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【新・言語進化論】仕様記述言語を知っていますか?

【新・言語進化論】仕様記述言語を知っていますか?

第2回:仕様記述言語の種類について

著者:NTTデータ 山本 修一郎

公開日:2007/11/14(水)

「Z言語」の歴史的背景

Z言語は1970年代の終わりにOxford大学プログラミング研究グループのAbrialらによって開発された。Z言語はOxford大学とIBMのHursley研究所がCICS(Customer Information Control System)の開発に適用したことで実用性が認められた。その後、Z言語はISOで2002年に標準化されている。

Abrialは1980年代になってB-Methodをフランスで開発した(B-Methodは開発手法全体の総称)。B-Methodでは形式仕様からコード生成でき、パリの地下鉄などへの適用実績もある。Bは1990年代末に時間制約を扱えるように拡張されたEvent-Bとして現在もなお発展している。

Z言語を中心としたこれらの仕様記述言語の発展の歴史は次のようになる。



「Z言語」の記述の特徴

仕様記述言語としてのZ言語の特徴は、スキーマ表記である。スキーマによりシステムの状態と操作を記述する。上図に示したように、スキーマは宣言部と不変式や条件式を記述する述語部の2つに仕切られている。

状態スキーマでは、宣言部で状態空間を構成する変数を記述し、述語部で変数が満たす性質を不変式を用いて記述する。

操作スキーマでは、宣言部で状態空間を構成する状態スキーマとシステム入出力を記述し、述語部でシステム入力に関する事前条件とシステム出力に関する事後条件を記述する。

Z言語
http://hello.to/zed/
B-Method(B-Method - Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/B-Method
B-Methodのマニュアル、MATISSE: Methodologies and Technologies for Industrial Strength Systems Engineering
http://www.atelierb.societe.com/documents_en.htm

では次に、VDM-SLについて解説していこう。 次のページ




株式会社NTTデータ 山本 修一郎
著者プロフィール
株式会社NTTデータ 山本 修一郎
フェロー プリンシパルR&Dスペシャリスト 技術開発本部 システム科学研究所 所長
1979年日本電信電話公社入社、2002年NTTデータへ転籍、2007年4月NTTデータ 初代フェロー、技術開発本部システム科学研究所所長に就任。ソフトウェア工学、要求工学、Webデータベース連携、ICカードプラットフォーム、ユビキタスコンピューティング等の研究開発に従事し、最近は知識創造デザイン技術やサービスイノベーションの研究にも取組んでいる。


INDEX
第2回:仕様記述言語の種類について
  最先端で使われはじめている仕様記述言語
「Z言語」の歴史的背景
  「VDM-SL」の歴史的背景