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その他メールコンプライアンスとともに生じる技術的トレンド
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先ほど述べたタイムスタンプの他に、メールコンプライアンスの普及とともに着目される技術的トレンドがいくつか考えられる。
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ストレージ
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SOX法に関する展示会で多く見られるストレージに関しても、ニーズが高まり、導入の成功・失敗に関する話題が盛り上がるだろう。
LinuxからWindowsのNASに書き込もうとすると、文字コードがあわずに書き込みがうまくいかないケースなどは、すでにいくつか耳にしている。
またアーカイブデータの保存に関しては保存期間の設定がされるようになるであろう。よって古いデータを自動的に消す、あるいはテープに落とすといったソリューション(特に目新しい技術ではないが)も要求されるだろう。
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メールサーバの冗長性
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メールサーバの冗長性というと、どちらかというと耐障害性という観点での業務の継続維持が目的であった。
しかし、ライブドア事件でまずデータセンターのメールサーバが差し押さえられたことを目の当たりにすると、「差し押さえられても業務を継続できるメールサーバ」という発想が必要になる日がくるかもしれない。
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多重ゲートウェイとロードバランサ
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メールセキュリティ対策のゲートウェイ、コンプライアンスのためのゲートウェイなど、メールがいくつものサーバを経由して外に出て行くことになる。そうするとネットワークとしては非常に脆弱になる。
個々の稼働率が99.99%だとしても、五段階のゲートウェイを経ると、99.99%の5乗で、99.95%まで稼働率が下がる。
サーバの停止時間は99.99%なら1年間で1時間未満だが、99.95%となると4時間以上に拡大する。
対策はいろいろと考えられるが、一案として各ゲートウェイを2台ずつ設けて、すべてのゲートウェイ間でロードバランシングするようなネットワーク構成を取るが考えられる。
ただし、ハードウェアによるロードバランサはそれなりの費用がかかるため、ソフトウェアによるロードバランサがもてはやされる可能性も考えられる。
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おわりに
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SOX法は本連載の「第1回:SOX法がやってくる」で述べた通り、広く浅い範囲を網羅している。何が必要とされるかについての議論はこれからなので、今のところSOX法と称して、いかようにもソリューションの提案が可能である。
本連載ではメールという点に着目して掘り下げていったが、これもある意味では日本版SOX法の尻馬に乗った1つの仮説である。
ただ近年の経営の流れで、法務部門からコンプライアンス部門が独立していったように、メールセキュリティからメールコンプライアンスへ向かう流れ自体は、大きな潮流として存在している。それがこの日本版SOX法で表にでてくる可能性は高く、現実味の高い仮説ではないかと推測される。
今年で電子メールがこの世にあらわれて35年目。
電子メールに課せられた役割は、一気に重くなっていくような気配がする今日この頃である。
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著者プロフィール
株式会社ホライズン・デジタル・エンタープライズ 宮本 和明
代表取締役副社長。1997年からLinuxに関するビジネスに取り組み、サーバ管理ソフトウェアHDE Controller、電子メールエンジンHDE Customers Careなどのパッケージソフトウェアの開発に携わる。金融・流通・自治体など様々な業種の電子メール関連システムにも携わり、今後のメールシステムの行く末を見守り続けている。
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