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ストレージ管理の標準化 |
第7回:Storage Foundationの使い方
著者:シマンテック 2007/5/21
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Storage Foundationはどのように役立つか
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Storage Foundationバージョン5のVVR(Veritas Volume Replicator)オプションのコンポーネントは、バンカーレプリケーションを大幅に単純化します。VVRは、任意のセットのVxVMボリュームを32もの複製先の場所に複製するためのホスト型の機能です。
VVRは、実働データの更新を各複製先に同期または非同期で複製します。VVRは、VxVM仮想ボリュームの内容を複製するため、複製元と複製先のハードウェアが同一である必要はありません。したがって、低価格のストレージを、実働データとしてのレプリカの使用がすべて短い期間である傾向がある場合の複製先として使えます。
VVRはログベースです。実働データへのすべてのアプリケーションの更新を、複製先に伝送する前にSRL(Storage Replication Log)に書き込みます。すべての複製先がその受信を肯定応答するまで、データをSRLに保存します。アプリケーションの書き込み要求は、複製が同期しているすべての複製先が更新データの受信を肯定応答するまで完了しません。
すべてのレプリカが非同期の場合は、アプリケーションの書き込み要求はデータのSRLへの書き込みが終了次第完了します。レプリケーションボリュームグループ(RVG)と呼ばれる単一の複製元ボリュームのセットは、同期と非同期の両方の複製先を含むことがあります。
RVG内部で、書き込み順序の忠実性が保存されます。グループ内のすべてのボリュームへの更新を、アプリケーションが複製元ボリュームを更新するのと同じ順序で適用します。したがって、データの書き込みをこの順序に依存しているすべてのファイルシステやデータベースのクラッシュリカバリ機構は、ちょうどそれらのシステムクラッシュ時に実働データに適用するのと同様にRVG内のボリュームに適用できます。
Storage Foundationのバージョン5の新機能は、RVG ストレージのRVG のレプリケーションログの部分を効果的に生成して、それを複製するVVRの機能です。この機能は、図2に示すディザスタリカバリ用のバンカー型の複製の大幅な単純化につながります。

図2:Storage Foundationのディザスタリカバリのデータレプリケーションシナリオ
図2に示すように、VVRは、SRLの内容(ただし、実働データではない)をバンカーサイトに同期して複製すると同時に、実働データをリカバリサイトに直接非同期で複製します。SRLは、実働データへの更新の予測率とすべての短時間のネットワーク停止の予測時間の組み合わせに基づいてサイズを決定するため、実働データセットと比べて通常小さいサイズです。したがって、バンカーサイトのストレージの必要条件は、図1に示した従来型のソリューションよりも大幅に少ないものになります。
非同期の複製の場合、複製先サイトのデータの状態が、実働データよりも古いものになる可能性があります。これは、たとえば、一時的なネットワークの過負荷、特に実働データへの過剰な更新アクティビティの期間が起きた場合などです。これらのいずれかが起きた場合、VVRは一時的な過負荷が過ぎたときにSRLが空になると期待して、単純にSRLが一杯になることを可能にします。
この原理は、たまに起きる短時間のネットワーク停止に対応するために拡張できます。つまり、VVRは、ネットワークの停止中にSRLを実働データの更新でいっぱいにして、ネットワーク接続の復元時に、この更新データを複製先サイトに排出することを可能にします。管理者は、非同期の複製が実働データの更新よりも古いものになる量を調整できます。
VVRバンカーレプリケーションを使うと、実働データがリカバリサイトに非同期に複製されるため、災害が起きた場合に数秒から数分までの古いデータになる可能性があります。
しかし、SRLのバンカーサイトへの複製が同期しているため、リカバリサイトのデータは実働データとの時間の差がほとんどありません。災害が実働センターで起きた場合は、Veritas Storage Foundation HA/DRのGlobal Cluster Option(VCS GCO)が、実働サイト、バンカーサイト、リカバリサイトの各VVRインスタンスを調整します。バンカーサイトのVVRインスタンスが、事実上の複製元になります。
このバンカーサイトのVVRインスタンスは、SRLをリカバリサイトのVVRインスタンスに排出し、このSRLが更新をリカバリサイトのレプリカに適用します。SRLが完全に排出されると、リカバリサイトのデータイメージは災害の瞬間の実働データの状態ということになります。結果として、ゼロのリカバリポイント、つまり、災害の瞬間の実働データの状態へのリカバリが達成されます。
図1と図2との簡単な比較により、VVRバンカーレプリケーションソリューションの利点が明らかになります。
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VVRバンカーレプリケーションソリューションの利点
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ストレージの必要条件を大幅に低減します。VVRの場合、実働サイトとリカバリサイトには、実働データセットを格納するための十分な仮想ストレージが必要になります。いずれかまたは両方のサイトのストレージを、ビジネスの必要条件を満たすためにミラー化することがありますが、VVRは追加のコピーを必要としません。
バンカーサイトで必要なものはSRL用の十分なストレージのみで、これは通常、実働データセットに比べてごく小さいサイズでしかありません。そのうえ、すべてのサイトのストレージが同じ種類のものである必要はありません。ビジネスニーズに応じて、低価格または他の目的に再利用するストレージをバンカーサイトとリカバリサイトに配備できます。
帯域幅の必要条件を大幅に低減します。VVRの場合、実働データへの更新の定常状態速度に同調するために、実働サイトとリカバリサイト間の適切な帯域幅が必要です。VVRは、SRLがいっぱいになることを可能にして、一時的な過負荷に対処します。また、SRLのアクティビティと同調するために実働サイトとバンカーサイト間の短距離の適切な帯域幅も必要です。バンカーサイトとリカバリサイト間の唯一の処理が、災害が起きた場合のSRLの排出であるため、この2つのサイト間には大量の帯域幅の必要条件はありません。
ゼロリカバリポイントの目標。VVRの場合、リカバリサイトのデータは、災害がネットワークの過負荷または停止期間中に起きない限り、災害時点の最新データです。リカバリサイトのデータが古い場合は、バンカーサイトにあるVVRがSRLを排出してリカバリサイトのデータが最新になるまでSRLをリカバリサイトに対して実行し続けます。
リカバリサイトのデータのレプリカを、実働データの災害の瞬間の状態に更新できます。したがって、VVRバンカーレプリケーションはバンカー型の複製のコストを大きく削減でき、同時にいわゆるゼロリカバリポイントという点に関して大幅に向上したサービス品を実現します。
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Storage Foundationの真の効果
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Storage Foundation VVRオプションにより、バンカー型のディザスタリカバリの場合に必要な余分なストレージの大部分を省かれるのと同時に、災害の瞬間までのデータの復旧という強力な利点がもたらされます。このオプションは、従来型のバンカー技法ではコストが高過ぎるか、十分にタイムリーな対応ができないアプリケーションと大規模なデータセットの、高い災害復旧率を可能にします。
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著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。
http://www.symantec.com/jp
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