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ビジネス展開におけるWeb 2.0

第2回:Web 2.0が与える市場へのインパクト
著者:野村総合研究所   田中 達雄  2006/4/7
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企業情報システムにおけるWeb 2.0のインパクト

   ここからは企業情報システムにおけるWeb 2.0のインパクトについて解説する。Web 2.0は、主に企業情報システムの以下の分野にインパクトを与える。
  • サービス指向(コンポジット・アプリケーション)
  • リッチクライアント
  • ナレッジマネジメント
  • コミュニケーションツール(第3回で解説)

表1:企業情報システムにおけるWeb 2.0のインパクト


サービス指向へのインパクト

   まずサービス指向であるが、これは長年ソフトウェア工学が挑戦し続けているソフトウェアの再利用と部品化技術の延長線上にある。その試みは、古くは抽象データ型、そしてオブジェクト指向、コンポーネント指向と年を重ねるごとにその概念や技術を変え実施されてきた。

   しかしどれも銀弾とは成りえなかった。その証拠に今はサービス指向が注目され、普及しようとしている。ここにWeb 2.0が何らかのインパクトを与える可能性がある(図3)。

ソフトウェアの再利用と部品化技術の変遷/出所:野村総合研究所
図3:ソフトウェアの再利用と部品化技術の変遷
出所:野村総合研究所

   SOAとWeb 2.0はサービスという意味で共通する点がある(図4)。

Web 2.0とSOAの比較/出所:野村総合研究所
図4:Web 2.0とSOAの比較
出所:野村総合研究所

   とはいえ、Web 2.0はSOAよりも緩やかな接続技術の採用を許容しているため、ミッションクリティカルなシステムに使うのは難しい。しかし、企業内の処理プロセスの割合を見ると、ミッションクリティカルなトランザクショナル・プロセス(処理手続きが固定化された基幹系業務システム)は全体の20%に過ぎず、それ以外のアクティビティ・プロセス(手続きが固定化されていない情報系業務システムなど)が全体の80%を占めるといわれている。

   ミッションクリティカルな処理システムへの適用はSOAPやWS-*の技術向上に委ねるとして、それ以外の80%を占めるアクティビティ・プロセスではWeb 2.0の適用が考えられる。

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野村総合研究所
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。


INDEX
第2回:Web 2.0が与える市場へのインパクト
  はじめに
  マイナスのインパクト
企業情報システムにおけるWeb 2.0のインパクト
  リッチクライアントへのインパクト