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徹底解剖!!Oracle Fusion Middleware
第２回：SOAのアプローチによるアプリケーション統合
著者：
新日鉄ソリューションズ 渡辺 琢
2006/10/13
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はじめに
現在のビジネスには、市場環境の変化への素早い対応が求められている。そしてそれを実現するために、経営とシステムの一体化が不可欠であるとの認識が強まっている。
しかしながら、システム環境とビジネス要求のギャップは大きいのが現状だ。何故ならこれまでのアプリケーションは業務領域ごとに局所的な最適化（個別最適化）を求めたシステムであり、企業全体におけるITシステムの最適化（全体最適化）を目的として統合されたシステムではないからである。
そのギャップを埋める1つのアプローチがSOAである。
つまり、今までの個別業務に特化して完成された仕組みをサービス化し、組み合わせる手法によって、柔軟でスピーディなビジネスの変化を支えるシステムへと変換させていくということだ。そしてこれがアプリケーションインテグレーション（アプリケーション統合）の目指すべき方向であろう。
アプリケーションインテグレーション
アプリケーション統合について語る前に、局所的な最適解を求めた現在のアプリケーションがどのような形になっているかを振り返ってみたい。
業務アプリケーションは、「プロセス（処理）」と「データ」から構成される。従来のアプリケーション構築では、これら要素を渾然一体として扱う「モノリシック構造」を基本としている。
モノリシック構造は、プロセスとデータが一体化しているため
「特定業務の効率改善には効果を発揮しやすい」
という特徴がある。その一方で同一マスタの散在や機能の非公開性が生じやすく、
「複数システム間を関連付けることは難しい」
のである。
このようなシステムにおいてアプリケーション統合を考えた場合、ビッグバン方式で全社統一のアプリケーションに統合する方法も考えられるが、コストやリスクの面を鑑みれば非常に難しいアプローチだ。
したがってビジネス要求に応える全社的な最適化を達成するためには、既存の散在する機能や考え方を活用しつつアプリケーションを統合するソリューションが求められる。
さてそのような背景があり、アプリケーションの統合はEAI（Enterprise Application Integration）を用いた統合のフェーズへと進んできた。このEAIを用いることで統合の側面は進化したが、独自技術に縛られるという点は依然として存在した。そこでオープンスタンダードの技術に立脚したアプリケーション統合のアーキテクチャであるSOAが、次世代の疎結合なシステム基盤構築のベースとして登場してきたのだ（図1）。
図1：連携・統合の進化
SOAをベースとしたアプリケーションの統合には、大別して「データ連携・統合」「プロセス統合」の2つのタイプがある。データ連携・統合は、ビジネスの基盤となる業務データを異なるシステム間で連携し、さらに進んで業務データを複数システム間で一意の情報として統合していくアプローチである。
一方のプロセス統合は、汎用性を考慮した業務上の意味を持つ単位（サービス）で業務機能をシステム機能として構築し、サイロ化した個別業務システムに縛られない実業務に即したビジネスプロセスを紡いでいくアプローチである。
図2：データ連携・統合、プロセス統合
（画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します）
SOAといえば、ビジネスプロセス統合（アプリケーション連携）にスポットライトが当たっているが、実際に一足飛びにプロセス統合が実現できる体制になっている企業は少数派といえるだろう。データの連携からスタートして共通の基盤を構築し、徐々に業務機能をサービス化しプロセス統合に向かっていく段階的システムトランスフォーメーションが現実的なアプローチだろう。
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著者プロフィール
新日鉄ソリューションズ株式会社 渡辺 琢
産業ソリューション企画推進部シニア・マネージャ
製造業から設計コンサルティング会社までの幅広い業態を対象として、文書管理を核としたシステムの開発・コンサルティングに従事後、ミネソタ大学カールソンスクールに社費留学しMBA取得。帰国後、製造業（自動車部品、精密機械）へのOracle EBS導入プロジェクト参画を経て、現在はSOAを適用した基幹系システム構築に携わっている。
INDEX
第2回：SOAのアプローチによるアプリケーション統合
はじめに
SOA Suiteで実現する連携・統合
プロセス統合
