受注や転職が有利になる! 『PHP5技術者認定初級試験』

2012年10月25日(木)
ラーニング編集部

国内初のPHP5スキル認定制度

手軽にプログラミングでき、コンパイルの必要がない「ライトウェイト・ランゲージ」として、Web制作の現場において広く使われている「PHP」。定番のオープンソース系Web開発環境である「LAMP」を構成する言語の1つであり、ITに携わるエンジニアの5人に1人がPHPの技術を取得しているという調査結果もある人気の言語だ。また近年では、ソーシャルアプリやWebブラウザ上で動作する「ブラウザゲーム」の人気に後押しされ、従来はJavaなどの他言語が優勢だった大規模開発に採用されるなど、PHPのニーズは高くエンジニアの需要もますます高まっている。

しかし、敷居が低い言語であることからエンジニアごとのスキルの差が大きく、また、これまで国内で組織されたPHPスキル認定制度がなかったため、開発会社の採用担当者や開発を発注する企業の担当者にとって、相手がどれだけのスキルを持っているかを測りにくく、判断基準がせいぜい過去の実績ぐらいということで、大規模開発を任せるには少々心許ない、リスクの大きい状況が続いてきた。

このような現状を受け、2011年2月にオープンソースに関わる団体や企業が中心となって、特定非営利活動任意団体の「PHP技術者認定機構」を設立。PHPの技術習得度合いを測る基準として「PHP技術者認定試験」を実施するほか、認証スクールを通じてPHP技術者の育成にも取り組み始めている。

同団体が提供するPHP技術者認定試験では、主教材として『初めてのPHP5』(オライリー・ジャパン)を採用し、独自テキストで囲い込みを行うのではなく開かれた試験運営を実施している点が特徴となっている。そのため特別な教材なしに、個人で学習を開始できる手軽さがある。

広範囲な知識の取得が問われる

PHP技術者認定試験は現在「初級試験」と「上級試験」が通年受験できるようになっている。

初級試験では「初めてのPHP5」を主教材とし、加えてオンラインマニュアルからの出題が含まれる。初級試験の目的は「PHPプログラミングの基本知識を問う試験」とされるが、日本語処理やセキュリティ対策を含め試験範囲は広い。

PHP技術者認定機構の発起人の1人であり、理事長/CEOを務める吉政忠志氏は「PHPの技術は非常に幅が広く、実務でPHPを使いこなしているエンジニアであっても、特定の分野の知識には弱い場合がある。初級試験はスキルスタンダードとして広範囲な知識を問うことを目的としており、総合的な力が求められる試験といえる」と語る。

吉政 忠志(よしまさ ただし)氏
PHP技術者認定機構 理事長。吉政創成株式会社 代表取締役
日本のIT産業の更なる発展のために、PHP技術者認定機構のほか、BOSS-CON JAPAN理事長、PHPセキュリティ・アライアンス会長、Railsアドバンスド・パートナーズ会長、Rails技術者認定試験運営委員会事務局長など、数々のIT技術啓蒙団体の運営に携わっている。


受験が想定される層は、新人プログラマーやIT企業への就職を目指す学生、Webデザイナーなどだが、上記の特性から、PHPの技術を体系的に学びなおしたい現役エンジニアにとってもお勧めできるとのこと。

「PHPを実務で利用していても、実質的にはWordPressなどのソフトウェアをカスタマイズしているだけ、という例は多いはず。初級試験を受けることで自分に足りない部分を再確認できるだけでなく、キャリアアップに必要な知識を身につけることにもつながる」と吉政氏は指摘する。

上級試験では「プログラミングPHP 第2版」(オライリー・ジャパン)が主教材とされるが、「PHPの言語仕様から実用的なプログラミングテクニックまでの知識を問う試験」とされ、問題の多くが長文読解で構成されるなど、その難易度はきわめて高い。より実践的な知識を問うため、オンラインマニュアルからの出題比率も2割を超えており、2012年9月時点での合格率は5パーセント以下。エンジニアとして一人前の知識を有していても、簡単には取得できないレベルであり、「IT業界における税理士試験」と呼ばれるほどの超難関試験とされる。

「上級試験ではどのような案件に関しても最高レベルの知識で対応できることを目的としており、広範囲かつ専門的な知識が問われる」と吉政氏。上級試験の合格ラインは7割のスコアを獲得することだが、初級試験で9割以上のスコアを獲得する合格者でも、上級試験の平均スコアは5割程度とのこと。初級を受けずに上級を受けることも可能だが、受験者像としては、最低でも3年以上のキャリアを持ち、チームリーダーとして活躍できるレベルの実力を持ったプログラマーが想定されている。

試験制度を通じて
オープンソース業界への貢献を目指す

受験方式は、初級・上級ともプロメトリック社が提供するCBT方式(コンピュータで受験する方式)を利用し、全国の会場で通年実施している。試験の予約や受験票の発行などは、すべてプロメトリック社のサイト上から実施する仕組みだ。

試験は多肢選択式だが、問題によっては複数選択が求められ、正しい選択肢をすべて選ばないと加点されない。初級試験は、1時間で40問を解いて7割正解が合格ライン。上級試験は2時間で60問を解き、こちらも7割正解が合格ラインだ。上級試験ではスコア証明書が発行されるため、TOEICのように達成スコアで実力が評価されるシステムとなっている。ちなみに上級試験で9割以上のスコアを獲得すると、「Honor Expert」に認定され、記念品が贈呈されるとのこと。

また上級試験のさらに上位のプログラムとして、「PHP 技術者認定ウィザード」が提供されている。これは上級試験の合格者のみに参加資格が与えられるもので(合格より2年以内に限る)、文字通りPHPにおけるウィザード(魔術師)級の人材を選出するための認定制度となっている。審査は、セキュリティ/パフォーマンス/フレームワーク/インターナルからいずれか1つのテーマで論文を作成し、Web上で公開審議するという形式で行われる。PHP技術者認定機構の認定スクールや特別審査員、また試験の合格者に与えられる投票権を用いて投票を行い、全体の得票数の20%または100票を得るとウィザードとして認定される。

「従来の資格制度は、個人の知識レベルを評価するものでしかなかったが、PHP技術者認定機構として、資格制度を通してオープンソース業界に貢献できる枠組みを作りたかった。我々が目指しているのは、ノウハウを持っている人の知識を共有するという、オープンソースの理念に近いものだ」と、その理念を語る吉政氏。なおウィザード試験は年に1回実施される。

実践的な試験問題を提供する

では、PHP技術者認定試験を取得することで、エンジニアには実際にどのようなメリットがあるのだろうか。

初級試験においては、PHPにおける全般的な知識を取得し、プログラマーとして一人前の実力を備えていることの証明となることが考えられる。エンジニアに限らず、PHPを活用して仕事の幅を広げたいWebデザイナーや、Webディレクターにとっても有益な資格といえるだろう。

具体的には、

  1. セキュリティ対策やパフォーマンスチューニングなど、企業が必要としているスキルの取得を客観的に証明できる
  2. 試験勉強を通じて、自分に不足している知識を体系的に学びなおすことができる

などが要件といえるだろう。加えて上級試験の場合は、合格そのものがステータスとなる高い難易度となっている。

また企業側にとっては、過去の経験や実績だけでなく、具体的な実力を測ることが可能となる。特に、スコアという形で詳細な実力が評価される上級試験は、必要な人材を確保するうえでの明確な指標となるはずだ。

なお他の認定制度においては、試験で問われる内容と実務に必要な知識に食い違いが見られる例も見られるが、PHP技術者認定試験においては「ベータ試験を何度か実施し、開発現場の意見を取り入れながら問題の取捨選択と難易度調整を行った」こともあり、受験者の感想でも実践的な問題内容が評価する声が多い。そのため、SIerを中心に自社のエンジニアへの受験を義務付ける例も増えており、国内におけるPHPプログラミングのスキルスタンダードとして、今後ますますの普及が期待されている。

なお、PHP技術者認定機構では初級試験と上級試験の間に位置する「中級試験」として、WordPressといった個々のPHPアプリケーションやセキュリティなどのカテゴリに特化した試験の新設を予定している。これにより初級から上級へステップアップを段階的に行えるだけでなく、業務に即した専門的な知識に関してのみ資格を取得する、といったニーズにも対応できることとなるだろう。

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