— LinuxやOSSを推進することで、商用製品であるIBMのミドルウェアに対して影響がでませんか
Daniel氏:あまり心配はしていません。確かにソフトウェア戦略的にはOSSの依存性が高まっていると感じますが、OSSと商用製品があることで、より健全な市場にもっていけると思っています。OSSがベストの場合もあるし、商用製品の方がふさわしい場合もあります。
例えば、RationalとEclipse、DB2とApacheなどのように、互いがいて強くなれる製品もあるのではないかと思います。IBMとしては、今後もDB2やRationalといった製品は長く続けていきます。
— 日本では携帯や家電などのプラットフォームとしてLinuxが採用されており、組み込み分野での需要が高いのですが、IBMではどのように取り組まれていますか
Daniel氏:組み込み分野とLinuxの親和性は高いと考えています。Linuxはモジュール式ですので、どんなデバイスにもあわせることができます。ただLinuxでも十分に対応できない分野があります。それはリアルタイム性が要求される分野においてです。それを除けばLinuxは十分に対応できます。
Ross氏:また、組み込み分野においてもわれわれは協業を進めています。業界におけるLinuxの分野としては新しい動きですよね。OSDLにおきましても、やはり組み込みの利用が注目されています。
— IBM Systems AgendaとLinuxやOSSの関係はどのようなものでしょうか
Ross氏:ちょっと長くなりそうなのですが、なるべく簡潔に説明しますね(笑)。まずは仮想化から説明します。
IBMでは、LPAR(論理パーティショニング)などによってハードウェア・リソースをどうやって仮想化するかを考えてきました。メインフレームで培ったIBM独自の技術はもちろん、それを引き継ぐIBM独自のハイパーバイザーやVMware、OSSのXenなどを使っています。また、プロセスの要求と実際のハードウェアを切り分けて考えていくことができます。仮想化というのはハードウェアの仮想化だけではなく、管理要員を含めたシステム全体で考えることが大切です。
IBMはこれら仮想化に対応する製品やチームを持っています。お客様が持たれているリソースを仮想化し、有効活用してより簡単に活用してもらうことがオンデマンド・ビジネスにおける仮想化の真の目的です。
— オープン化という意味ではどうですか
Ross氏:IBM Systems Agendaの3つの戦略のうち、仮想化は先ほどご説明しましたね。で、もちろんLinuxもそうですが、オープン・スタンダートの動きも重要です。
オンデマンド・ビジネスは柔軟なビジネスを実現します。これは全社的にそしてサプライヤー・お客様とも統合されます。ということは、ITインフラからアプリケーションまで、ビジネスすべてに関わることをオープン・スタンダートで提供する必要があるということです。また、提供しなければいけない時代がきているのだと思います。
これには基本的なレベルではSOAのようなアーキテクチャで体系立てて考えていく必要があると思っています。アプリケーションはJ2EEやWebサービスなどの上で構築されることになり、そうなればLinuxやOSSと密接に関わります。
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