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| 改めて問う「SaaSとは何か?」 | ||||||||||
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2006年のIT業界におけるバズワード(はやり言葉)の1つに「SaaS(Software as a Service)」がある。同じく2006年、IT業界を超えて大きな話題となった「Web 2.0」の一要素としてSaaSは考えられ、2007年も引き続き注目すべきキーワードであるといえるだろう。本連載では、SaaSの定義からはじめ、SaaS導入の際の留意事項や進化を続けるSaaSの今後について、数回にわたり解説していく。 SaaSとは一言でいえば、ソフトウェアの開発ベンダーがソフトウェアの機能をインターネットを通じ、サービスとして提供するソフトウェアのデリバリモデルである。従来のソフトウェアとは異なり、ユーザはライセンスを買い取る必要がなく、利用料金を期間(毎月、半年など)に応じて支払うことになる。ユーザが支払う利用料金には、保守費用や運用管理費用、バージョンアップ費用が含まれており、こうした作業は基本的にすべてSaaSベンダーが実施する。 |
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| SaaS=ASP 2.0 | ||||||||||
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このようにSaaSを説明していくと、恐らく「ASPとSaaSは同じものではないのか」という基本的かつ本質的な疑問が浮かび上がることだろう。ASPは1990年代後半から2000年頃にかけて一時期脚光を浴びたものの、その後普及というほどのレベルには達せず今日に至っている。 筆者は上記の疑問に対しては、「アプリケーションとその運用管理をアウトソースするという点で、ASPとSaaSに本質的な違いはない。しかし、ASP時代から大幅に進化し、ビジネスとして成功する要素を多く秘めているため、SaaSはASP 2.0と呼ぶべきもの」と答えるようにしている。では、なぜASP 2.0と呼ぶべきなのか。SaaSが従来のASPと異なる点を以下にまとめる。
表1:SaaSがASPと異なる点
※注1:
すべてのユーザが同一のソースコードを使用する方式。
※注2: 複数のユーザでアプリケーション、サーバ、データベースなどを共用するアーキテクチャ。 従来のASPサービスは、アプリケーションの開発ベンダーではない、サードパーティベンダーによってホスティングされ、その多くはクライアント/サーバ型のアプリケーションのフロント部分をHTML化したに過ぎないものであった。このため、ネイティブなWebアプリケーションと比べ、パフォーマンスは劣り、またアプリケーションのバージョンアップの際にはシステムの利用を停止しなければならないなど、ユーザにとって使い勝手の良いものではなかった。 これに対してSaaSでは、開発当初からSaaSモデルでのサービス提供を目的として設計されている。さらにアプリケーションの開発ベンダー自らがアプリケーションをホスティングしているため、こうした欠点は解消されている。 アーキテクチャ面での特徴は、シングルインスタンス&マルチテナントである。従来のASPと異なり、SaaSではすべてのユーザがシングルインスタンスのアプリケーションを使用し、サーバ、データベースを複数ユーザで共有するのが一般的である。 シングルインスタンスにすることにより、SaaSベンダーはソフトウェア保守の負荷が軽減できる。またパートナー企業やユーザが拡張機能を開発し、それをコミュニティに寄贈し、さらに機能を改善していくなど、Web 2.0的にコミュニティパワーを活用した開発も期待できる。 また、マルチテナント化することのメリットは、スケールメリットを最大化することによるコスト効果である。多くのユーザでサーバやデータベースをシェアすることで、当然ながら、ベンダー側のハード/ソフトウェア費用や運用管理費用は抑えられ、ビジネス的に成立するよう工夫されているのである。 |
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