CentOS 7の基礎

2014年11月14日(金)
古賀 政純

CentOS 7のリリースサイクル

CentOSは、ベンダーによる保守サポートはありませんが、コミュニティによるメンテナンスの更新の期限が存在します。CentOSにおけるメンテナンスの更新は、2種類存在します。新機能の追加やセキュリティ対策用のパッチのリリースが行われる「完全更新(Full Updates)」と、最低限必要とされるセキュリティ対策用のパッチのリリースを想定した「メンテナンス更新(Maintenance Updates)」です。

CentOS 7の場合、メンテナンス更新として約10年を想定しており、その10年間の間に、完全更新は、1年に数回程度の実施されることを想定しています。CentOS 4のメンテナンス更新期限(End-of-Life)は2012年にすでに終了しています。CentOS 5のメンテナンス更新期限は2017年3月31日を想定しているため、現状、CentOS 5でシステムを構成している場合は、2017年までに対策を打つ必要があるでしょう。CentOS 6のメンテナンス更新期限は2020年11月30日、CentOS 7のメンテナンス更新期限は2024年6月30日となっています。

図8:CentOSのコミュニティが定める完全更新の期限とメンテナンス更新期限。CentOS 7は、2024年まで最低限必要なセキュリティパッチの提供が行われる予定である(クリックで拡大)

CentOSのメンテナンス更新期限は以下のURLで確認することができます。アプリケーションの対応の関係上、CentOS 7ではなく、CentOS 6を導入せざるを得ない場合がありますが、その導入を予定しているシステムの更改時期とCentOSのメンテナンス更新期限を照らし合わせてCentOSの導入の検討を行うようにしましょう。

CentOSのメンテナンス更新期限

CentOSのバージョン

CentOS 6までは、バージョン番号として、メジャーバージョンとマイナーバージョンの組合せによって表記していました。例えば、メジャーバージョンが6で、マイナーバージョンが5の場合は、CentOS 6.5と表記していました。このメジャーバージョンとマイナーバージョンの組合せは、アップストリームであるRHELのバージョンに対応しており、対応するRHELのバージョンと互換性を保つようになっています。CentOS 7では、メジャーバージョンとマイナーバージョンにリリースされたソースコードの年月を意味するタイムスタンプが付与される表記になりました。例えば、CentOS 7の場合、RHEL7.0をベースに、2014年6月にリリースされたソースコードを基にしているため、CentOS 7.0.1406というバージョンになります。

CentOS 7のカーネルの新機能

CentOS 7は、Linuxカーネルバージョン3.10.0の採用によりテラバイトクラスの大規模メモリへの対応が図られており、テラバイトクラスのメモリを搭載した場合のkdumpにも対応しています。アップストリームのRHEL7において、テクノロジープレビューではあるものの、複数のCPUに対応したクラッシュカーネルの起動にも対応しています。最近のマルチコアCPUのサーバーで採用されているNUMAアーキテクチャを持つシステムにおいて、アプリケーション等のプロセスの配置を自動的に行い、性能改善を試みる機能も搭載されています。OSのスワップメモリを圧縮する技術である「zswap」により、ディスクI/Oを低減し、性能向上を試みる仕組みが搭載されています。

CentOS7の目玉機能の一つとしては、「稼働したままカーネルのパッチ適用が可能」という点です。これは、ダイナミック・カーネル・パッチング(通称kpatch)と呼ばれます。Oracle Linuxのkspliceや、SUSE系ディストリビューションに搭載されているkGraftに相当するものです。OSを再起動せずにカーネルにパッチを当てることができるため、ダウンタイムの大幅な削減に貢献します。ただし、アップストリームであるRHEL7では、あくまでテクノロジープレビューでの搭載ですので、CentOS 7でも同様にテクノロジープレビューの範囲での利用に留めておくべきです。

kpatchの参考情報

CentOS 7に搭載されているkpatchと同様の機能で、RHELクローンの一種であるOracle LinuxにおいてOSを再起動せずにパッチ適用を実現するkspliceの機能は、コミュニティが手掛けるアップストリームカーネルに取り込まれるか否かが非常に重要になってきます。過去、kspliceは、構造が複雑過ぎる等の理由で、アップストリームカーネルへの導入を拒否されています。しかし、再びアップストリームカーネルへの採用も検討されているようですので、今後、アップストリームカーネルへのksplice、kpatch、kGraftの採用競争が繰り広げられる可能性があります。

kpatchのまとめ

  • ミッションクリティカル顧客向けのゼロダウンタイムの実現に向けた取り組み
  • 稼働中のカーネルにパッチを当てるニーズがある
  • ftraceに基づくアーキテクチャ
  • カーネルモジュールまたはカーネルの修正を稼働中のカーネルに挿入

まとめ

第1回では、CentOS 7の概要について述べました。以下、CentOS 7のポイントを挙げておきます。

  • CentOSのコミュニティとRed Hat社が協調
  • 3層構成においては、CentOSの適材適所の見極めが重要
  • ビッグデータ基盤用に開発されたサーバーでの利用にも耐えられるXFSの採用
  • スケールアウト基盤導入顧客では、初期導入費用削減にCentOSを採用
  • 採用前に、CentOS 7における完全更新とメンテナンス更新の期限を知っておく
  • 稼働状態でパッチを適用するkpatch等のエンタープライズ向け機能の成熟が期待される
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CentOS 7実践ガイド

古賀 政純 著
価格:3,000円+税
発売日:2015年2月25日発売
ISBN:978-4-8443-3753-9
発行:インプレスジャパン

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリセールス統括本部 ソリューションセンター OSS・Linux担当 シニアITスペシャリスト

兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師を担当。科学技術計算サーバーのSI経験も持つ。2005年、大手製造業向けLinuxサーバー提案で日本HP社長賞受賞。2006年、米国HPからLinux技術の伝道師に与えられる「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。日本HPプリセールスMVPを4度受賞。現在は、Linux、FreeBSD、Hadoop等のOSSを駆使したスケールアウト型サーバー基盤のプリセールスSE、技術検証、技術文書執筆を担当。日本HPのオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストとして講演活動も行っている。Red Hat Certified Engineer、Red Hat Certified Virtualization Administrator、Novell Certified Linux Professional、EXIN Cloud Computing Foundation Certificate、HP Accredited Systems Engineer Cloud Architect、Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack、Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoop認定技術者。HP公式ブログ執筆者。趣味はレーシングカートとビリヤード

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