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徹底比較!! エンタープライズサーバOS

第3回:エンタープライズサーバOSの機能を見る
(2)Windows Server編

著者:大神企画  富樫 純一   2005/01/14
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Windows Serverのロードマップ

   現行バージョンのWindows Server 2003が登場して2年になろうとしている。この間、幾度となくアップデートモジュールが提供され、プラットフォームとしての安定さがより増した。同時に、次期バージョンの姿も明らかになってきた。

   マイクロソフトは、Windows Serverのリリースサイクルをロードマップとして公開している。つまり、次期主要リリースとして計画されている「Windows Server "Longhorn"」の登場は2007年。ちょうど中間にあたる2005年には、更新リリースが登場することになっている。



   そこで近々に登場する予定なのが、Windows Server 2003 Service Pack 1(SP1)である。サービスパックでは、すでに公開されている更新モジュールを1つの簡易パッケージにすべて組み込まれるとともに、いくつかの新しい機能が追加される。

   間もなく登場するWindows Server 2003 SP1には、インターネット接続ファイアウォールの後継で、機能強化されたソフトウェア・ファイアウォール「Windowsファイアウォール」、Windows Serverがセットアップされてからセキュリティ更新プログラムが適用されるまでの間の脆弱な状態を回避する「Post-setup Security Update Wizard(PSSU)」、既存のサーバの役割に必要のないすべてのサービスを停止する「Security Configuration Wizard(SCW)」など、信頼性とセキュリティをさらに強化する各種新機能が搭載される予定だ。それに加え、最大10パーセントほどパフォーマンスが向上するという。

   続いて登場が予定されているのが、「Windows Server 2003 "R2"」である。このリリースはWindows Server 2003 SP1をベースに、これまでFeature Packとして提供されてきた主要機能を搭載。さらに、ネットワークに接続するコンピュータに対して、最新のセキュリティ対策やパッチなどの適用を要件とする「Network Access Protection(NAP)」、ネットワークの境界を越えてシングルサインオンを実現する「Active Directory Federation Services」などの新機能が実装される予定だ(一部はR2ではなくLonghornでの実装になるかもしれない)。

   一方で、64ビット拡張機能を持つx86互換プロセッサ技術であるIntel Extended Memory 64 Technology(EM64T)、あるいはAMD64をサポートする「Windows Server 2003 for 64-Bit Extended Systems」(Windows Server 2003 x64)のリリースも近い。これは、Intel Xeon EM64TやAMD Opteronなどのプロセッサを搭載した64ビットシステム上で、既存の 32ビットアプリケーションをネイティブに実行するもの。既存の32ビットアプリケーション資産を利用しながら、64 ビットシステムへと移行する最適な環境となる。

参考:
http://www.microsoft.com/japan/windowsserversystem/overview/
engineeringroadmap.mspx
(日本語)
http://www.microsoft.com/windowsserver2003/evaluation/overview/
roadmap.mspx
(英語)


まとめ

   このように、Windows Serverは、商用OSの代表として確実に進歩を遂げている。Linuxが伸長すると言われる今後数年間だが、LinuxによってWindowsが脅かされる可能性は少ないだろう、という意見が大方の予想である。


いよいよ本格的な普及期が到来〜64ビットプロセッサ搭載サーバ〜

   64ビットプロセッサが登場して約5年が過ぎた。IBM「POWER」やサン「SPARC」などの最新RISCプロセッサは、すでに64ビット化が完了。当初から64ビットプロセッサとして開発されていたEPICアーキテクチャのインテル「Itanium」も、2003年に登場した第3世代の「Itanium 2」(コード名 Madison)以降、確実に市場に受け入れられている。しかし、サーバ市場全体から見た64ビットプロセッサの割合は、まだまだ少数派だった。

   そうした中、2004年にプロセッサの64ビット化が急速に進むであろうと予測される出来事が起きた。x86アーキテクチャを踏襲したインテルの「EM64T」、AMDの「AMD64(x86-64)」というテクノロジーの登場である。これらは、従来の32ビット環境との高い互換性を維持しているので、従来のソフトウェア資産を利用しながら段階的に64ビット環境に移行することができる。

   2005年は、そうした64ビットプロセッサ搭載サーバが本格的に普及する元年と呼ぶべき年になるだろう。AMDのプロセッサは、2005年末までにサーバおよびデスクトップ向けのほとんどがAMD64(Athlon64またはOpteron)に切り替わると予想されている。インテルのプロセッサも、Xeonが64ビットに拡張され、サーバおよびハイエンドワークステーションの64ビット化が進むだろう。

   それを牽引するのが、64ビットプロセッサに対応した新しいOSである。Solaris、HP-UXなどの商用UNIX、Red Hat、SUSE、Turbolinux、MiracleなどのLinuxディストリビューションでは、EM64T/AMD64対応版が続々と登場。さらに、エンタープライズサーバOS市場で7割以上のユニットシェアを持つWindows Serverでも、EM64T/AMD64対応版(Windows Server 2003 x64)が発売される予定になっている。

   そうした動向に合わせ、インテルやハードウェアメーカーは、x86とItaniumとを明確に棲み分けようとしている。つまり、従来の32ビット資産を活用しながら64ビットの性能を利用するにはEM64TやAMD64を利用し、より可用性の求められるハイエンドな分野ではItaniumを勧めるというものだ。その具体的な動きとして、Itaniumを搭載したワークステーションはすでにどのハードウェアメーカーも販売を終了。マイクロソフトも、Itanium対応のWindows XP 64ビット版の提供を中止した。EM64T/AMD64に対応したWindows XP x64は、Windows Server 2003 x64とほぼ同時に登場することが見込まれている。
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著者プロフィール
有限会社大神企画  富樫 純一
代表取締役。週刊COMPUTERWORLD(IDG)編集記者を経て、月刊WINDOWS WORLDの創刊に携わる。1996年に編集長。1998年に月刊PC WORLD創刊。1999年、編集プロダクションを設立して独立。現在、幅広い執筆活動を展開。また、NHK BS「何でも解決!パソコンマガジン」にレギュラー出演するなど、テレビ・講演活動にも活躍。


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