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オープンソース統合監視ツール導入指南
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第5回:システム規模に合わせたツールを選択

著者:ZABBIX-JP  寺島 広大   2008/03/31
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Hinemosの評価ポイント

   Hinemosはデータの保存にLDAPやPostgreSQL、サーバにJBossを利用するため、運用管理にはある程度のスキルが必要です。インストール自体は専用のインストールスクリプトを用いることで簡単に行えるようになっています。ただしLDAPやPostgreSQL、JBossなどの各サーバは別ホストにインストールすることが難しく、大規模システムに対応するためにはハイスペックなサーバを用意する必要があります。

   また、マネージャやエージェントはJavaで作成されているため、エージェントを利用する場合には監視対象サーバにもJavaをインストールする必要があります。エージェントの対応OSがWindowsとLinux(Red Hat Enterprise LinuxおよびCentOS)のみであるため、各種UNIXやRHEL/CentOS以外のディストリビューションの監視は行えません。

   監視可能な項目についても、プラグインに対応しておらず、情報収集機能を拡張することができません。本格的にシステムの監視を行うためには、SNMPによるデータ収集を行う必要が出てくるでしょう。

   日本発のソフトウェアであるため日本語の情報が揃っており、ドキュメント類も比較的多く存在します。また、すべてWindows上の専用クライアントから閲覧/設定することが可能であるため、設定の際にOSの操作知識がなくても良く、システムの運用管理者とオペレータが異なる場合に利用しやすいといえます。

   ただし、長期間の監視データや障害履歴を保存する機能がない、運用管理機能自体があまり充実していない、標準的な監視テンプレートなどが存在しない、監視設定を作り込む必要がある、ユーザや通知先のをグループ管理できないなど、監視機能はあくまでジョブ管理やスケジューラの付随機能だと割り切って利用するほうが良いといえるでしょう。
  Nagios Hobbit ZABBIX Hinemos
監視対象はサーバ、ネットワーク
機器を含め100台〜1,000台以上
×
サーバの管理者と監視システム
の運用者は異なる
× ×
グラフ作成機能、障害発生時の通知
機能、マップ作成機能、稼働率や
障害履歴などのレポート機能を
利用する
× × ×
障害発生時はメールに加えて、
音やランプによる通知を行う

表2:大規模システムを想定した比較結果


大規模システムにはZABBIX

   まず、「監視対象はサーバ、ネットワーク機器を含め100台〜1,000台以上」「サーバの管理者と監視システムの運用者は異なる」「グラフ作成機能、障害発生時の通知機能、マップ作成機能、稼働率や障害履歴などのレポート機能を利用する」「障害発生時はメールに加えて、音やランプによる通知を行う」の4つの観点から各ソフトウェアを比較します。

   監視対象が100台〜1,000台以上になると、監視を行うだけの負荷に耐えられることに加え、多数の設定を効率良く管理できるの仕組みを備えたソフトウェアである必要があります。その点で、Nagiosは上記のシステムには向かないと考えられます。

   次にサーバの管理者と監視システムの運用者が異なることから、監視システムの運用者には専用のインターフェースから操作を行えるものを選択すべきでしょう。Linuxのコンソールから設定を行う必要があるHobbitも向いていないといえます。

   ZABBIXとHinemosはともにグラフの作成とメール、音、ランプによる通知を行うことは可能ですが、Hinemosはマップの作成機能や稼働率、障害履歴の機能を有していません。以上のことから、上記の要件にはZABBIXが最も適しているといえます。

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ZABBIX-JP 寺島 広大
著者プロフィール
ZABBIX-JP    寺島 広大
システムインテグレーション、ネットワーク運用管理を経験後、現在はミラクル・リナックスに勤務。顧客の監視システム構築の際にZABBIXを知り、仕事の傍らZABBIX-JP Webサイトの作成、管理を行っている。


INDEX
第5回:システム規模に合わせたツールを選択
  4つのオープンソース統合監視ツールの総評
Hinemosの評価ポイント
  中小規模システムにはHobbitまたはZABBIX