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Ruby 1.9.1を試す!
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先取り!Ruby 1.9.1

著者:東京大学  笹田 耕一   2007/9/28
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Ruby 1.9.1を試そう!

   現在、Ruby 1.9.1を2007年中にリリースするために、鋭意開発を進めています。開発版リポジトリはSubversionで公開されていますので、誰でも試すことが可能です。そこで、本記事の最後にRuby 1.9.1リリースのために開発中である、Ruby 1.9.0を試す方法を紹介します。

   このバージョンで自分のプログラムが動くか確認してみてください。そして、開発版Rubyにバグを見つけたらぜひ教えてください。

Windowsの場合

   Windows版Rubyはいくつかのバージョンがあるのですが、ここではMicrosoft Visual Studio 2005(VS2005)を利用したビルド手法を紹介します。まず、VS2005とRuby 1.8.xを準備してインストールしてください(注2)。また、Subversionをインストールしておいてください。WindowsではTortoiseSVNも便利だと思います。その他、bisonやsedなどのツールが必要となりますので、cygwinなどを利用してできるようにしておいてください。

※注2: Ruby開発版をインストールするためにはRubyが必要になりました。Ruby処理系をビルドするために必要なファイルをRubyを用いて生成するためです。今後、ソースコードパッケージとして配布する際には生成したファイルを含める予定ですので、そちらを用いればRubyは必要ありません。

   次のコマンドでRuby 1.9のソースコードをダウンロードします。

> svn co http://svn.ruby-lang.org/repos/ruby/trunk ruby-1.9

   ビルドディレクトリを作ります。

> mkdir build-ruby-1.9
> cd build-ruby-1.9

   ビルド前の設定を行います。ここではprefixを指定してインストール先ディレクトリを「C:\ruby-1.9」にしています。この設定はお好みでどうぞ。

> ..\ruby-1.9\win32\configure.bat --prefix=c:/ruby-1.9

   nmakeコマンドを利用してビルドを実行します。

> nmake

   testを実行して、きちんとビルドできたか確認します。

> make test

   なお、bootstraptest/test_knownbug.rbというファイルに格納されているテストは、名前の通りまだ解決していないバグですので、もしそのファイルに含まれているテストが失敗していれば、そのエラーは無視してください(まだ開発版なので勘弁してください)。

   テストの結果に納得したら、nmake installコマンドを実行してインストールします。先ほどconfigureで指定した「c:\ruby-1.9」にコマンドやライブラリなどがインストールされます。

> nmake install

   次のコマンドで実際にインストールされているか確認できます。

> c:\ruby-1.9\bin\ruby.exe -v

   バージョン表示がされたらインストール成功です。


Linuxなど、UNIX系OSの場合

   LinuxなどのUNIX系OSの場合、autoconf、make、gccなど、定番の開発用ソフトウェアに加えて(注3)ruby 1.8.xをインストールしてください。また、リポジトリからソースコードをダウンロードするためにSubversionをインストールしてください。

※注3: Ruby開発版をインストールするためにはRubyが必要になりました。Ruby処理系をビルドするために必要なファイルをRubyを用いて生成するためです。今後、ソースコードパッケージとして配布する際には生成したファイルを含める予定ですので、そちらを用いればRubyは必要ありません。

   次のコマンドでRuby 1.9のソースコードをダウンロードします。

$ svn co http://svn.ruby-lang.org/repos/ruby/trunk ruby-1.9

   autoconfコマンドを実行してconfigureファイルを作成します。

$ cd ruby-1.9
$ autoconf
$ cd ..

   ビルドディレクトリを作ります。

$ mkdir build-ruby-1.9
$ cd build-ruby-1.9

   configureを実行します。このとき、prefixを指定して、インストール先ディレクトリを「/tmp/ruby-1.9」に指定しておきます。この設定はお好みでどうぞ。

$ ../ruby-1.9/configure --prefix=/tmp/ruby-1.9

   makeコマンドを実行して、ビルドを行います。

$ make

   testを実行して、きちんとビルドできたか確認します。

$ make test

   なお、bootstraptest/test_knownbug.rbというファイルに格納されているテストは、名前のとおりまだ解決していないバグですので、そのエラーは無視してください(まだ開発版なので)。

   テストの結果に納得したら、make installコマンドを実行してインストールします。先ほどconfigureで指定した/tmp/ruby-1.9にコマンドやライブラリなどがインストールされます。

$ make install

   次のコマンドで実際にインストールされているか確認できます。

$ /tmp/ruby-1.9/bin/ruby -v

   Rubyのバージョンが表示されればインストールは成功です。


おわりに

   本記事では、今冬にリリース予定のRuby 1.9.1について簡単に紹介しました。

   これまでのRubyとは違い、バージョン1.9.1では仮想マシンの導入、およびM17N対応と、かなり大きな変更が入ります。そのため、実際にリリースされた後、どのような状況になるのかちょっと予測がつきません。またRuby 1.9.1では、1.9で導入される細かい仕様修正の影響でRuby on Railsが動かないという大きな問題があります。

   ですが、Ruby 1.8.xも安定して利用されたのは1.8.5以降という話もありますので、安定するまで見守っていただければと思っています。Ruby 1.8.xのサポートは、Ruby 1.9.1以降も当分続くそうですので、安定版を求める人はそちらをご利用いただければと思います。

   現在、Ruby 1.9.1のための開発は鋭意続けています。実は今日(2007年9月26日現在)もRuby 1.9のM17N仕様検討のための開発者ミーティングがありました。1日中議論をしていてヘトヘトです。そんなわけでいろいろ頑張ってますので、Ruby 1.9.1、どうぞお楽しみに。

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東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻特任助教 笹田 耕一
著者プロフィール
東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻特任助教
笹田 耕一

趣味ではじめたはずのRubyのVM開発が、いつの間にか本職に。2006年に東京農工大学博士後期課程を退学して現職。言語処理系やOS、並列システムなどの研究に従事。日本Rubyの会理事として、RubyistMagazine(http://jp.rubyist.net/magazine/)の編集なども。


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