アバナード株式会社 I&S ケイパビリティ・ディレクター 和田 玄氏
東京大学卒業後、大学院在学中にアクセンチュア入社。技術グループのITコンサルタントとして、さまざまなクライアントでシステム設計、構築に携わる。2005年、アバナードの日本法人の立ち上げに参加。現在、リーダーシップメンバーの1人として、社内の様々な意思決定に携わる。
テレホンブース
静かな社内の雰囲気を壊さないよう、個室が用意されたテレホンブース。
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仕事を進める上で、テクノロジとユーザという、2つの要素が相反してしまうことがあります。このような場合に「まずユーザ側に立つことを忘れない」という姿勢を明確化しています。
アバナードは世界43拠点に展開していますが、どんなプロジェクトにおいてもユーザサイドに立ち、ユーザへの価値を創っていくことに注力しています。これは非常に伝わりにくい部分かと思いますが、メッセージとして常に発信しようと心がけています。
例えば、複数の顧客に対して似たような技術やソリューションが適用できる場合、これらの顧客に対して、ほとんど同じ提案書を提出する企業もあると思います。しかし、私たちはユーザの事情を微に入り細に入り検討したうえで、そうした事情を反映した提案書を1社ごとに作成します。
とても明確化しにくいところですが、こういった姿勢を示していることが、80人規模の会社が非常に大きなプロジェクトを任されるに至ったことに繋がっていると感じています。
また、こうしたことを実現するためには、技術的なスキルを高いレベルで維持することも必要です。マイクロソフト社にほど近い、アバナード本社(シアトル)のソリューション部隊からは、各国の拠点に対してトレーニングカリキュラムが公開されています。 我々は、常にマイクロソフトの最新技術と知識を習得し、アクセンチュアの持つコンサルティングノウハウや方法論を活用して、それぞれの顧客に最適なソリューションを提供するという方法を取っているのです。
先ほどお話したように、マイクロソフトのソリューションを求めている企業は数多く存在します。しかし、日本においてアバナードと同様の「マイクロソフトに特化した」企業は少ないという現状もあります。これは、ユーザの要求にマッチするパートナーが非常に少ない、ということなのです。
もちろん.NETに対する技術を持っているエンジニアは数多くいらっしゃいますが、それらの方が、実際にその技術を必要としているユーザとの接点を持っているかという問題があります。パートナーになるためには、ユーザが求めているプロジェクトに手をあげ、自分たちが進めていくと宣言し、そこに人材を含めた必要なリソースを確保・運用する体制を維持しなければなりません。
エンジニアの方たちにとっては、この体制が、自らの技術力をユーザのために活用するための受け皿や接点になるわけですが、日本では、この体制を持つ企業がまだまだ少ないのです。逆にいえば、この体制を持つ企業が増えていけば、マーケットはまだまだ広がる可能性があるということにもなるでしょう。
ただし、これは日本に限った話です。例えば、イギリスでは、競合他社とのコンペが当然のことになっています。日本も今後はその方向に進むと考えていますので、アバナードとしてはユーザの信用を掴みながら、日本のマーケットやマイクロソフトのマーケットを成熟させていきたいと思います。
ユーザ側からみれば、そうではないと思います。それどころか「マイクロソフトのソリューションを扱っている」という意味では、非常に多くの競合会社がいるといえるでしょう。しかし、これまでお話ししてきたように、顧客の「パートナー」となりうる企業は非常に少ない。アバナードは、この意味で十分に差別化されていると考えています。
アバナードの「マイクロソフトに特化している」というメッセージには別の見方もあります。一般的に様々なソリューションを扱っている企業の場合、企業自体の方向性に合わせてエンジニアが自分のスキルを変えていく必要があります。しかしアバナードではマイクロソフトに特化していることで、エンジニアにとっては特定の技術に向かって自分を深められるというメリットを感じてもらえると考えています。マイクロソフト技術に可能性を見出している人にとっては、アバナードは特別な存在といえるでしょう。
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