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Ubuntu
サーバ版Ubuntuで実現する完全無償環境

第3回:Ubuntu Serverの特徴と管理方法

著者:Ubuntu Japanese Team  小林 準   2007/12/10
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コンポーネントについて

   Ubuntuのレポジトリでは、パッケージが「main」と「restricted」「universe」「multiverse」の4つのコンポーネントに分類されています。それぞれのコンポーネントでサポートレベルやライセンスは、表1のようになっています。

   リスト10は、CD-ROM上のレポジトリを削除し、universeおよびmultiverseコンポーネントを有効にした6.06 LTS用sources.listの例です。コメント行は省略してありますが、日本で運用するサーバならば、多くの場合はこのsources.listを利用することで問題なく運用できます。

コンポーネント名 解説
main Ubuntuをデスクトップあるいはサーバとして利用する上で、重要なアプリケーションで構成されている。Ubuntu開発チームによって十分なサポートが提供される
restricted ビデオカードのバイナリドライバなど、特定のハードウェアでUbuntuを動作させるために必要だが、フリーなライセンスの下で提供されていないソフトウェアで構成されている。Ubuntu開発チームによって十分なサポートが提供される
universe コミュニティによってサポートされるソフトウェアで、フリーソフトウェアが含まれる。
multiverse コミュニティによってサポートされるソフトウェアで、VMWare PlayerやSun Javaなどのフリーではないソフトウェアが含まれる

表1:コンポーネントの一覧

リスト10:日本国内で利用するサーバ向けのsources.list

(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

リスト11:ドキュメントを表示
$ less README.Debian.gz

リスト12:パッケージ名で内容を検索
$ dpkg -L パッケージ名 | less

リスト13:サーバアプリケーションの操作
$ sudo /etc/init.d/スクリプト start   ── 起動
$ sudo /etc/init.d/スクリプト stop    ── 停止
$ sudo /etc/init.d/スクリプト restart ── 再起動
$ sudo /etc/init.d/スクリプト reload  ── 設定ファイルの再読み込み(対応していないパッケージもある)

リスト14:確認すべきログ
/var/log/auth.log    認証に関するログ
/var/log/syslog      認証を除くほぼすべてのログ
/var/log/daemon.log  各種デーモンが出力するログ
/var/log/messages    認証、メール、cron、デーモンを除くほぼすべてのログ
/var/log/mail.log    メールに関するログ
/var/log/kern.log    カーネルが出力するログ
/var/log/user.log    ユーザープロセスが出力するログ

   パッケージ情報を更新するまでsources.listの変更は有効にならないため、1ページ目のリスト1に掲載したapt-getコマンドで、パッケージ情報を更新します。


サーバアプリケーションの管理

   APTを使って目当てのサーバアプリケーションを導入したら、次はそのアプリケーションを管理する方法を覚えておきましょう。ここでは、Ubuntuにおけるサーバアプリケーションに共通する、ごく基本的な管理方法について解説します。

   まずドキュメントファイルの参照についてです。各パッケージのドキュメントは「/usr/share/doc/パッケージ名」以下に収録されています。前述のopenssh-server」の場合は、「/usr/share/openssh-server/」となります。

   アプリケーションによっては、この中にある「README.Debian.gz」にパッケージのインストール後に行うべき設定の方法が書かれていることがあります。どのように設定すべきか迷ったときは、まずこのファイルを参照するとよいでしょう。内容を参照するには、リスト11のコマンドを実行します。

   設定ファイルは「/etc」以下のディレクトリに配置されます。ディレクトリ名はアプリケーション名やパッケージ名から推測がつくケースがほとんどでしょう。もしわからない場合にはリスト12のコマンドを実行し、「/etc」以下にどのようなファイルが置かれたかを確認します。

   設定ファイルの具体的な編集方法は、前述のREADME.Debian.gzやその他のドキュメントファイル、目的のサーバアプリケーションに関する書籍などを参照してください。


サーバアプリケーションの起動と終了

   サーバアプリケーションの起動と終了は、/etc/init.d/以下に配置されたスクリプトを使ってリスト13のように行います。例えばopenssh-serverの場合は「/etc/init.d/ssh」を使います。

   サーバアプリケーションのようなバックグラウンドで動作するプログラムは、処理の内容や発生したエラーを「/var/log」以下のログファイルに記録します。サーバアプリケーションが期待通りに動作しない場合は、まずリスト14のログの内容を確認すると良いでしょう。

   これらの他に、各サーバアプリケーションが専用のログファイルを作る場合もあります。詳しくは各アプリケーションのドキュメントを参照してください。

   Ubuntu Serverの基本的な特徴は以上です。次回は、実際にサーバアプリケーションをインストールして動作させるまでの手順を、例をあげて解説します。

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Ubuntu Japanese Team 小林 準
著者プロフィール
Ubuntu Japanese Team  小林 準
Ubuntuプロジェクトのオフィシャルメンバーで、Ubuntu Japanese Teamの代表として活動している。最近は、業務でUbuntuをサーバOSとして利用することも多くなってきた。著書に「独習Linux」(翔泳社、2007年1月)がある。

http://junkobayashi.jp


INDEX
第3回:Ubuntu Serverの特徴と管理方法
  Ubuntu Serverのパッケージ管理
  リポジトリの設定
コンポーネントについて