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Hinemosではじめる運用管理〜運用設計の導入〜
Hinemosではじめる運用管理〜運用設計の導入〜

第3回:Hinemosの監視設計

著者:NTTデータ  高畑 知也   2007/10/16
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ping監視機能

   管理対象ノードのNICの状態を監視し、ネットワーク接続が正常に行えていることを確認する場合に、ping管理機能を利用します。また応用的な利用方法として、クラスタ構成のサーバが持つ仮想IPに対してping監視を行うことで、クラスタ構成全体の死活監視(注1)を実現できます。
※注1:死活監視
クラスタ構成で最低1つのサーバが機能していることを確認できる。


監視アーキテクチャ

ping監視機能のアーキテクチャ
図1:ping監視機能のアーキテクチャ

   ping監視(注2)は、管理対象ノードに対してHinemosマネージャーから発行したパケット(IPもしくはICMP、注3)が正しく到達し、Hinemosマネージャーへ返答されるかを確認することによって実現しています。

※注2: ping監視
Hinemos Ver. 2.3では、数多くの管理対象ノードに対するping監視処理の高速化が実現されます。
※注3: 発行したパケット
Hinemosの起動ユーザにより、ping監視で利用されるパケットは異なります。


監視設定のポイント

   ping監視は死活状態を確認するサーバ(注4)を含むスコープに対して設定します。Hinemosエージェントがインストールされていない管理対象ノードも監視できるため、すべてのサーバを監視対象とするのが一般的と考えられます。

※注4: 確認するサーバ
ネットワーク機器の状態は後述するSNMP TRAP監視でも実現します。

   そのため、「第2回:Hinemosの画面設計とリポジトリ設計」の図4における「設定 → ノード → サーバ」スコープのように、すべてのサーバが含まれるスコープを定義すればping監視の設定を簡潔にまとめることができます。

   また、数多くの管理対象ノードが存在する環境下で、このようなノードの重複がないスコープを利用することでping監視の性能が向上します。

   ネットワーク疎通が途絶えると影響が大きな範囲におよぶ場合もあります。このため監視間隔は「1分」のようにできるだけ短く設定することが考えられます。また、パケット紛失率が高かったり応答時間が長い場合に加え、パケットに対する応答がないケースもping監視において通知すべき状態となります。


監視設定例

   表5にping監視の設定例を示します。

ping監視の設定例
表5:ping監視の設定例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


SNMP TRAP監視機能

   ネットワーク機器などで発生したイベント(ポート障害など)を監視する場合にSNMP TRAP監視を行います。


監視アーキテクチャ

SNMP TRAP監視機能のアーキテクチャ
図2:SNMP TRAP監視機能のアーキテクチャ

   SNMP TRAP監視では、管理対象機器において発生したSNMP TRAPをHinemosマネージャーで受信することで監視を実現しています。Hinemosは、SNMP TRAPの「ObjectID」と「GenericID」「SpecificID」の組み合わせでTRAPを識別します。


監視設定のポイント

   SNMP TRAP監視は、SNMP TRAPによるイベント通知に対応した管理対象ノードを含むスコープに対して設定します。

   そのため、前回説明した図4における「設定 → ノード → ネットワーク機器」のようにすべてのネットワーク機器が含まれるスコープを定義すれば、SNMP TRAP監視の設定を簡潔にまとめることができます。

   ネットワーク機器の種類ごとに識別するObjectIDが異なる場合があるため、さらに「設定 → ノード → ネットワーク機器 → L2スイッチ」など、1階層下のスコープを定義するケースも考えられます。

   また、監視項目に設定したノードからのTRAPのみSNMP TRAP監視が行われるため、設計当初は可能な限り多くのノードから監視項目として設定し、徐々に設定からはずしていくことも考えられます。これにより、漏れのない監視を行いながら段階的に運用できるのです。


監視設定例

   SNMP TRAP監視の設定項目は2段構成となります。監視するObjectIDが同一のグループごとに監視項目を作成し、監視項目ごとにSNMP TRAPのリストを作成します。

   設定例を表6と表7に示します。

SNMP TRAP監視の設定例
表6:SNMP TRAP監視の設定例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

SNMP TRAP監視OIDの設定例(注5)
表7:SNMP TRAP監視OIDの設定例(注5)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

※注5: SNMP TRAP監視OIDの設定例
Hinemosには、デフォルトでいくつかのSNMP TRAPのOIDが登録されています。今回取り上げているものは、その一部を使用した例となっています。

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株式会社NTTデータ 高畑 知也
著者プロフィール
株式会社NTTデータ  高畑 知也
基盤システム事業本部
オープンソース開発センタ
2006年、株式会社NTTデータに入社。入社以来、オリジナルOSSの開発やOSSを用いたシステム構築の技術支援に従事。


INDEX
第3回:Hinemosの監視設計
  監視機能の設計の勘所
ping監視機能
  リソース監視機能