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【バグ管理の作法】本当に怖いバグ話

【バグ管理の作法】本当に怖いバグ話

第2回:一行減らせて嬉しかったのに…

著者:シンクイット編集部

公開日:2007/12/14(金)

プログラマの鳴く夜は恐ろしい…

まず、30代 SEのA氏の話からはじめよう。

「ある日、私はシステムの担当マスタから、リストに含まれている事業部長のBさんを含め社員数名のデータをその日の17:00までに消しておくように、と指示を受けました。忘れてはいけないと思い、すぐにノートにメモを取りました。

『事業部長B、その他5名、17:00に消す』

緊急に修正すべき作業が発生したためしばらく席をはずし、帰ってみると私の席の前にBさんが立っていて、私を見つめています。

『Aさんは、私を消したいのかな?』

DEATH NOTEが流行りはじめたある日のできごとでした」

これは「今では笑える話」だが、IT業界には身の毛もよだつような「怖いバグ話」が存在する。まだ自分自身が出会っていないとしても、それはいつ何時襲い掛かってくるかわからないのだ。

本連載「本当に怖いバグ話」では、いつ自分がそれに直面しても冷静に対処できるよう、業界にかかわる怖い話を集めて紹介する。第2回の今回は、プロジェクトに関わる多数の人物の中で、たった1人の決断によって自分を含めた多くの人間に恐怖を与えた体験談をお届けする。

なお、この話が事実か想像の産物なのかは、読者の判断にお任せする。



700通のメールボムが…

「これは、C社に勤めていたプログラマのD氏から聞いた話です。彼は参画していたプロジェクトの中で、メール送信を行うプログラムを記述していました。完成したプログラムの動作チェックを行うため、新規メールを作成し、メール送信ボタンをクリックすると『メール送信を開始しました』のメッセージがでたそうです。

その後で自分の電子メールソフトを起動したところ…いつまでたってもメールの受信が終わりません。受信中のメールの件数は300件を超え、まだまだ続いているようです。数分の間、彼は何が起こっているのかわからず、途方にくれていたといいます。

その様子に気づいた同僚がメール送信プログラムを強制終了させたため、そこでようやくメール送信が停止しました。最終的に送信されたメッセージは700件を超えていました。

メール送信プログラムは全社員宛に送信を行うため、社員のメールアドレスリストを使ってテストする予定でした。しかし、その前段階としてD氏は自分のアドレスのみに送信設定をしていたことから、ほかの人のメールボックスに被害を与えずにすんだそうです。

原因はメール送信プログラムが無限ループしていたことでした。テスト前にこの点がチェックされていれば、こんな恐怖を味わわずにすんだでしょう。後日、急激にメールサーバへ負荷がかかったことで犯人探しが行われ、D氏はかなり絞られたそうです。

…自分の話じゃありませんよ?」

(20代 プログラマ D氏)

続いては、エキセントリックなコードが招いた怖い話を紹介する。 次のページ



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第2回:一行減らせて嬉しかったのに…
プログラマの鳴く夜は恐ろしい…
  F氏が手がけたエキセントリック・コード
  設計変更によってすべてが水の泡に…