開発フェーズに沿ったドキュメントを作れ!
「私たちががんばれば、この人たちもおうちに帰れるんですね!」
「そうね。もちろんそのためには、どんな開発ドキュメントを作ればいいかを学ぶ必要があるわ」
「…あの地獄をこの人たちにも(がくがくぶるぶる)」
「今この人たちにもっとも必要なのは、今必要な開発作業は、どのような設計と仕様で行うべきかをまとめたドキュメントね。みんなの意識統一もできていないし、何をするべきかが明確化されていないことが問題よ」
「まずはそれからですね!」
さっそくドキュメント作りに乗り出そうとするA奈をB乃が引き止めた。
「こらこら『まずは』じゃないわよ。開発ドキュメントが必要な人、さっきなんといったかしら?」
「…開発する人と、開発を依頼する人です」
「そう。何をすべきかを明確化するには、何が必要だと思う?」
「…開発を依頼する人が、何をしたいかです!」
「その通り。開発を依頼する人が何をしたいという要求を確認できてから、はじめて開発する側の要件が決定するの。この人たちはきちんとその確認を取らずに開発をはじめて、次から次へと新しい要求をされてこの状態になった、というわけね」
「…かわいそうですね」
「ある意味ではかわいそうだけど、最初から手順を踏んで開発ドキュメントを作って確認していれば、こうはならなかったはずね」
各フェーズで必要な開発ドキュメントは?
「じゃぁどうすればいいんでしょう?」
「それは学校で習ったはずよ。よく思い出して説明してごらんなさい」
「え〜っと、え〜っと。まず開発を依頼する側、顧客の要望を聞きます」
「そこで作るドキュメントはどういうものかしら?」
「要求をまとめるので…『要求定義』です!」
「そうね。じゃぁ次に必要なのは?」
「要求された内容を、どのようにシステム化するか、システム化に必要な要件をまとめた『要件定義』ですね?」
「そう。そのとき要件確認書や提案書を作って、顧客に説明して了承してもらうことが重要よ」
「はい。要件がまとまったら、設計に入ります。最初は『外部設計』をして、各担当者の意識合わせを行います。その後で実際の開発プロセスに入るんですが、そこでは『詳細設計』や『仕様書』作りを行います!」
「はい、正解。そのほかにも重要なものがあるんだけど、覚えているかしら?」
「…そこまでで開発は進められると思うんですけど。何かありましたっけ?」
「開発したら、それで終わり?」
「納品します!」
「作っただけで? ほんとに?」
「…でも納品しないとだめですよね?」
「もう一回学校?」
「(がくがくぶるぶる)」
「ちゃんとシステムが動作するかテストをしないとね。『テスト仕様書』が必要よ。それに納品するには『運用マニュアル』もつくらなきゃ」
「…忘れてました(泣)」
「まぁいいわ。次回からは各フェーズに沿って、作成するドキュメントの内容を詳しくみていきましょう。それでプログラマのみなさんもこんな惨状から抜け出せるでしょう」
「は〜い!」
ナレーション「はじめて開発現場の悲惨さを目の当たりにしたA奈。はたして一人前の開発ドキュメントの妖精さんになれるのか! しかしそんなに学校が怖いのか? 次週『要求分析するドキュよ』でどっきゅドキュ!」 タイトルへ戻る