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「DBaaS」が次のデータベースマネジメントにおける大きなトレンドとなる理由

2015年10月6日(火)
ReadWrite Japan

MySQLのエキスパートでもあるゲスト執筆者のバロン・シュワルツは、Vivid Cortexの設立者であり彼の著作には”High Performance MySQL”がある。彼はこれまで幾つかのWebサイト、ソーシャル、ゲーミング、モバイルの最大クラスのバックエンドの構築を手がけている。

DBの世界では大きな変化が起きている。業界では「Database-as-a-Service(DBaaS)」というものが噂になっており、これを提供しているクラウドを使って管理されたデータウェアハウスへのアクセスが行えるようになる。

エンタープライズの顧客は、このサービスを使って日々のオペレーションの効率化をはかることが出来、益々多くの大小様々な企業がDBaaSがDBのマネジメントやリクエストに与える影響に気付き始めている。この事はDBaaS企業であるTesoraがつい先日も580万ドルの融資を取り付け、合計で1450万ドルの投資を受けたことからも見て取れる。

もし今後ますます重要となるこの技術についてあまり馴染みがなくても、身構えることはない。次にDBaaSがどのようなもので、企業にとってどの様な利点があり、そしてニーズに応じたソリューションをどの様に選択すればいいかを説明する。

データベース管理の革命

ここ10-20年ほどでデータベースの管理は大きく変わった。数年前は企業はプロプライエタリなDBを大抵はオンサイトのサーバーで稼働させていた。容量や人員、予算、購入までの時間、設置場所、導入、ネットワーク、故障時の対応およびメンテナンス、ハードの信頼性、OS、そしてどのDBを使うのかと言ったことを決めなければならず、当時DBを構築するのには数週間、あるいは数ヶ月を要していた。

これらの必要な時間や複雑な問題を緩和するため、業界はより自動化されたソリューションへ向けてシフトした。同時に仮想化などの新しい技術によってデータセンターの利用効率や応答性の向上も後押しされた。そしてクラウドコンピューティングの時代である現在、多くのDBがレンタルのクラウド上で稼働しており、仮想化されたOSやDBへのアクセスは行うもののハードにアクセスすることはなくなった。

何時の時代であっても何らかの理由でオンプレミスのデータベースはなくなることは無いだろうが、トレンドがよりオートメーションに寄っていく流れは避けられない事のように見受けられる。

これまで企業でよく使われてきた単一構成のDB技術は衰退の道に入っており、Polyglot persistenceと呼ばれる、多数の異なるDBやアプリが交じり合った形態がより一般的なものになってきている。現代のデータ階層は分散しており様々なものが混在しており、プロビジョニング、設定、管理、監視、セキュリティその他のIT上の重要な機能も、それぞれに対応する必要がある。

そこで注目されているのがDBaaSだ。

DBaaSの登場

サーバーをラックに格納しブートする事もなくなり、企業は次のことを考えられる段階になってきた。DBを構成するもの全てを手放しでオートメーション化することだ。DBを使ってデータの格納やクエリーを行うが、行うことはそれだけだ。この場合、システムとは完全に管理されたサービス自体を指しているわけだから、DBaaSという名前が付けられた。サービスは他の企業から提供されるか、自社のIT部門で社内に向けて提供されるか、あるいはその両方だ。

今日日の企業の多くは繰り返し作業を減らし、設定エラーや脆弱なセキュリティーを無くすことを求めているが、同時に技術的な詳細について時間を費やすことを望んでいない。昔ながらのDB管理は色々大変な作業を求められており、IT部の担当はシステムのあらゆる面について学び、管理することを覚え、障害対応しなければならなかった。

使い捨てカメラのように、DBaaSはトレーニングや人員を必要とせずにプロフェッショナルなDBをモノの数分で提供できるものだ。サービスプロバイダーは大抵の用途で使えるよう、パラメタの設定等を行っている。

システム全体を構成する個々の要素は設定や状態の整合性が取れない状態になる可能性があるが、DBaaSはその様な事態に陥らないよう、カスタマイズ、管理、運用を簡略化しようとしており、結果、トラブルシューティングやミスの修正、システム間のデータのやり取りはより簡単なものになる。ニーズに応じてシステムのスケールアップも好きなだけ行え、オンプレミスのサーバーの殆どと比べてもより高い可用性、セキュリティが実現出来る。

DBaaSも他の”as a Service”同様、大規模用途にシステムの定義、管理がなされており、ターミナルで操作するわけでもない事から、より多くの人が利用することが出来る。よってDBの専門家無しで開発者はDBを利用したアプリをクラウドベースのプラットフォームで開発することが出来る。例えばHerokuの場合、備わっているDBaaSの設定はシンプルな定義ファイルをプッシュすることで行うことが出来る。

DBaaSの未来

DBaaSは既に幾つかの主要な技術の成長に重要なものになってきている。特にオープンソースDBのMySQLなどはそうだ。言い換えれば伝統的なDBのデプロイメントは鈍化しており、新しいもののほとんどはDBaaSに移ってきている。

技術の需要はかなりのものがあり、大企業の中には自分たちでサービスの提供を開始しだしたところもある。

アマゾンのDynamoDBやグーグルのCloud Bigtableはそもそも外部に公開するつもりではなく、自分たちが使うために作られたものだ。だが今では外部に向けて提供されている。顧客たちは管理者を雇うこと無く大規模なDBを運用することができており、サービスプロバイダは自社でのサポートの必要や障害対応の必要がないこのシステムを使って売上を上げている。

かたやプライベートクラウドの場合、多くの企業がOpenStackをクラウドOSとして一般的に利用している。OpenStackはストレージ管理、ネットワーク、その他のデータセンター機能を統合するメカニズムを提供しており、大規模な企業が自社のデータセンターを運用したり、クラウドサービスプロバイダがサービスを提供するといった目的で利用されている。TesoraはOpenStackのDBaaSプロジェクトであるOpenStack Troveを専門で手がけている。

DBaaSはいいタイミングで登場した。この技術が広まれば技術業界で起きることは更に多くのデータを収集することになるだろう。スマートで効率的なDB技術は業種や規模を問わずあらゆる企業にとって重要なものになった。サービスによってオペレーションが効率化し、無駄が省かれ、仕事の負荷が緩和される事から、従業員はもっとも集中すべき生産作業に力を注ぐことが出来る。

ニーズに応じたDBaaSのサービスプロバイダ選びについては、近日出稿予定の記事で述べることにする。

トップ画像提供:Shutterstock

Baron Schwartz
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

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