第4回 仮想化によるバックアップ統合とBCP

「高速化」 - IT危機管理の基本基盤としての要素

本連載では、ITの危機管理の側面に立った具体的な活動としてバックアップを取り上げました。第1回から第3回に至るまで、旧来の技術を対比させながら、新しいIT基盤である仮想化環境におけるバックアップ技術の適用方法について話を進めてきました。

今回は最終回になります。本連載のメイン・テーマとなるBCP(事業継続計画)を念頭におき、仮想化環境上での危機管理の基本基盤であるバックアップ/リカバリにおけるCDPの有効性をあらためて整理してみたいと思います。

第1回では、危機管理に取り組む際には、まずはリカバリ要件から考える必要がある点について言及しました。バックアップをとること自体は危機管理の本質ではなく、過去の適切な時点までの状態へ、適切な時間でリカバリすることが重要です。これらをあらかじめ定めておくことが、リカバリ要件につながります。

仮想化環境においても、同じことが言えます。

米VMwareが提供する仮想化の基盤においても、第3回で取り上げたように、何らかの形でバックアップ/リカバリを担うソフトウエアやハードウエアが介在しなければなりません。旧来のバックアップ・ソフト技術が提供する仮想化対応のオプションを用いても仮想化の環境のバックアップはできますが、リカバリの側面では従来のバックアップ・ソフトやアーキテクチャーが持つ限界は依然として残ります(図1-1)。

一方、本連載で紹介しているCDPであれば、保護対象が仮想サーバーであっても基本機能は変わらず、高速にリカバリできます。また、仮想サーバー上に新たなシステムを再構築してサービスを復旧するのにかかる時間も短く、2分、10分といった単位で実現できます。

あらためて、危機管理に取り組む際にまず押さえるべきポイントはリカバリ要件であり、仮想化環境においても変わりません。バックアップだけに主眼を置くのではなく、いかに有事の際に適切に、適切な時間でリカバリすべきか、そしてそれができるかを検討する必要があります。

「統合化」 - 仮想化/従来システムのバックアップを統合

従来システムをバックアップするシステムと仮想化システムをバックアップするシステムを統合することも重要です。

第3回からは、仮想化環境のバックアップ/リカバリをCDPで行うことを紹介してきましたが、バックアップ対象が物理環境であってもCDPの基本機能は変わりません。

従来システムのバックアップ・システムをCDPに置き換え、各物理システムのバックアップを統合化し、そのうえで仮想化環境も同一のCDPでバックアップするようにします。あるいは、仮想化環境の導入時にバックアップ・システムとしてCDPを導入し、ここで導入したCDPに従来システムのバックアップを統合するというシナリオもあり得ます(図1-2)。

いずれの場合も、従来の物理システムに大きな変更を加えることなくCDPにバックアップ・データを統合できます。CDPにサーバーからバックアップ・データを送るエージェント・モジュールは、前回説明したように、サーバーのCPUパフォーマンスに影響を及ぼすことがほとんどありません。

サーバー仮想化の導入時にバックアップ/リカバリ・システムとしてCDPを導入し、同時に従来の物理サーバーのバックアップ/リカバリの仕組みを統合することで、バックアップ・ウインドウが無い常時/継続的なバックアップが可能となり、バックアップ運用を事実上なくすことができます。

<仮想アプライアンス版のCDP-VAを用いた場合(CDPサーバーを仮想サーバーの形態で運用する場合)は、仮想化サーバー上にリカバリ用の復旧サーバーを作り、常時/継続バックアップをしているミラー・ディスクをマウントさせれば、即時復旧が可能になります。第3回でも説明しましたが、この方法により、本番業務サーバーに影響を与えずにシステム・リカバリ(復旧)のテストを実施できます。

次ページからは、CDPを用いて遠隔拠点にデータをレプリケーションする方法や、実際にCDPを導入したユーザー事例を紹介しながら、CDPについてより詳しく解説します。

著者について

関 信彦

ファルコンストア・ジャパン 関 信彦

外資サーバベンダーとソフトベンダーにてシステムアナリスト、プロダクトマネージャ、プロダクトマーケティングという職域で日本のITビジネスに長年携わる。2009年9月より現職。現在、BCPをはじめとした昨今のニーズに合った新しいデータ保護(バックアップ&リカバリ)の市場開拓、マーケティング業務に携わる。
http://www.falconstor.co.jp/

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