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商用&OSSデータベースの現状と今後
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第7回:ラクする?こだわる?データベースのパフォーマンスチューニング
著者:オフィスローグ 工藤 淳 2005/9/26
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OracleとSQL Serverにつきまとってきた対立の本質とは
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この両陣営をそれぞれ長い間象徴してきたブランドが、OracleとMicrosoft SQL Serverだといえるだろう。
徹底的にチューニングを極めるならばOracle、自動化チューニングを望むならばSQL Serverというのは、データベースユーザの間で長らく定説化してきた。それが翻って、究極までパフォーマンスを極めるエキスパート向けのOracle、どちらかというと初心者向けのSQL Serverといういい方にもなってきた。そして双方の販売陣営は、互いに自分のアドバンテージを主張してきたのである。
しかし、ここまで人口に膾炙(かいしゃ)したといえど、それが俗説である以上俗説の域を出ない。両者の本当の大きな違いは、「設計思想」にある。
Oracleは細かいパラメータを1つ1つエキスパートの手で最適化していくことによって、データベースの性能を極めようとする。だが冒頭にも書いたように、パフォーマンスチューニングは、データベースの開発・運用の中でもっとも手間のかかる作業である。現代のビジネスパーソンは、1人でより多くのタスクをこなすことが要求されている。
日本に限って見ても、バブル経済の崩壊からシビアなリストラを経てようやく立ち直りはじめた企業は、容易に人手を増やそうとしない。早い話が1人でアレもコレもせい!という要求が、現場のスタッフにはより強く寄せられるようになっているのである。
こうした環境下では、エンジニアといえども日がなチューニングに没頭しているわけにはいかない。もっと大枠での設計の方法論だって学ばなくては、今の大規模化したネットワークを介して複雑に連携したソリューションを手がけることはできないし、運用エンジニアにしてもデータベースだけ知っていれば済むわけではない。
さらに人的リソースの有効活用のかけ声とともに、ビジネス全体の企画や販売戦略といったところにもアタマを使えと号令がかかる。技術的にもビジネスの面でも、より上流にシフトしていくことが要求されているわけだ。
しかし、人間はタコではないからアタマは1つで手は2本と決まっている。おまけにいくらCPUのクロックが上がっても、1日は相変わらず24時間だ。となれば、今までほかのことに使っていた時間を振り分けるしかない。
事実、MicrosoftはSQL Serverの設計思想を、こうしたエンジニアの効率アップに大きく配慮した結果だといっている。繰り返しになるが、エンジニアはそれが職業である以上、同時に企業の中で働くビジネスパーソンでもある。
これまでエンジニアの膨大な時間を奪ってきたパフォーマンスチューニングを自動化することによって、より高次のビジネス要件に専念できる時間を作りだし、結果としてユーザの総合的なビジネスパフォーマンスを向上させようというのが、Microsoftのポリシーなのである。GUIと自動化は、SQL Serverに限らずWindowsプラットフォーム製品に一貫して見られる方針であることからも、そのポリシーが短期間の販売施策ではないことがわかる。
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著者プロフィール
オフィスローグ 工藤 淳
IT技術系出版社勤務を経て、オフィスローグとして独立。データベース関連誌編集に携わっていた流れで、現在もデータベース系の執筆が比較的多い。元々は楽器から建築、自動車まで何でも注文があれば書いてきたのが、気がついたらIT専門のような顔をして仕事をしているのに自分で少し驚愕、赤面。
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