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第2回:Samba 3.0.20以降の新機能を追え(1)

著者:たかはしもとのぶ   2007/8/10
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ACLサポートの拡張:Samba 3.0.20

   ACLとはファイルへの細かいアクセス制御を実現する機能です。WindowsではファイルシステムにNTFSを用いることでサポートされています。UNIXやLinuxでも最近はサポートされていますが、実装は異なります。

   Samba 3.0.20以降では、ファイルのアクセス制御にACLを利用している環境での互換性を向上させるパラメータがいくつか追加されています。

書込み権のあるグループのユーザからのACL操作を実現する

   UNIX(Linux)のファイルシステムでは、伝統的にファイルのACLやパーミッションを変更できるのは所有者もしくはrootだけです。一方、WindowsのNTFSでは、フルコントロール権限のあるユーザやグループであれば、だれでもACLの設定変更が可能です。

   この実装の差を埋めるべく、新規追加された「acl group control=yes」の設定を行うことで、書込み権のあるグループに所属しているユーザはACLを操作することが可能になりました。


rwxのマッピングを「フルコントロール」から「読み取り、書き込み、実行」に変更する

   新規追加された「acl map full control=no(デフォルト:yes)」という設定を行うことで、UNIX上で「rwx」となっているファイルをWindowsから参照した時の表示が図4から図5のように変わります。

「acl map full control=yes」の場合
図4:「acl map full control=yes」の場合

「acl map full control=no」の場合
図5:「acl map full control=no」の場合

   前述したように「acl group control=no」の環境では所有者以外のユーザがACLを変更することができません。図5のように「rwx」が「フルコントロール」と表示されていると一見ACLの変更が可能なように見えてしまいますので、「acl map full control=no」とした方がより実態に合致したアクセス許可となるでしょう。一方「acl group control=yes」の場合は「acl map full control=yes」がふさわしいと思います。


次回は

   次回はイベントログファイルの扱いやメッセージングなどの違いについて解説を行っていきます。

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たかはしもとのぶ
著者プロフィール
たかはしもとのぶ
1970年生まれ。1993年早稲田大学第一文学部哲学科卒。同年NTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)に入社。
クライアント・サーバシステム全般に関する技術支援業務を長く勤める。UNIX・Windows等のプラットフォームやインターネットなどを中心とした技術支援業務を行なう中で、接点ともいうべきMicrosoftネットワークに関する造詣を深める。
現在は「日本Sambaユーザ会」スタッフなどを務め、オープンソース、Microsoft双方のコミュニティ活動に関わるとともに、各種雑誌への記事執筆や、講演などの活動を行なっている。


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