TOP比較データ> DBT-3を実行した結果
OSS評価手法
オープンソースソフトウェアの性能・信頼性評価手法

第7回:大規模データベースにおけるPostgreSQLの性能評価
著者:SRA  松田 亮一   2005/6/27
前のページ  1  2  3   4  次のページ
DBT-3を実行した結果

   PostgreSQL 7.4と8.0を使ってDBT-3を実行した。ストリーム数は4、スケールファクターは1〜10を指定した。実行結果については、ハードウェア等の環境により結果が異なるので、以下に記述する内容については、ひとつの例として参考にして頂きたい。

   まずロードテストの結果を図3に示す。スケールファクターを大きくするにつれてロード時間も増加する傾向にあるが、PostgreSQL 8.0は7.4よりもロード時間の増加率が改善されていることが確認できた。

1スケールファクターあたりのロード時間
図3:1スケールファクターあたりのロード時間

   パワーテストの結果を図4に示す。スケールファクター1の性能がよいのはキャッシュが効果的に使われているのが理由と考えられる。スケールファクター4〜10の性能はほぼ一定となった。これは、使用したハードウェアのメモリが2.5GBのため、キャッシュの効果がなくなったのが原因であろう。

1時間1スケールファクターあたりのパワーテスト
図4:1時間1スケールファクターあたりのパワーテスト

   スループットテストの結果を図5に示す。パワーテストと同様の傾向となった。パワーテストと比べると同時に4倍のストリーム数で実行しているのに対して、性能は1/2程度で収まっているのが見て取れる。

1時間1スケールファクターあたりのスループットテスト
図5:1時間1スケールファクターあたりのスループットテスト

   ストリーム数を変えたパターンの結果について説明したが、それ以外に次のパターンでDBT-3を実行した。

  • ディスク構成の違い
  • 10回実行して誤差率を求める
  • チューニングによる効果

   10回実行では、22個のクエリーの内、ひとつだけ誤差率の大きなクエリーが見つかった。これについては、報告書のDB層6章の6.4.2.3に原因と対策を記述した。また、チューニングについては、報告書のDB層6章の6.4.2.7に具体的なチューニング内容と結果を記述した。DBT-3に限らず、SQLをチューニングする場合の実践的な方法として参考になるはずだ。

   以上、DBT-3を使った大規模データベースの検索性能の測定について説明した。次に必要な測定内容は、ロード/バックアップ/リストアといった運用時の性能である。

前のページ  1  2  3   4  次のページ


株式会社SRA 松田 亮一
著者プロフィール
株式会社SRA  松田 亮一
Smalltakerを目指すべく中途入社。現在はPostgreSQL+Javaに関するサポート/コンサル/セミナー講師などを業務としている。また、The Seasar Projectコミッタ、Jun for Java Projectコミッタとして、OSS活動を行っている。


INDEX
第7回:大規模データベースにおけるPostgreSQLの性能評価
  はじめに
  DBT-3のクエリー
DBT-3を実行した結果
  pgbenchを使った運用性能の測定