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High Availability化の基準
High Availability化の基準

ユーザサイトにみる障害対応事例

著者:サイオステクノロジー  與倉 和明   2007/10/30
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HA化の導入基準とは

   HA化の導入にはコストがかかるため、すべてのシステムをHA化するケースはあまりないと考えられます。ではHA化の導入基準は、どこにあるのでしょうか。

   基幹系データを保持しているデータベースが止まってしまうと、蜘蛛の巣のようにさまざまなシステムに影響が出てしまい業務が停止することもあるため、必須であることは当然といえるでしょう。

   しかし、今回のようにアクセス数がそれほど想定されないシステムにおいても、公開系のフロントエンドサーバではHA化の必要性を痛感しました。なぜならば、たった1度のシステム停止によって、利用ユーザの方々の信頼感や、ビジネスの機会損失が起きてしまうからです。

現在の状況

   現在(2007年10月)のPKのユーザサイトは他システムが稼働していた当初のシステムから完全に切り離し以下のようなLifeKeeperによるHA構成で稼働しています。

現在のシステム状況
図3:現在のシステム状況

   これにより、今までのような夜間バッチによる再起動や手動によるサービスの再起動をする必要もなくなり、安定的にサービスを提供することができています。結果として、管理コストも大幅に削減されています。

   今回は予算上の問題と調査段階で障害の原因がフロントエンド部分であることが明白であったため、冗長化対象をフロントエンド側のみとしました。しかし、バックエンド側のTomcat、PHPに障害が発生した場合はやはりシステムが停止してしまいます。今後は、さらなる安定したサービスを提供できるようにバックエンド側の冗長化にも着手していく予定です。


スピード化と品質向上の実現するHA化

   今の時代はITに限った話ではなく、「時間をかける」という事がなかなか難しい時代だと思います。すべてが同時並行で進んでいき、「まずは行動」という考え方で、改善、改善を繰り返していき、最善を見つけていく事が重要だと思います。

   サーバ運用やシステム運用に関しても、短期間で構築・運用開始することが常に求められます。サービスの開始が遅れればそれだけビジネスチャンスを逃してしまうからです。そういった環境の中では完成形にしてからリリースするのでなく、最低限の状態でサービスを開始するケースが増えてきています。しかし、そのような状態でリリースしたとしても、サービスの停止を余儀なくされるケースがほとんどでしょう。

   しかし、そのサービスが停止してしまっては、本末転倒です。そうならないためには、HA化の導入によってリスクを分散することが重要です。その結果、ユーザの信頼性を保ちと機会損失を減らすことができます。

   スピード化と品質向上は相反することが多いのですが、HA化を実現するLifeKeeperがこのパラドックスを解決する1つの手段となれれば幸いです。


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サイオステクノロジー株式会社 與倉 和明
著者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社  與倉 和明
システムインテグレーション事業部 ビジネスソリューション部長
重電機メーカー入社後、ソフトウェア開発の魅力に取り付かれ、SIer、コンサルティング会社などを経て、テンアートニ(現サイオステクノロジー)入社。システムコンサル〜開発まで全般をこなす。現在はSIOS Applicationブランドを立ち上げ、開発責任者としてアプリケーションビジネスを展開している。


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