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OpenSolarisではじめる本格エンタープライズシステム構築
第1回:イニシャルコストゼロで、ここまでできるOpenSolaris
著者:
サン・マイクロシステムズ 大曽根 明
2007/6/4
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OpenSolarisの紹介
「OpenSolaris」を皆さんご存知でしょうか。OpenSolarisは、サンが開発したUNIX系OSで長い実績を持つ「Solaris」を元に発展し、オープンソース化されたものです。OpenSolarisはプロジェクトとして公開されてからすでに2年を迎えましたが、着実にオープンソースのプロジェクトとして成長を続け、今では複数のバイナリディストリビューションやOpenSolarisの機能を別OSへ移植するといった成果も数多くあらわれています。
本連載では、成長著しいOpenSolarisがどのようなものなのか、利用可能なOSSの活用方法やエンタープライズ向けにどのようなシステムが構築できるのかなど、OpenSolarisの魅力を紹介していきます。
OpenSolarisの歴史
まず連載の最初に、OpenSolarisの元となっているSolarisについて、簡単に歴史を振り返ってみましょう。
1970年頃、ベル研(注1)の研究者たちが現在「UNIX」と呼ばれるOSを開発し、ソースコードを営利目的以外では低額(手間賃程度)で配布したのがはじまりです。
※注1:
Bell Telephone Laboratory:Bell System社の研究開発部門として設立された研究所で、1925年にAT&Tの研究開発機関となっている。
SunOSの登場
このUNIXの商業的価値が認められるようになると、各企業が商業ライセンスを取得して市場に新しいコンピュータをだす手段として利用され、多くの派生UNIXが生まれていきました。
そんな中、カリフォルニア大学バークレー校において、早くからUNIXを手がけ、多くの改良を行っていたのがビル・ジョイ氏(サン創始者の1人)です。彼はバークレー校におけるUNIXの改良を世界に広めるために「BSD(Berkeley Software Distribution)」をはじめたのです。サンから登場した最初のOSである「SunOS 1.0」は、このBSD UNIXをサン・ワークステーションに移植したものといってよいでしょう。その後SunOSには、NFSやSunView(GUI環境)などの拡張が行われてきました。
また同じ時代、UNIXの持つ商業的価値を活かすため、ベル研の親会社であるAT&Tは独自にUNIXを拡張して「UNIX System III」や「UNIX System V」を発表しました。その後サンとAT&Tが2系列のUNIXを統合することになり、その成果として生まれものが「UNIX System V R4.0(SVR4)」と呼ばれるものです(SVR4)。
図1:UNIXとSolarisの進化
Sunのビジネス戦略がサーバ製品にフォーカスしていくのに合わせ、Solaris 2.0はサーバOSとして着実にその機能、性能をあげて発展を遂げていくことになります。
同時にワークステーション環境におけるGUI環境など、複雑なテーマをこなしながら今日のSolaris 10まで発展してきたのも、基本的なバイナリの互換性を保ってきたことが商業OSとしての価値と地位を確保してきた理由であるといってよいでしょう。
OpenSolarisとソースコード
OpenSolarisはSolarisを元にオープンソース化して開発を行っていくプロジェクトです。OpenSolaris自身はLinuxでいうディストリビューションではなく、あくまでも「プロジェクト」の名前で、ディストリビューションとしては「BeleniX」や「NexentaOS」、あるいは「Solaris Express」となります。
OpenSolaris
http://jp.opensolaris.org
BeleniX
http://www.genunix.org/distributions/belenix_site/
NexentaOS
http://www.gnusolaris.org/gswiki/Download
OpenSolarisの活動としては、2005年1月に当時Solaris 10に搭載され注目を集めていたDTrace関連のソースコードをオープンソース化しました。その後、順次多くのソースコードを公開していますが、これは法的に問題のないことを逐一確認しながら進めていく大変な作業なのです。これはSolarisがソースコードを開示することを前提にしていなかったので、他社のソースコードや知的財産が様々な理由で含まれているためです。
残念ながらSolarisの一部のソースコードは簡単に開示できないものがあります。例えばATOKはサンがジャストシステムよりライセンスを受けてSolarisに組み込んでいます。そのソースコードをサンが買い取って開示するということはないでしょう。
しかし、SolarisがSolarisたり得るほとんどのソースコードは開示しています。また一部はバイナリとして提供することで、例えばOpenSolarisのソースコードを使って作ったカーネルも作れるようになっています。またOpenSolarisの開発結果をSolaris 10に還元することも随時行われています。
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著者プロフィール
サン・マイクロシステムズ株式会社 大曽根 明
OpenSolaris エバンジェリスト
サンでソフトウェアの組織の中で国際化、日本語化などを主に担当している部署におりますが、サンに入る以前からUNIXを支持し、UNIXに関わる仕事に従事してきました。現在はOpenSolarisの伝道師としても活動しております。
公式ブログ
http://blogs.sun.com/ako/
INDEX
第1回:イニシャルコストゼロで、ここまでできるOpenSolaris
OpenSolarisの紹介
OpenSolarisの特徴的な機能
OpenSolarisのパフォーマンス