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調査レポート
> 躍進するSaaSベンダー
胎動するSaaS〜導入にあたってのチェックポイント〜
第1回:SaaSの本質を見極める
著者:
野村総合研究所 城田 真琴
2007/1/5
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躍進するSaaSベンダー
表3に主な業務アプリケーションのSaaSベンダーを示す。
表3:主なSaaSベンダー
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
Salesforce.comに代表されるように現在、日本に進出しているSaaSベンダーは、CRMサービスを提供するベンダーがほとんどである(NetSuiteはCRM+ERPサービスを提供)。また、表3であげたSaaSの専業ベンダー以外にも、すでにSAPやOracleなどパッケージアプリケーションの大手ベンダーも、勢力を拡大するSaaSベンダーに対抗するために、それぞれ「SAP CRM On-Demand」、「Siebel CRM On Demand」というSaaS形式のサービスの提供を開始している。
しかしながら、米国では、HR(Human Resources)サービスを提供するEmployeaseやプロキュアメントサービスを提供するRearden Commerce、SOX法などコンプライアンス管理サービスを提供するAxentisなどもすでに多くのユーザを獲得しており、今後、類似のサービスが日本でも提供される可能性は高いと予想される。
一方、国産ベンダーも既存アプリケーションをSaaSとして提供していこうとする動きが少しずつ見られるようになってきており、今後こうした傾向がさらに強くなっていくことは想像に難くない。
しかし、先に述べたように、既存のクライアント/サーバ型アプリケーションを単にホスティングしただけでは、到底SaaSと呼べるものにはなり得ず、従来のASPと同じ轍を踏むことになるだろう。導入を検討するユーザとしても、単純にSaaSという言葉に惑わされることなく、アーキテクチャ面やカスタマイズ性、既存アプリケーションとの連携の容易さなどについての確認を怠らないようにすべきである。
今回は、SaaSの定義と従来のASPとの違い、主なSaaSアプリケーションについて解説した。次回は、SaaSが注目を集めている背景やSaaS導入時の留意点などについて解説する予定である。
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著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 主任研究員 城田 真琴
IT動向のリサーチと分析を行うITアナリスト。大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て2001年、野村総合研究所に入社。専門は、SaaSの他、SOA、BI、オープンソースなど。最近は、Web2.0の技術的側面からのリサーチを推進。2007年1月4日より著書の「ITロードマップ 2007年版 - 情報通信技術は5年後こう変わる! - 」(東洋経済新報社)が発売されている。
INDEX
第1回:SaaSの本質を見極める
改めて問う「SaaSとは何か?」
従来のASPの課題を解決したSaaS
躍進するSaaSベンダー