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BEA AquaLogic BPM Suiteを使い倒す |
第1回:BEA AquaLogic BPM Suiteの全貌
著者:日本BEAシステムズ 岡下 浩明 2006/11/30
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はじめに
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昨今、ビジネスの変化に柔軟に対応していくためのITアーキテクチャの考え方としてSOA(サービス指向アーキテクチャ)が注目されています。SOAの基本的な考え方は、システムアーキテクチャを階層的に整理し、新旧に関係なくそれぞれのシステムコンポーネントの結合度をできるだけ緩くしていくことで、システムアーキテクチャ全体に柔軟性や俊敏性を確保していくことにあります。
そのための要素技術や製品としては、表1にあげるものが注目されています。
- Webサービス
- エンタープライズサービスバス(ESB)
- サービスレジストリ
- BPEL
- ビジネスプロセスマネジメント(BPM)
表1:システムアーキテクチャの柔軟性や俊敏性を向上する技術や製品
その中でもとりわけBPMは、ビジネス(人)とシステムを柔軟に融合できる現実的なソリューションとして期待されています。
本連載では、そのBPMにフォーカスした製品「BEA AquaLogic BPM Suite」の全貌と使い方を、2006年10月に日本BEAシステムズからリリースされた「BEA AquaLogic BPM Suite 5.7」を用いて解説します。
※注1:
本連載では、「BEA AquaLogic BPM 5.7」のデモ版を使用し、実際にインストールして製品に触れながら試せる内容となっています。インストール完了後から60日間は、正規ライセンスの製品版とまったく同じ機能を利用できます。ただし、製品をダウンロードするためには、会員登録が必要です。ユーザIDを持っていない方は、新規登録が必要となりますのでご注意ください。
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BEA AquaLogic BPM Suiteの全貌
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BEA AquaLogic BPM Suite(以下、AquaLogic BPM)は、米国BEAシステムズが2006年3月、BPMのパイオニアと称されてきたFuego Inc.を買収し、BEAのAquaLogicファミリーに統合されたBPM製品です。AquaLogic BPMは、表2にあげる様々な「ビジネスプロセスに関わる関係者」に恩恵をもたらします。
- 企業のビジネスプロセスをモデリング・分析している人
- ビジネスプロセスに関わるシステム開発に従事している人
- 実際のビジネスプロセスに従事している業務担当者
- 実際に稼動しているビジネスプロセスを経営の視点から監視したい人
- 上記のビジネスプロセスに関わるシステムを運用している人
表2:ビジネスプロセスに関わる関係者
つまりAquaLogic BPMは、ビジネスプロセスのモデリングからシステム実装、業務としての運用、ビジネス分析まで360度のライフサイクルを支援することができるのです。
またAquaLogic BPMではBPMを実現する際に問題となった点に対して、表3のように提案しています。
主な問題 |
AquaLogic BPMの提案 |
モデリングと実装が製品的に分断されているため、モデルと実装の乖離が大きい |
AquaLogic BPMは、モデリングと実装、実行環境、分析環境をトータルで支援することができます。これにより、分析段階のビジネスプロセスが「実行できるビジネスプロセス」として実装することが可能です。また、実行したビジネスプロセスを分析することでビジネスプロセスを効果的に改善していくことが可能になります |
これまでのBPM製品は、ヒューマン系のビジネスプロセスに強いか、あるいは、システム間連携のどちらかに偏ったソリューション製品が多い |
AquaLogic BPMのビジネスプロセスは、BPEL1.1準拠だけでなく、BPMN1.0/XPDL1.1に準拠しています。そのため、ビジネスプロセスに関わる人間系のタスクの処理に関する機能が豊富に提供されています。AquaLogic BPMは、ヒューマン系、システム系を融合したビジネスプロセスの自動化を支援することができます |
ビジネスプロセスのバージョン管理 |
ビジネスプロセスは、更新されることを前提としてBPMエンジンは動作します。ビジネスプロセスのステータス管理は無論のこと、世代に跨るビジネスプロセスを実行、管理できます。 |
BPM、BAM、ダッシュボード、ポータルなど統合されたソリューションが少ない |
AquaLogic BPMは、BPMのモデリング・分析、実装だけでなく、実行系におけるヒューマン系からシステム間連携に関わるビジネスプロセスの自動化を支援します。また、ビジネスプロセスのモニタリング、ダッシュボード機能、ポータルシステムへの統合など完全なソリューションを提供することができます |
表3:AquaLogic BPMが解決する課題
このようにAquaLogic BPMが提供する機能は、非常に豊富です。これらの機能を使うことでビジネス(人)とシステムを柔軟に融合できる現実的なソリューションを実現することができます。
図1:AquaLogic BPMの概要 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
AquaLogic BPM 5.7が備えている主な機能をシステムとビジネスプロセスのライフサイクルの観点に立ってまとめると以下のようになります。
フェーズ |
提供される主な機能 |
ビジネスプロセスのモデリングとシミュレーション |
BMPN1.0/XPDL1.1(注2)に準拠したビジネスプロセスのモデリング |
BPEL1.1に準拠したBPELプロセスモデリング |
シミュレーション機能、分析機能 |
ビジネスプロセスのドキュメンテーション |
ビジネスプロセスの実装 |
ビジネスプロセスに関わる画面やロジックの実装、デバッグ |
他のシステムに対する接続 |
ビジネスプロセスに関わる例外処理 |
BAMやダッシュボードに関わる表示系の実装 |
ビジネスプロセスの実行管理 |
ビジネスプロセスに関わる操作画面の提供 |
ビジネスプロセスの監査履歴、添付ドキュメントのバージョン管理 |
ビジネスプロセスそのもののバージョン管理 |
他システムとの連携、トランザクション管理、フェイルオーバー |
ビジネスプロセスの傾向分析 |
ビジネスプロセスの実行モニタリング、プロセス分析機能 |
ビジネスダッシュボード機能 |
表4:AquaLogic BPM 5.7が備えている主な機能
※注2:
BPMN(Business Process Modeling Notation):OMG/BPMIが策定。 XPDL(XML-Based Process Definition Language):WfMCで策定
言葉だけでは、なかなか実感がわかないかと思います。読者の皆さんは、AquaLogic BPMを使ってみたくなってきたのではないでしょうか。それでは、使い方の説明に移ります。
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著者プロフィール
日本BEAシステムズ株式会社 岡下 浩明
営業技術部 ALUI/ALBSI 担当マネージャ
JavaやJ2EE、WebLogic Serverに関わって十数年。最近では、J2EEに関わる技術動向だけでなく、SOAをはじめ、エンタープライズサービスバス、サービスレジストリ、BPM、ポータルなどを活用した幅広いソリューションやシステムアーキテクチャについて語らないといけなくなりました。大変ですが、刺激のある毎日です。
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