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第4回:Javaのシステム更改を考慮していますか?

著者:みずほ情報総研  老川 正志   2007/9/28
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対応法2:Rollout Update

   2つ目の方法としては、「Rollout Update(注2)」になります。「Rollout Update」は、クラスタ構成のアプリケーションサーバに対して有効な方法で、図3のようにクラスタに所属する各メンバに対して順次アプリケーション更新を実施するものです。この方法により、システム全体としては停止せずに、アプリケーション更新を実施することができます。
※注2: 「Rollout Update」は「Rolling Update」と呼ばれることもあります。

Rollout Update
図3:Rollout Update

   例えば「IBM WebSphere Application Server Network Deployment」では、管理ツール(Deployment Manager)を使用し、クラスタに所属する各メンバについてノードごとに順次アプリケーション更新を実施します。IBM WebSphere Application Serverは、1つのノードに複数のメンバを作成することが可能で、この場合は1つのノードにある複数のメンバは、同時にアプリケーション更新を実施します。

   またTomcatの場合は手作業になりますが、各メンバに対して順次アプリケーション更新を実施します。

   なお、Rollout Updateの方法は、アプリケーション更新だけではなくアプリケーションサーバのパッチ適用にも対応することができます。各メンバに対して順次パッチを適用し、サーバ再起動することで、システム全体としては無停止でアプリケーションサーバのパッチを適用することができます。


今回のまとめ

   今回のまとめです。システムの運用・保守では、システム更改が発生することを前提にシステム構成や運用手順を考慮すべき点について、トラブル事例を2つあげて、それぞれの対応方法を説明しました。

システム更改は発生することを前提にシステム構成や運用手順を考慮しましょう
  • コンテンツ配置を工夫することで、アプリケーションのビルドとデプロイの回数を減らすことができます
  • アプリケーションサーバの機能を利用することで、システムを停止せずシステム更改ができます

表5:今回のまとめ

   これまで4回にわたり、Javaの運用・保守を切り口とした開発のポイントや、運用・保守のノウハウを解説してきました。第1回目でも簡単にお話しましたが、どうしても開発時はプロジェクトが忙しくなると忘れがちです。この連載の内容を、開発時の教訓として覚えていただけたらと思います。

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みずほ情報総研株式会社 老川 正志
著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社  老川 正志
技術企画部 システムエンジニア
2001年、株式会社富士総合研究所(現 みずほ情報総研株式会社)入社。システム開発部門への技術支援業務を経験後、データセンター ソリューション「TEXIV(テキシブ)」の立ち上げに参画、2002年から現職。現在は、ホスティングサービス事業の拡大のほか、システム開発効率向上の企画・調査を担当。


INDEX
第4回:Javaのシステム更改を考慮していますか?
  Javaのシステム更改についてありがちな事例と対処法
  ケース2の対応法:アプリケーションサーバを停止しないアプリケーション更新
対応法2:Rollout Update