TOPシステムトレンド> 閑散期の黄昏
RHCE受験体験記
RHCE受験体験記

第1回:赤い帽子の誘惑
著者:シンクイット  三野 崇文   2005/12/13
1   2  3  次のページ
閑散期の黄昏

   2005年10月も半ば過ぎ、世の中はすでに晩秋といった感じでした。そんな中、筆者は会社で夕日を眺めつつ、途方にくれていました。なぜならば、次の仕事の開始までに2週間の空白期間ができてしまったからです。こういう閑散期は忙しいプロジェクトを乗り越えたときにはちょっとした休息としてありがたいものですが、その間はキャリアを積めないので頭が痛いものです。

   とはいえ、この業界ではよくある話です。気を取り直して、「まあこういう時こそ知識を蓄積しよう、まずは技術書でも読んでみるか」と本棚に目をやったところ、"RHCE: Red Hat Certified Engineer : Study Guide : Exam RH302"という題名の本が目に飛び込んできました。

   「ん…。誰がここに置いたのだろう。しかも洋書だし…」とそのまま無視して他の本を物色しようとしましたが、「RHCE」という言葉にピンとくるものを感じました。以前Linuxに関連した業務を行ったことがあったので、この資格の存在は知っていました。難関の資格で費用も非常にかかるという噂は聞いていましたが、いつかは取りたいと密かに思っていました。

   認定試験だけであれば1日で終わりますが、講習も受けるとトータルで5日間かかります。「この先、5日間も資格取得だけに費やせる時間は当分ないだろう。この機会を逃したらいつ取れる!」思い立ったら行動あるのみです。

   ただ、資格を取得するのには時間とともに費用も必要です。「うちには資格補助制度があるんだよな…」と思いつつ、社長にこの思いをぶつけてみました。講習を含めた費用が30万円半ばなので、それ相応のプロセスを経た上でさらに渋られると思いましたが、あっさり「OK」の返事がでました。かくして私はRHCEの講習と認定試験を受けることになったのです。

   というわけで、本連載ではRHCEの速習エキスパートコースと認定試験を受けることになった筆者の講習の申し込みから試験結果を受け取るまでの一部始終を体験レポートとして紹介します。この連載がRHCE認定試験を受験する方、受験を検討されている方のよきガイドとなれば非常に幸いです。


RHCE(Red Hat認定エンジニア:Red Hat Certified Engineer)認定試験の概要

   本題に入る前にRHCE認定試験とはどのような試験なのかについて説明します。

   RHCE認定試験はレッドハット社が実施している世界標準の認定プログラムであり、Red Hat Enterprise Linuxの「インストール」「設定」「デバッグ」「ネットワークサーバ構築」の能力を問われる試験です。

   レッドハットのRH302認定試験のWebサイト(http://www.jp.redhat.com/training/rhce/courses/rhexam.html)や
RHCE/RHCT試験ガイドのWebサイト(http://www.jp.redhat.com/training/rhce/examprep.html
に試験範囲などの詳細が掲載されています。実技のみで試験が構成されている点が最大の特徴であり、費用の面も含めて色々な意味で他のLinuxの資格とは一線を画しています。

   実施会場は東京の水道橋と大阪の京橋です。水道橋の場合は月に3回開催され、日程もWebサイト(http://www.jp.redhat.com/training/rhce/courses/rhexam.html)で確認することができます。


たとえRHCEに合格できなくても

   たとえRHCEに合格できなくても、一定の条件を満たせばRHCT(Red Hat Certified Technician)として認定されます。RHCTはRHCEの前段階にあたるレベルで、RHCE取得者が構築した一般的なネットワークアプリケーションの管理を行える技能レベルを想定しているものです。

   RHCEやLinux系資格全般については書籍連動記事「Linuxオープンソース白書2006」もご参照いただければと思います。

1   2  3  次のページ


株式会社シンクイット  三野 崇文
著者プロフィール
株式会社シンクイット  三野 崇文
C言語のプログラマ、ネットワークエンジニアの経験を経て、シンクイットにて現職。プログラマ時代にアキアのノートPCにTurbolinuxをインストールして、ノートPCでUNIXクローンのOSが動くことに感動。前職でLinuxのサポートプロジェクトに参加したことにより、一時冷めていたLinux熱が再燃。それがきっかけで転職し、現在に至る。


INDEX
第1回:赤い帽子の誘惑
閑散期の黄昏
  RHCE向けプログラム
  1日目(10月24日)