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徹底比較!! Red Hat vs SUSE
徹底比較!! Red Hat vs SUSE

第1回:RHELとSLESとの各種スペック比較

著者:日本アイ・ビー・エム  原田 真   2006/1/16
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はじめに

   一口にLinuxといっても、様々なディストリビューションが存在しています。そしてディストリビューションごとに種々な特徴があります。同じLinuxカーネルをベースにしているにもかかわらず、ディストリビューションが異なると、機能や使い勝手の面でまったく別の種類のOSであるかのような感覚を持つことがあります。

   このことはしばしばシステム開発者や管理者を混乱させる原因となっており、システム性能を十分に活用できなかったり、オペレーションミスを誘発させたりします。従ってディストリビューションの違いを正しく理解することは、IT資源の有効活用やシステムの安定稼働につながると考えられます。

   現在、ビジネスの場において採用されることの多いディストリビューションとして、レッドハット、ミラクル・リナックス、ターボリナックス、ノベルなどのディストリビュータの製品があげられます。

   本連載ではこれらのディストリビューションのうち、最も広く使用されているレッドハットの「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」と、最近注目されることの多いノベルの「SUSE LINUX Enterprise Server(SLES)」の比較を、いくつかの技術的な側面からおこなっていきます。


レッドハットとは

   Red Hat,Inc.は1993年に米国で設立された、世界最大のシェアを持つLinuxディストリビュータです。1999年には日本法人である「レッドハット株式会社」を設立し、はやくから企業向けのサポートも開始したために、日本国内においても第1位のシェアを持っています。


ノベルとは

   SUSE Linux AGは1992年にドイツで設立され、1994年には、S.u.S.E. Linux 1.0をリリースした最古の商用ディストリビュータです。ドイツ生まれということもあり、ヨーロッパでトップ、世界では第2位のシェアを持っています。早い時期から非IAプラットフォームのサポートを開始したためにハイエンド・エンタープライズ環境での採用が多い傾向があります。

   しかし日本法人を設立しなかったために、日本国内での採用はあまりありませんでしたが、2004年にノベルによる買収にともなって、日本市場へ本格的に参入しました。


製品体系

   レッドハットおよびノベルのどちらにも、大きく分けて2つの製品系統があります。1つは、ユーザコミュニティに開発プロジェクトを開放し、無償で公開される系統です。もう1つは、それらの成果物をもとにして作られる有償で販売される系統です。

   無償の系統は最新の技術がいち早く取り込まれるという特長がありますが、それが故に少なからずバグなどの不具合を含むといった欠点もあります。このような特性から、無償の系統はどちらかというとソフトウェア開発者たちに支持される傾向があります。これらの開発プロジェクトについて、レッドハットでは「Fedora Project」、ノベルでは「openSUSE」と呼ばれ、それぞれの成果物は「Fedora Core」と「SUSE Linux」です。

   有償の系統は前述の「Fedora Core」や「SUSE Linux」をもとにして開発されます。そのため時間的に最新の技術が取り込まれているとは限らなく、あえて機能を削除している場合もあります。

   しかしその反面、バクや不具合に対する修正がされており、安定稼働が期待できるという特長があります。また有償の製品のためベンダーによるサポートが提供されており、ユーザ自身にソフトウェア開発のスキルがなくても使用することができます。

   このような特性から、有償の製品はビジネスで使用されるサーバなどに多く採用されています。これら有償の製品は、レッドハットでは「Red Hat Enterprise Linux」、SUSEでは「SUSE LINUX Enterprise Server」であり、それぞれ「RHEL」および「SLES」と省略されています。

   本連載ではビジネスでの使用を念頭に置き、有償の系統であるRHELおよびSLESについての比較します。2006年1月時点でのRHELの最新のバージョンは「4」であり、SLESでは「9」です。本連載ではRHEL4とSLES9について解説します。

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日本アイ・ビー・エム 原田 真
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  原田 真
日本アイ・ビー・エム株式会社 xSeriesテクニカル・サポート所属
1999年のLinuxサポートセンターの設立以来、一貫して先進Linux関連プロジェクトやLinuxビジネスの開発、特に新製品に関するサポートに従事。現在は、xSeriesハードウェア・プラットフォームのLinuxサポートを担当。


INDEX
第1回:RHELとSLESとの各種スペック比較
はじめに
  サポートされるシステム構成
  RHEL4に関しての注意点
  カーネル/ライブラリおよび主要サービス