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徹底攻略LPI問題集 Level1/Release2対応
徹底攻略LPI問題集 Level1/Release2対応

第4回:デバイスとファイルシステム
著者:菖蒲淳司/南角栄一郎
編者:ソキウス・ジャパン   2005/5/20
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解答

   1ページ目の問題の解答を掲載します。解答には、問題の正解やその理由だけでなく、用語や重要事項などが詳しく解説されています。
第1問の解答: A

   ファイルシステムをマウントする場合、本来はmountコマンドにマウントオプションを指定する必要があります。しかし、頻繁にマウントするデバイスについては、その都度マウントオプションを指定していては面倒です。そこで、ファイルシステムに関するオプショを/etc/fstabファイルに記述しておくことで、マウントオプションを省略することができるようになっています。

   /etc/fstabは、システム領域の情報などが記述されているファイルです。/etc/fstabファイルにファイルシステムの情報を追加するには、次のように各項目をタブかスペースで区切って順に記述します。

例:/etc/fstabファイルの設定例

/dev/hda3 /mnt/cdrom iso9660 o,nouser 0 0
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  1. マウントするデバイスファイル名(/dev/hda3、/dev/fd0など)
  2. マウントポイント(/mnt/cdrom、/mnt/floppyなど)
  3. マウントするデバイスのファイルシステムタイプ
  4. マウントオプション。複数のオプションを指定する場合は、カンマ( , )で区切る
  5. dumpコマンドによるバックアップの可否。 1を指定するとバックアップを行い、0を指定するとバックアップしない
  6. fsckコマンドの実行順序。 システム起動時にfsckコマンドによってファイルシステムを検査する順序を指定。0を指定するとfsckコマンドによる検査は行われない

   したがって、これらの項目が正しい順に記述されているAが正解です。

   なお、/etc/fstabファイルで指定できる主なファイルシステムタイプとマウントオプションは、次の表のとおりです。

ファイルシステムタイプ
タイプ 説明
ext2 Linuxで標準的に使用されるファイルシステム
ext3 ext2にジャーナリング機能を追加したファイルシステム
iso9660 CD-ROMで標準的に使用されるファイルシステム
msdos MS-DOSのファイルシステム
vfat Windowsで標準的に使用されるファイルシステム
nfs NFS(Network File System)

マウントオプション
オプション 説明
async ファイルシステムの入出力を非同期で実行
auto mount -aコマンド実行時にマウント
noauto mount -aコマンド実行時にマウントしない
exec バイナリの実行を許可
noexec バイナリの実行を禁止
ro 読み取り専用モードでマウント
rw 読み書き可能モードでマウント
suid SUIDとSGIDを有効化
user 一般ユーザーにマウントを許可
users 一般ユーザーにマウントを許可し、マウントを実行していないユーザーにもアンマウントを許可
nouser 一般ユーザーのマウントを禁止
defaults async、auto、dev、exec、nouser、rw、suidの各オプションを適用してマウント
第2問の解答: AとE

   ファイルやディレクトリのアクセス権を変更するコマンドはchmodです。chmodコマンドの書式は次のとおりです。

 [ ]内は省略可能。<>内は必須
chmod [オプション] <アクセス権> <ファイルまたはディレクトリ名>



-R……指定したディレクトリ内のファイルおよびディレクトリのアクセス権を
           再帰的に変更

   書式のアクセス権に指定できる表記は次の表のとおりです。

アクセス権
表記 説明
u 所有者
g 所有グループ
o その他のユーザー
a すべてのユーザー
+ アクセス権を追加
- アクセス権を削除
= アクセス権を指定
r 読み取り許可
w 書き込み許可
x 実行許可
s SUIDあるいはSGID
t スティッキービット

例:lpicファイルの所有者に書き込みを許可する

$ chmod u+w lpic


例:lpicファイルの所有グループの実行許可を取り消す

$ chmod g-x lpic


例:lpicファイルの所有者と所有グループ以外のユーザーに読み取り
    だけを許可する

$ chmod o=r lpic


例:すべてのユーザーにlpicファイルの実行を許可する

$ chmod a+x lpic


   また、アクセス権の設定を数値表記で指定することも可能です。ただし、数値で指定する場合は、指定したアクセス権への変更となります。特定のアクセス権の追加と削除は行えません。

例:lpicファイルの所有者に読み取り/書き込み/実行を許可し、それ
    以外は読み取りのみ許可する

$ chmod 744 lpic


B. ファイルの所有者と所有グループ以外のユーザーに書き込みが許可されています。
C. chgrpは、ファイルを所有するグループを変更するコマンドです。
D. chownは、ファイルを所有するユーザーを変更するコマンドです。

   したがって、AEが正解です。



第3問の解答: E

   これまで、Linuxのディレクトリ構造は、各ディストリビューションが独自に定めたものが用いられてきました。そこで、こうしたディストリビューションごとの差異をなくして構造を標準化するため、FHS(Filesystem Hierarchy Standard:ファイルシステム階層標準)という規格が制定されました。したがって、Eが正解です。

   FHSでは、ルートファイルシステムに含まれなければならないディレクトリや各ディレクトリの役割、コマンドの配置などが定められています。ルートファイルシステムに含まれなければならないディレクトリは、/bin、/sbin、/etc、/dev、/libです。各ディレクトリの役割は次の表のようになっています。

主なディレクトリとその役割
ディレクトリ 役割
/bin 一般ユーザーが実行可能なシステム管理コマンド
/sbin 主にスーパーユーザーが使用するシステム管理コマンド
/etc システムやコマンドの各種設定ファイル
/dev デバイスファイル
/lib 共有ライブラリやカーネルモジュール
/mnt マウントポイント
/opt サードパーティのプログラム
/proc カーネル内部の情報にアクセスするためのファイル
/root スーパーユーザー専用ディレクトリ(/homeディレクトリがマウントできないときにスーパーユーザーが作業するために必要)
/boot システムの起動に必要なカーネルイメージや設定ファイル
/home 一般ユーザーのホームディレクトリ
/tmp 一時的に使用するテンポラリファイル
/var ログファイル、メールやプリンタのスプールなど
/var/log ログファイル
/var/spool メールやプリンタなどのスプール
/usr ユーザー用のコマンドやライブラリ、ドキュメント
/usr/bin 一般ユーザーとスーパーユーザーが使用する基本コマンド
/usr/sbin 緊急時に必須ではないシステム管理用コマンド
/usr/local ローカルシステムの管理に必要なコマンドやライブラリ、ドキュメントなど(このディレクトリ下のbin、sbin、lib、srcディレクトリに格納される)
/usr/X11R6 X Window System用のファイル
第4問の解答: A

   ファイル更新履歴のバックアップを記録しておく機能を持ったファイルシステムは、ジャーナリングファイルシステムです。したがって、Aが正解です。主なジャーナリングファイルシステムには、次のようなものがあります。

ReiserFS
Bツリーアルゴリズムの変種を使ったジャーナリングファイルシステムです。
XFS
SGI社が開発したジャーナリングファイルシステムです。現在ではソースコードが公開され、無償で利用できるようになっています。
ext3
ext2ファイルシステムにジャーナリング機能を追加したファイルシステムです。


B. コンプリートファイルシステムというファイルシステムは存在しません。
C. ext2は、Linuxで標準的に使用されるファイルシステムです。このファイルシステムには、ジャーナリング機能はありません。
D. クラッシュレスファイルシステムというファイルシステムは存在しません。
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書籍紹介
徹底攻略 LPI問題集 Level 1/Release 2
徹底攻略LPI問題集 Level1/Release2対応 LPI認定試験は、知名度・試験の質ともに優れ、Linux技術者のスキル標準として多くの企業、個人で高く評価され、急成長している資格試験です。本書はその「LPICレベル1 Release 2」資格に対応した問題集です。レベル1取得に必要な「101試験」「102試験」の2つを網羅した2部構成になっており、出題範囲を体系立て整理し、より効率よく、試験に近い形で学習できます。巻末には、実践的な総仕上げ問題を収録。総問題数は502問。これだけの問題数をこなせば、知識が付くこと間違いなし! レベル1試験の合格を目指す人すべての方におすすめです。
発売日:2003.08.04発売
販売価格:2,940円 (税込)

著者プロフィール
菖蒲 淳司
北海道出身。仕事がきっかけでLinuxに触れて以来、Linuxの可能性や面白さとそれを取り巻く環境に興味を持つ。以来、Linuxワールドにどっぷりと浸り、抜け出せずにいる。趣味はスノーボード、美味しいものの食べ歩き、献血。業界トップクラスの「グルメ」なエンジニアを目指して、日々「食」の勉強を欠かさない。
取得資格:LPICレベル2



著者プロフィール
南角 栄一郎
東京都出身。自前で安価に本格サーバ構築が実現できるLinuxの存在を知り、勉強していくにつれて楽しさを覚えていく。Linuxコミュニティの熱さと暖かさを肌に感じ、Linuxへの興味は増す一方である。趣味はドライブ、プロレス観戦、原石集め。日々の切磋琢磨によって、集めた原石やLinuxのスキルを磨きながら輝ける日を目指す。
取得資格:LPICレベル2、初級システムアドミニストレータ



編者プロフィール
株式会社ソキウス・ジャパン
クォリティ・メディア・カンパニーを標榜する出版社。2001年11月設立。2002年10月より株式会社インプレスと協業し、これまで30冊近い「徹底攻略問題集」を編纂する。また、自社で月刊「オープン・エンタープライズ・マガジン」を発行、発売している。
http://www.sociusjapan.co.jp/


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