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ITIL実践のポイント
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第3回:ITIL流ソフトウェア管理〜JP1を中心としたソフトウェア資産管理の実践
著者:東芝ソリューション   花井 克之   2006/3/24
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JP1による実装

   では、JP1を用いてSAMを実践する例を説明する。ここではSAMの代表的なステップとして、表4を例としてJP1をどのように活用するかを説明する。
  1. SAMデータベースの構築
  2. ソフトウェアの展開
  3. 検証と監査

表4:SAMの代表的なステップ


1. SAMデータベースの構築

   SAMを行うにあたって最初にすべきことは、自社にどのようなソフトウェア資産があり、それがどこにインストールされているかという実態の把握である。

   これはSAMプロセスでは中核資産管理プロセスの「資産の識別」に相当するステップであるが、ここで役に立つのが資産情報を整理して格納するインベントリツールである。インベントリは現在でもかなりの運用の現場でExcelなどのスプレッドシートを用いて、「ソフトウェア一覧表」として管理されていたりするが、本来CMDBのCI(Configuration Item:構成アイテム)として登録し、サービスサポートのサービスデスクや構成管理で共通に用いるのがITIL流である。

   また、後ほど解説するディスカバリや検証・監査といった作業で用いられるツールとの連携の容易さを考慮して、ここではJP1のNETM/Asset Information Manager(NETM/AIM)を使ってみよう。

   NETM/AIMは企業内のIT資産を一元管理することが可能なWebベースのツールであり、NETM/AIM本体、データベース(Oracle、Microsoft SQL Server)、Microsoft IIS(Internet Information Server)から構成されている。

JP1/NETM/AIMの画面
図4:JP1/NETM/AIMの画面
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   NETM/AIMは従来であれば個別に管理されていた購入済ソフトウェア一覧、契約情報、ライセンス数などを企業内の組織やロケーションごとに登録することができ、企業のソフトウェア資産を効率的に、またわかりやすく管理することができる。


2. ソフトウェアの展開

   次にソフトウェアの展開であるが、ここで使えるツールはJP1の場合NETM/DMになる。NETM/DMはマネージャ/エージェント型の管理ツールであり、あらかじめ管理対象となるサーバやデスクトップPCにエージェントソフトウェアをインストールしておく必要がある。

   最初にエージェントをインストールするのは手間がかかるが、PCの新規導入やリプレースの際にあらかじめエージェントをインストールしておくのも手だろう。一度エージェントがインストールされてしまえば、あとはソフトウェアの展開が必要な時は、マネージャ上で展開用のリリースパッケージ(ソフトウェア本体とインストール用のバッチファイルなどを1つにまとめたもの)を作成することで、エージェントが自動的にパッケージを展開してソフトウェアのインストールを実行してくれる。

NETM/DMでのソフトウェア配布機能
図5:NETM/DMでのソフトウェア配布機能
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   インストールの際にどうしても人手による作業が必要な場合は、オプションのリモートコントロールツールを使うことで、遠隔のコンピュータから集中的に作業を行うこともできる。

   またNETM/DMではプッシュ型(マネージャから強制的にエージェント側にリリースを配信し展開する)、プル型(エージェント側が必要に応じてマネージャーからリリースパッケージをダウンロードして展開する)のいずれも可能なので、使用状況に応じた運用を行うことが可能だ。

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東芝ソリューション 花井 克之
著者プロフィール
東芝ソリューション株式会社   花井 克之
ITILをベースとした運用管理コンサルティングやシステム設計を担当するグループのリーダーとして活躍中。全国各地でのセミナーや講演で、ITILマスターの技を伝道中。

INDEX
第3回:ITIL流ソフトウェア管理〜JP1を中心としたソフトウェア資産管理の実践
  はじめに
  ソフトウェア資産管理(SAM)プロセス概要
JP1による実装
  3. 検証と監査