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FileMaker Pro
ビジネスの道具としてのデータベースFileMaker Proを使う

第2回:データベース構築に取り掛かる
著者:パステル   井上 利幸   2006/8/9
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Microsoft Excelだけで大丈夫?

   今ではほとんどの企業でMicrosoft Excel(以下、Excel)が使われるようになりました。皆さんも社内で計算の必要な資料や提出書、様々な帳票をExcelで作られていると思います。しかしExcelを使っていて不便に思うときはありませんか。

   非常に数多くの要素をまとめたExcelのシートを出力する場合、例えば項目の数が多くて1枚では収まらないときには数ページに分かれた紙をつなぎあわせて右の方へ行を追いかけていったり、セルの書式設定を調整する必要があります。あるいはExcelで作っている報告書などが1件ごとに個別のファイルになっていて、少し前の報告書を探すためにファイルを次々と開いて探したこともあるでしょう。

   こういった困ったこともFileMaker Proなら簡単に問題を解決できるのです。それは1つの明細を複数行に設定してA4縦の用紙に納めたり、データ内容の検索などの機能が実装されているためです。
FileMaker Proにおける自動検索後抽出例
図1:FileMaker Proにおける自動検索後抽出例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   図1はFileMaker Proでは入力された内容から自動的に検索語を抽出した結果を表示されたものです。索引一覧には自動的に抽出された単語が表示されており、バックの画面では検索結果を一覧表示しています。


データベースの違いを考える

   FileMaker Proを使ってデータベースを作る前に、データベースについて少し説明します。データベースの代表的なものはOracleやMicrosoft SQL Server(以下SQL Server)があげられます。最近はオープンソースソフトウェアのPostgreSQLやMySQLといった製品も増えていることもご存知のことでしょう。

   ではFileMaker Proは、著名なデータベースであるOracleやSQL Serverと同じものなのでしょうか。

   実はFileMaker Proは、OracleやSQL Serverとは構造や仕組みが大きく違います。OracleやSQL Serverはデータの保存や管理、検索などの機能だけを持っていると考えてください。ユーザが入力する画面を作成し、帳票を印刷するような、フロントエンド側のアプリケーションになる部分を構築する機能は持っておらず、ミドルウェアや専用のアプリケーションを新たに作るようになっています。その部分が小さい企業での導入が難しいといわれる点でもあります。

   ではFileMaker Proはどうでしょう。入力画面を作成し、帳票をデザインして印刷する機能は既に含まれています。つまりデータベース+ユーザインターフェース作成ツールを1つのソフトウェアの中に備えているのです。

   FileMaker Proを持っていれば、入力画面から検索・修正・帳票を作成し、月末にはデータ更新するようなプログラムを作ることができます。この制作においては、他のソフトウェアやツールを使う必要は全くありません。

   元々がターゲットとする企業規模やデータの量に違いがあるので、どちらが優れているとはいえません。しかし開発コストがあまりかけられないケースや、管理者がいないような中小規模の企業であれば、FileMaker Proを手始めに導入を検討するメリットは十分あるといえるでしょう。

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有限会社パステル 井上 利幸
著者プロフィール
有限会社パステル  井上 利幸
代表取締役
丸善株式会社で図書館システムを構築しながら、コンピュータ専門誌でExcelやFileMakerの記事を執筆していた。情報系のシステムでみんなが使えるツールを構築する仕事を得意とする。現在はITシステムや情報系システム構築のコンサルタントも引き受けている。


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