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シマンテックイエローブック
ストレージ管理の標準化

第1回:ストレージ管理の必要性

著者:シマンテック   2007/4/24
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ストレージ管理の必要性

   「ストレージにお金はかからない」これは明らかに誇張表現ですが、パソコンのユーザー、エンタープライズストレージシステムの営業担当、アプリケーション設計者など、いつか役に立ちそうなデータをすべてディスク上に保存しようする方々がよく口にする言葉です。

   その理由としてよく指摘されるのは、磁気ディスクの価格が大きく下がってきいることです。さらに、データセンターの場合は、新しいストレージネットワーク相互接続技術によって、大規模なシステム展開を柔軟に実施できるようになりました。また、コストの違いに基づいてストレージを多層化することも可能になっています。

   しかし、CIOやIT部門の責任者やシステム管理者は、ストレージにはお金がかかることをよく知っています。特に組織の規模が大きければ、ストレージはIT関連の経費の中でかなりの比率を占めることになります。

   それには主に3つの理由があります。

ハードウェアとソフトウェアにかかる経費がディスクドライブそのものの価格を上回る

   現在、多数のディスクドライブのパッケージ、電源、冷却、管理などに必要なハードウェアとソフトウェアにかかる経費がディスクドライブそのものの価格を上回るのが普通になっています。さらに、フロアスペースや空調の経費を加えれば、ストレージの経費全体の中でディスクドライブそのものが占める割合はさらに小さくなります。


ストレージの使用量は、装置の価格が下落するよりもはるかに急速に増えている

   ストレージの使用量はどんどん増えていき、とどまるところを知りません。実際に多種多様な分野や項目に関するデータを格納して分析することから得られる業務上のメリットは大きいので、ストレージの使用量は、装置の価格が下落するよりもはるかに急速に増えていきます。


ストレージの管理にはスタッフが必要

   ストレージの管理にはスタッフが必要です。つまり、人件費がかかります。しかも人件費は、IT関連の経費の中で、時間と共に下落するどころかむしろ上昇している経費でもあります。ストレージには管理が必要であり、ストレージの量が大きくなればなるほど、それだけ管理のための労力も増えていきます。

   ハードウェアは目録を作って管理する必要があり、故障すれば修理しなければなりません。新しいモデルが出れば、入れ替えが必要になることもあります。未使用のディスク容量をアプリケーションサーバーに合わせて設定するだけでなく、アプリケーションサーバーの増加を見込んでディスク容量の計画を立てることも必要です。データの種類に応じて「正しい」種類のストレージデバイスを使用しなければなりません。

   データの消失や破壊の脅威に備えて、データを保護することも必要になります。繰り返しになりますが、ストレージの管理にはスタッフが必要です。つまり、人件費がかかります。しかも人件費は、IT関連の経費の中で、時間と共に下落するどころかむしろ上昇していくことを覚悟しなければならない経費でもあるのです。


オンラインストレージの増加

   Forrester Research という研究分析団体では、米国の2005 年第2四半期のIT関連支出に関して次のような予測を立てました。「2005 年と2006 年の予算の中で最も大きく増加するのは、コンピュータ機器です。米国では、この分野の総支出が2005年に12%、2006年には13%増えると予想されます。

   各企業は2001 年から2002年にかけてのIT不況の休眠期を抜け、2003 年、2004 年、そして2005 年現在まで、コンピュータ機器をアップグレードしており、パソコン、ストレージハードウェア、ブレードサーバーへの設備投資の結果として支出が増加します。」(2005年9月23日、「US ITSpending In Q22005: Still Tracking Forecast」、Andrew Bartelsによる)

   Forrester は、ヨーロッパ市場についても同じような見通しを立てました。「ハードウェア関連の投資に目を向けると、ストレージとサーバーのハードウェアで、30 %を超える企業の需要の増大が見込まれます。一方、コンサルティングやアプリケーション管理のアウトソーシングといったIT関連サービスの需要は引き続き穏やかな動きになると予想されます。」(2005年12月20日、「Europe’s ITSpending Outlook For2006」、Manuel Angel Mendezによる)

   これらの予測は、企業のデータセンターではストレージの量が増加し続けると強く示唆しています。ストレージの量が増えれば、資本支出も増え、運用経費も増えることになります。IT関連の資本支出や運用経費の中でストレージ関連の経費が大きな部分を占めるようになれば、企業としてもそれを削減するための方法を模索するようになります。オンラインストレージの全体的な経費を削減するために、主に次の2つの手法が登場してきました。

ストレージネットワークを使用し、システム展開の柔軟性を高めることによる使用効率の改善
余っているストレージ容量を必要な場所に移動する作業を、物理的な再設定ではなくマウスのクリックで実行できれば、企業としても予測不能な要件に備えた計画を立てやすくなります。
経費の違いに基づいてストレージハードウェアを多層化することによる、ストレージにかかる平均経費の削減
容量を効率的に使うための経費は、ストレージシステムで使うテクノロジと、容量をユーザーに提供する設定方法の両方に左右されます。たとえば、ストレージのミラーリングを非冗長ストレージと比べれば、2倍以上の経費がかかります。また、いわゆる「廉価版」のストレージシステムにあるような低コストのディスクドライブで容量を提供すれば、高性能のドライブで同じ容量を提供する場合よりも経費ははるかに低くなります。

表1:オンラインストレージの全体的な経費を削減する2つの手法

   どちらの手法も効果的ではありますが、いずれにしてもストレージを管理しなければなりません。ストレージ容量が余っているサーバーから必要なサーバーに容量を移動するには、管理者がデータセンターにあるすべてのストレージのシステム展開の最新状況を正確に把握しておく必要があります。

   個々のディスクアレイでそれぞれ1,000個を超えるほどの論理ユニット(LUN)を提供し、少数のエンタープライズクラスのシステムから多数の単一アプリケーションサーバーにデータセンターを移行するとすれば、ストレージの設定状況や各アプリケーションによる使用状況を追跡管理する作業のために専任の管理者が必要になり、データセンターの規模が大きければ、専任の管理者が多数必要になってしまいます。

   ストレージを多層化したシステム展開も、確かに全体的な経費の削減に効果があります。たとえば、データセンターのオンラインデータの80%をミラーリングではなくRAID5で設定したストレージに格納できるとすれば、ハードウェアの設定を変更しなくてもストレージ関連の全体的な経費を30%削減できます。重要性の低いデータを格納するために低コストの「第2層」のディスクドライブを設置すれば、ストレージ関連の平均経費はさらに減少します。

   しかし、そのようにして経費を削減するには、管理者が重要なデータを冗長ストレージデバイスに配置し、頻繁にアクセスするデータを高性能デバイスに格納しなければなりません。数百個のファイルシステムにある数100万個のファイルを数十個のアプリケーションが使うとすれば、しかも個々のファイルの重要性が常に変化していくとすれば、多層構造のストレージを効率的に使うための管理作業は膨大な量になってしまいます。

   大量のストレージと多数のファイルを管理するには、ほかにもさまざまな作業が必要になり、結局のところ、この種の作業がストレージ関連の大きな経費、つまりストレージデータの管理にかかる経費を発生させてしまうことになるのです。

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シマンテックイエローブック

本連載は、シマンテックイエローブック「ストレージ管理の標準化〜Veritas Storage Foundation.を使って、企業全体のストレージ管理効率を向上」からの転載記事です。シマンテックイエローブックとは、ITプロフェッショナルの方や一般の技術者に対して、技術的なノウハウを提供する本です。これらの本はシマンテックのソリューションを使って実際のビジネスや技術上の問題を「どのように解決するのか」について書かれています。またベストプラクティスに基づく推奨事項に加え、インストール、設定、製品の統合についても詳しく解説されております。詳しくは、下記のURLを参考にしてください。

http://www.symantec.com/ja/jp/enterprise/yellowbooks/index.jsp

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シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。

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