第3回:セキュアOS紹介(1) 〜 MIRACLE HiZARDとLIDS (2/4)

個人情報保護法から見るセキュアOSの必要性
個人情報保護法から見るセキュアOSの必要性

第3回:セキュアOS紹介(1)
〜 MIRACLE HiZARDとLIDS
著者: ミラクル・リナックス  遠藤 洋輔
日本SELinuxユーザ会 LIDS支部  面 和毅   2005/3/9
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役割ベースのアクセス制御

   セキュアOSの基本的な考え方は、「従来のOSの問題である特権ユーザを何とかしよう」という実にシンプルなものです。この考え方をベースとして、セキュアOSは「強制アクセス制御」と「最小特権」という2つのしくみを実現します。では、それぞれ説明していきましょう。

   MIRACLE HiZARDが実装する役割ベースのアクセス制御は、保護すべきリソースに対しユーザの役割ごとにアクセス可否を定義し、この定義内容(Role)によってユーザのオペレーションをコントロールします。例えば「ユーザAはファイルAへのアクセスを許可する」というRoleを定義した場合、ユーザBがファイルAにアクセスすることはできません。

役割ベースのアクセスコントロール(1)
図1:役割ベースのアクセスコントロール(1)

   また、「ユーザAがプロセスAを使用した場合、ファイルAへのアクセスを許可する」というRoleを定義した場合、ユーザAであってもプロセスA以外のプロセスを使用した場合、ファイルAにアクセスすることはできません。

役割ベースのアクセスコントロール(2)
図2:役割ベースのアクセスコントロール(2)


侵入防止システムとその他の機能

   ここまではセキュアOSとしての機能について紹介してきましたが、MIRACLE HiZARDは侵入防止システムとしての機能や、その他にも有用な機能を実装しています。そのうちのいくつかを簡単に紹介します。


不正侵入からシステムを保護するアンチハッキング機能

   MIRACLE HiZARDは、UNIX/Linuxシステム対応版に限りますが、ソフトウェアのセキュリティホールをついたバッファオーバーフロー攻撃をリアルタイムに検知して防御する、アンチハッキング機能を実装しています。仮に何らかの攻撃を受けて侵入された場合にも、SetUID rootファイルやカーネルモジュールを管理することで、特権ユーザ権限の奪取やバックドアプログラムのインストールを完全に防ぎます。


無用なネットワーク接続を制限するネットワークコントロール機能

   外部からの、または外部へのネットワーク接続をIPアドレス別/使用ポート別/ユーザ別に制限することができます。例えば、メンテナンスのためにシステムへログインしてくるリモートクライアントのIPアドレスを指定することで、外部ネットワークからの不特定な接続を制限し、結果的にネットワーク経由の不正アクセスをリスクヘッジすることが可能となります。

   また、外部ネットワークへのアクセスも特定のIPアドレスに指定することで、万が一システムを乗っ取られた場合であっても、他のシステムに対する攻撃や、ネットワーク経由で重要なデータが外部に漏洩するなどの2次的被害を防止することができます。


サーバマネジメントツールとしての利用

   MIRACLE HiZARDに含まれるGUIベースの管理ツール「Hizard Manager」により、Roleの定義や警告メッセージのリアルタイム通知だけではなく、システムステータスの確認(CPU負荷/ネットワーク負荷/ファイル構成/ネットワークセッション情報)やシステム情報の参照(CPU/ディスク/メモリ/ネットワークカード/ネットワーク設定)など、設定から運用・管理まで幅広くサポートします。

   さらに大規模/マルチプラットホーム環境にも対応しているため、複数のHizard Agentを一元管理することが可能です。


MIRACLE HiZARDのまとめ

   セキュアOSはまだまだ認知度が低く、敷居が高いというイメージがあると思います。MIRACLE HiZARDはそのようなイメージを払拭するため、ユーザフレンドリーな機能と直感的な操作性を兼ね備えています。ご興味のある方は、ミラクル・リナックスホームページ(http://www.miraclelinux.com/)より試用版をお申し込みください。

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ミラクル・リナックス
著者プロフィール
ミラクル・リナックス株式会社  遠藤 洋輔
某SIベンダーにて、Linuxやネットワーク、セキュリティ関連の構築・運用を担当後、2003年よりミラクル・リナックス社に在席。現在、MIRACLE HiZARDの検証からサポート、営業支援などを担当。


日本SELinuxユーザ会
著者プロフィール
日本SELinuxユーザ会 LIDS支部  面 和毅
1997年よりサーバ構築及びセキュリティ全般を扱う仕事に従事し、Linuxを触り始める。現在LIDSの布教活動に力を入れており、SELinuxユーザ会内でLIDS支部を立ち上げている。活動として、LIDS関連文書の日本語化と、LIDSを用いたシステム構築の紹介を行っている。


INDEX
第3回:セキュアOS紹介(1)〜 MIRACLE HiZARDとLIDS
  はじめに
役割ベースのアクセス制御
  LIDSとは
  ファイルに対するアクセス権
個人情報保護法から見るセキュアOSの必要性
第1回 個人情報保護法とセキュリティ対策
第2回 セキュアOSとは
第3回 セキュアOS紹介(1)〜 MIRACLE HiZARDとLIDS
第4回 セキュアOS紹介(2)〜 Trusted SolarisとPitBull
第5回 セキュアOS紹介(3)〜 SELinux
Linuxディストリビュータが紐解くセキュアOS
第1回 セキュアOSの動向
第2回 Red Hat Enterprise Linuxセキュリティの概要と特徴
第3回 MIRACLE LINUXのセキュリティへの取り組み
第4回 Turbolinuxのセキュリティに対する取り組み

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