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いまさら聞けないApache〜Webサーバ構築のキソ |
第1回:Apacheはインターネットで使うWebサーバなのだ
著者:ビーブレイクシステムズ 木下 喜雄 2007/6/5
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Apacheとは
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Apacheの正式名称は「Apache HTTP Server」です。Apacheソフトウェア財団によると名前の由来は「Apacheという名前はインディアン部族、Apacheに対する敬意の念をあらわすため選んだ」とのことです。
現在、Apacheの開発は「Apache HTTP Server プロジェクト」で行われています。Apacheソフトウェア財団では、さまざまなオープンソースのソフトウェアを無償で開発しており、オープンソースの世界では有名なTomcat、Struts、Antなどもここで開発されています。
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Apacheのシェア
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「Webサーバと言えばApache」といわれるほど、Apacheは世界中のWebサーバで利用されているアプリケーションです。おそらく読者の皆さんもApacheという単語は聞いたことがあるのではないでしょうか。
では、Apacheは現在どのぐらい利用されているのでしょう。Netcraft社によると2007年5月現在のデータは、Apacheのシェアは約56%です。
開発元 |
Webサーバ数 |
2007年5月現在のシェア |
Apache |
66,087,698 |
56.00% |
Microsoft |
37,170,290 |
31.49% |
Sun |
2,141,252 |
1.81% |
Lighttpd |
1,411,788 |
1.20% |
Zeus |
491,989 |
0.42% |
このデータを見ると、世の中にあるWebサーバの半分以上にApacheが使われていることがわかります。しかし、なぜこれだけApacheが選ばれるのでしょうか。それはApacheが他のWebサーバより優れているからにほかなりません。では優れている点はどのような点でしょう。
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Apacheの特長
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Apacheが他のWebサーバより優れている点は以下のポイントがあげられます。
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信頼性が高い
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筆者がシステム開発に参加している案件のみならず、様々なWebサーバにApacheを採用するケースが多くなっています。仕事でApacheを使っていると、信頼性はシェアの高さからも感じとることができます。
では実際、どの程度信頼性が高いのでしょうか。先ほどのNetCraft社が発表した2007年3月のWebサーバ性能ランキングをまとめてみました。これは、月間の障害発生時間、リクエスト処理時間などを元にランキングされています。
Rank |
ドメイン |
会社名 |
OS |
Webサーバ |
1 |
www.datapipe.net |
DataPipe |
unknown |
Apache |
2 |
www.navisite.com |
www.navisite.com |
Windows Server 2003 |
Micorosoft IIS |
3 |
myhosting.com |
myhosting.com |
Windows Server 2003 |
Micorosoft IIS |
4 |
www.iWeb8.com |
www.iWeb8.com |
Linux |
Apache |
5 |
www.nyi.net |
New York Internet |
FreeBSD |
Apache |
6 |
www.webfusion.co.uk |
WebFusion |
Linux |
Apache |
7 |
www.westhost.com |
www.westhost.com |
Linux |
Apache |
8 |
www.expresstech.net |
Express Technologies |
Windows Server 2003 |
Micorosoft IIS |
9 |
www.valueweb.net |
Valueweb |
Linux |
Apache |
10 |
www.1and1.com |
www.1and1.com |
Linux |
Apache |
表6の通り、TOP10のうち7つがApacheという結果になっています。
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多彩なプラットフォーム
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ApacheはUNIX、Windows95/98/2000/Me/NT/などのWin32(Windows95/98/Meは十分にテストされていないため導入はお勧めできません)、IBMのOS/2、Mac OS Xなどで動作します。つまりApacheを使用するために特別な環境を用意する必要はありません。例えば自宅にあるマシンにApacheをインストールすれば、すぐにWebサーバを構築することができます。
一方、シェア第2位のMicrosoft Internet Information Services(IIS)は、標準でIISが搭載されているOSが必要であり、Apacheのように誰でも自由に使うとことができません。
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オープンソース
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これがApacheの最大の特徴だといえるでしょう。なぜならApacheはオープンソースのため、興味があれば誰でもソースコードを見ることができます。そのため、常に外部から多くの人の目でチェックされ、改良を続けることでApacheの安定性は高まっています。その結果、他の商用製品と比べても格段に優れたものとなったのです。
ただし、Apacheはオープンソースのため、商用製品のような手厚いサポートを受けることはできません。しかしApacheのコミュニティなどに相談することで、素早く確実に回答を得ることができるでしょう。また、Apacheを有償でサポートしているサービスもありますので、「オープンソースだからサポートがない」と心配することはないのです。
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備わっている機能が豊富
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Apacheはユーザから希望が多く寄せられてきた機能を積極的に追加・拡張しています。また機能をモジュールとして分割し、ユーザが新機能を開発するためのAPIも公開しています。このAPIを利用した追加モジュールがユーザによって数多く作成され、公開されています。そのため有用な機能を提供するモジュールはApacheの配布パッケージに含まれることもあり、さらに機能強化を施すこともできるのです。ちなみに最新のApache 2.2ではモジュールの数が81もあります。
このほかにもApacheが優れている点は多くありますが、大きなポイントはこの点だと筆者は考えます。
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まとめ
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今回はApacheを導入するための基礎知識をまとめました。Apacheとは何か、ApacheとWebブラウザとのやり取りの仕組みといったポイントを中心に解説しました。今回はApacheを使うための基礎知識は理解いただけたかと思います。詳しい人にとっては、繰り返しのような内容になってしまったかもしれませんが、これからApacheをはじめようという人にとって、忘れてはならないポイントなのです。
次回から実際にApacheのインストールを試すための方法を解説しますので、ご期待ください。
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著者プロフィール
株式会社ビーブレイクシステムズ 木下 喜雄
Javaスペシャリスト。前職ではCobol,VBを用いた大規模流通業向けシステム開発を行う。その現場で大規模システム構築時の開発効率の向上を目指してオブジェクト指向的な考え方を身につける。その後独学でJava言語を習得し、Java専業ベンダーであるビーブレイクシステムズに転職、現在は、Javaを用いた開発だけではなくお客様とのリアルコミュニケーションを実現できるマルチなエンジニアを目指し、日々奮闘中。
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