Red Hat Summit 2015、ボストンで開幕 - vol.01

2015年7月3日(金)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

2015年6月23日よりボストン市内で開催されたRed Hat Summit 2015。事前登録が5000人を超えるRed Hatにとっては年に一度のプライベートイベントだ。今回は速報として初日の午後に行われた「Middleware Keynote」の模様を紹介する。

今回のイベントはシニアVPのクレイグ・ムジラ氏による講演で始まった。この講演でムジラ氏はスマートフォンやクラウドなどの技術革新とビジネスのトレンドなどが同時に起こることによってイノベーションが起こる、それらのベクトルがコンバージェンス(融合)する時に大きな革新が起こると説明し、その良い例がUberとNetflixであると紹介した。ここでUberはGPSを活用出来るスマートフォンアプリ、それに自家用車を共有するシェアリングエコノミーが融合したことによって革新を起こし、Netflixについては単なるDVDタイトルのレンタルからDevOpsによって常にアプリを更新し続ける最先端のWebソリューションによって革新を起こしたのだと解説した。

そして後半は今回のサミットに合わせて発表されたコンテナーテクノロジーをフルに活用したPaaSであるOpenShift Enterprise 3、同時に発表されたRed HatのMBaaSであるRed Hat Mobile Application Platformを活用したスマートフォンアプリの開発、IoTから上がってくるデータをリアルタイムで処理するためのApache Sparkを組み合わせたデモを実施した。

デモの概要。様々なコンポーネントが使われている。

図1:デモの概要。様々なコンポーネントが使われている。

なお、Red Hat Mobile Application Platformは2014年10月に買収したFeedHenryをJBoss middlewareとOpenShiftに組み合わせたMBaaS(Mobile Backend-as-a-Service)のRed Hat版という位置付けだ。

https://www.redhat.com/ja/about/press-releases/red-hat-launches-mobile-application-platform

このデモのテーマは今回のカンファレンスを舞台として参加者が持つビーコンをセミールームに配置したRaspberry Piのセンサーが読み取りデータとして収集、さらに参加者がスマートフォンにインストールしたアプリから手描きのイラストのデータをApache Sparkで収集、サーバー側のアプリはOpenShiftを使って即座にデプロイして複数のクライアントから集中するアクセスを捌き、最後にWebのUIから閲覧する、というものでIoTを活用したサンプルとしては説得力のあるものだった。

参加者がスマートフォンで描いた手描きのイラストがどんどん集まってくるのが分かる。

図2:参加者がスマートフォンで描いた手描きのイラストがどんどん集まってくるのが分かる。

ここでもコンテナー技術で生まれ変わったOpenShiftを強力にプッシュする姿勢が見て取れるデモとなった。なお、OpenShiftに関しては2014年1月に実際されたセミナーの記事を参照されたい。

OpenShift 3.0で既存コードを捨てコンテナーに賭けるRed Hat
http://thinkit.co.jp/story/2015/02/10/5601

また最後のパートではSAMSUNG USAとの戦略的な提携によってエンタープライズにおけるスマートフォンを活用したソリューションに関する提携を発表。Red Hatがバックエンドを、SAMSUNGがモバイル端末側、それぞれのソリューションを繋げることで企業でのスマートフォンの利用を推進するという内容だ。これによってこれまで遅れを取っていたと思われていたモバイル戦略に対して少なくとも米国ではトップのプライオリティとして定義し、企業における重要な要素として位置付けたことを示した。

Red Hat and Samsung Form Strategic Alliance to Deliver the Next Generation of Mobile Solutions for the Enterprise | Red Hat
http://www.redhat.com/ja/about/press-releases/red-hat-and-samsung-form-strategic-alliance-deliver-next-generation-mobile-solutions-enterprise

提携の発表には赤い帽子を被るのが定例らしい。

図3:提携の発表には赤い帽子を被るのが定例らしい。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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