となります。また上述してきたようなアプリケーションの置き換えが発生しても、柔軟な対応が可能となります。

   ESBがアプリケーション間のプロトコルの差異を吸収しますので、相手側のアプリケーションが別のものに変更されても、新たなプログラミングやモジュール追加を必要とせず、こちら側のアプリケーションに大きな影響がおよぶこともありません。

   ESBにおけるコネクティビティ提供において大切な点は、1つのプロトコルに限定しないことです。「SOAのサービスはWebサービスとし、SOAPプロトコルによって呼び出す」としている説明をよく目にしますが、実はすべてのアプリケーションがWebサービスやSOAPに対応しているわけではありません。

   アプリケーション統合の柔軟性を高めるためには、ESBが多種のプロトコルに対するコネクティビティを提供できるようになっていることが必要です。これにより相手側アプリケーションがどのようなものに変更されても即座に対応できるようになります。これがSOAが目指すアジャイルな情報システム実現の礎となります。

   次の表は、ESBによって提供されることが望ましいプロトコルの代表的なものをまとめたものです。

アプリケーションの種類 (標準)プロトコル
パッケージアプリケーション(ERP、CRM、SCMなど) JCA(J2EEコネクタ アーキテクチャ)
SAP R/3のBAPI、IDOCといった「標準規格ではないが業界で広く使われている」プロトコルも提供されていることが望ましい。
DBMS JDBC
メインフレーム(汎用機)上のアプリケーション IMS、CICSなど標準規格ではないが広く普及しているプロトコルが提供されていることが望ましい。
Webサービス SOAP over HTTP(WSDL、UDDI)
Webアプリケーション HTTP(S)
アプリケーションサーバ上のアプリケーション J2EE(EJBなど)
MOMに基づくアプリケーション JMS
EDIに基づくアプリケーション 業界ごとのEDI標準
人間とのインタフェース 電子メール(SMTP、POP3)
SMS(携帯電話ショートメッセージ)

表3:ESBによって提供されることが望ましいプロトコル


まとめ

   今回はESBの最初の機能として「コネクティビティ」をとりあげました。コネクティビティは、異なるプロトコルを持つアプリケーション同士を結びつけるために必要となる最も基本的なものだからです。ESBが多くのコネクティビティを提供すればするほど、アプリケーション統合の柔軟性が増します。

   豊富なコネクティビティはアジャイルな情報システムを実現するための基礎となりますが、それだけでは不十分です。他にも考慮すべき観点と機能が多くあります。これについては、連載を進めながら徐々に解明していくつもりです。

   異なるアプリケーションに間には、プロトコル以外にも解決しなければならない差異があります。次回はこれらの差異を吸収するためのESBの機能について説明します。また1対1の統合を例にしながら、別の観点からみた統合の課題についても取り上げる予定です。

前のページ  1  2  3


Fiorano Software, Inc. 日本オフィス ジャパン オペレーション マネージャ 青島 茂
著者プロフィール
Fiorano Software, Inc.
日本オフィス ジャパン オペレーション マネージャ
青島 茂
SOA/ESBの分野に2003年1月からたずさわる。2005年3月にFiorano Softwareの日本オフィスを開設し、現在SOA/ESB製品の国内市場への普及に専心している。


INDEX
第2回:ESBからSOAを理解する
  はじめに
  1対1もしくは1対nのパターン
ESBの機能1(コネクティビティの提供)