株式会社ビートラステッド・ジャパン セキュリティソリューション事業部事業部長 北村 裕司氏
1996年ビートラステッド・ジャパン(株)(当時(株)エヌ・エス・ジェー)入社。プロジェクトマネージャ、コンサルタントとして、大手のキャリアやメーカーなど、数多くのPKI関連プロジュクトに携わった後、日本オジリナルの製品(KRS、Signus Solutions)やサービス(SureMail、Shared PKI)の企画から立上げ、各種アライアンスに携わる。現在、セキュリティ・ソリューション事業部長。
ソフトバンクホークス
ビートラステッド・ジャパンはソフトバンクグループなので、ソフトバンクホークスに関するグッズの社員割引があるという。
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当社は「セキュリティは、もはや公共インフラと同様の社会基盤である」と考えています。例えば昨年に多数発生したフィッシング詐欺による不正な振込みによって、実際に資産を失ってしまったお客様がいらっしゃいます。このような方が意識せずに安全にインターネットサービスを利用し、安全に資産を守れる環境作りに貢献することが当社にとっての社会貢献であり、ビジネスそのものなのです。
現在、「Signus」という製品に力を入れて販売しています。これは日本市場向けの製品であり、電子署名法や日本の法律ガイドラインにあわせて開発しました。欧米の製品を単にローカライズしただけでは、法制度や商慣習の違いからマッチしないケースがあります。当社の製品は、電子認証というインフラを扱っている性質上、日本市場にマッチさせるためのカスタマイズや製品開発も実施しています。
Signusは、グローバルスタンダードな技術と日本市場との適合性というバランスを考慮し、PKIの利用を認証用途から電子署名での本格的な利用へという思いからスタートしたものです。
実はこれはビートラステッド・ジャパンの前身であり、私がCTOを勤めていた日本ボルチモアテクノロジーズの時代に開発したソフトウェアです。この頃は世の中ではまだ電子署名が今ほど盛んではなく、開発しても売れるのかと議論がありました。
しかし、PKIベンダーの中でも技術力を売りにしている当社にとっては、「当時の課題を解決し、新しい市場を創造するためのチャレンジする」という位置付けでこの製品の開発に踏み切りました。今では、徐々に電子署名が使われるようになってきているので、今後はさらに多くの企業に採用されるような製品にしていきたいと考えています。
当社のような「セキュリティ専門会社」というと、ものすごく専門的で自分には知識がなく敷居が高いと感じられる方が多いと思います。もちろん電子署名法をはじめとした法制度の知識や、セキュリティについて様々なものを吸収する必要はあります。しかし、これらは入社後に覚えてもらえばよいと思っています。
このように入社時の専門性だけを考慮していないのは、当社が幅広い分野に対応したT字型人間が必要だと考えているからです。幅広い視点を持ちつつ、深い知識を蓄積することで、その知識を活かすことができることが重要なのです。そしてそのことは、エンジニアとしてスキルアップしたといえる「自分自身の差別化」をすることにつながると思っています。
ITに関しての基本的な能力があれば、専門知識は業務の中で積み上げることができます。セキュリティに興味があり、突っ込んで勉強していきたいという意欲のある方であれば当社で活躍していくことができます。セキュリティということでどうしても特殊性がありますが、社会のインフラを作っていこうという気概を持った人を歓迎しています。
そして、「何を深く掘り下げるか」ということを選択することは非常に重要といえるでしょう。そう考えた際、セキュリティという分野は奥深く多くのことを得られますので、当社にてその選択をしていただけたらと思っております。
アイデアの段階までは普通の企業でも出る部分だと思います。しかし実際に予算をつけて動き出すまでには結構大変なプロセスが必要でしょう。
当社はよいアイデアがあると、実際にタスクフォースを組成し、技術面、ビジネス面、場合によっては法律面も含めて組織的に検討するチームで動きます。
検討期間はおおむね3ヶ月。もっと短いものもあります。このような仕組みで実際に製品化、サービス化されたものは多々あり、先ほど紹介した「Signus」も然り、最近では、6月にリリースした「Cybertrust Shared PKI for SSL-VPN」というサービスもその1つです。実は、こういう話をしている今現在も極秘裏に進んでいるプロジェクトがあります。
「最先端のセキュリティ技術を誰もが利用できる社会インフラへ」
これほどワクワクすることは、他にはなかなかないと思います。
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